Salience network
(この記事は、2019年6月11日の記事を一部改変しました。)
2000年までは、脳機能局在論と言って、脳は部分ごとに違った機能を担っているという理論が一般的でした。
その後、2000年以降の神経機能画像研究によって、脳は機能局在という一対一の関係性から、ネットワークという多対多の関係性として理解されるようになってきています。
このネットワークは、6から8個の巨大ネットワークとして知られています。
その中で、以下の3つがTriple network(2011年、Menonら)と言われており、認知・感情・心理機能の中心を担ってます。
1. ぼんやりしている時、休んでいる時に活発になるネットワークがデフォルドモードネットワーク(default mode network、DMN)です。
2. 仕事や家事や勉強などを実行している時に活発になるネットワークがセントラルエグゼクティブネットワーク(central executive network、CEN)です。
3. この2つのネットワークの切り替えを行っているのが、サリエンスネットワーク(salience network、SN)です。(2014年、Goldenら)
刺激に反応する時には、SNがCENにスイッチを切り替えます。ぼんやりしたり、思索に耽ったりして、内部の問題に対処する時は、SNがDMNにスイチを切り替えます。
言い換えると、SN は内的または外的刺激の顕著性(salience)を検出することで、ネットワーク間の切り替えを行います。
DMNとCENの関係は、単純な競合だけでなく、協調することも知られています。
ADD/ADHDと関係しているのはSNと言われています。(2018年、Jamesら)SNに問題があるためにぼんやりしすぎて不注意が起こったり、過集中が起こってきます。
SNの関連部位は、dACCやInsulaです。
このdACCの機能低下が、定量脳波で指摘されるADD/ADHDのパターンと一致しており、定量脳波では、Theta/Beta ratioが高くなってきます。
脳波の10-20法のFZ、CZに問題があるので、脳波のニューロフィードバックトレーニングでは主にこのFZ 、CZでトレーニングを実施して、サリエンスネットワークを改善させます。