便秘を漢方で改善|論文
まとめ:便秘の中医治療では、病位は大腸にあるものの、脾を中心に肺・肝・腎の失調、さらに気・血・津液・陰陽の不足や気滞・熱積・寒積を辨証して治療することが全体を通した基本となる。特に頻出するのは脾虚・気虚で、生白朮・黄耆・党参などで「排便を押し出す力」を補い、枳実・厚朴・木香・檳榔・陳皮などで気機を通し、火麻仁・郁李仁・柏子仁・杏仁・当帰などで潤腸し、津液不足には玄参・麦門冬・生地黄を加えて「増水行舟」を図る。なかでも生白朮は便秘治療の中心薬の一つで、大量使用により健脾しながら津液の生成・輸布と腸管運動を改善するという考えが繰り返し示され、枳実との組み合わせは脾虚・気虚を伴う慢伝輸型便秘で特に重要である。代表方は枳朮丸(枳実、白朮)、増液湯(玄参、麦門冬、生地黄)、麻子仁丸(火麻仁、白芍、大黄、枳実、厚朴、杏仁)、六磨湯(木香、烏薬、沈香、大黄、枳実、檳榔)、済川煎(当帰、牛膝、肉蓯蓉、沢瀉、升麻、枳殻)、補中益気湯(黄耆、人参または党参、白朮、炙甘草、当帰、陳皮、升麻、柴胡)などで、実熱には大黄を中心とした攻下、脾腎陽虚には肉蓯蓉・肉桂・淫羊藿などによる温補、気滞には疏肝理気を組み合わせる。現代薬理でも腸内細菌叢・短鎖脂肪酸、5-HT・SP・VIP・MTLなどの神経伝達、AQP3・AQP4・AQP8・AQP9による水分代謝、SCF/c-kit・PI3K/Aktを介したCajal間質細胞などへの作用が報告されており、便秘を単に大黄などで瀉下するのではなく、「補う・動かす・潤す・増液する」を患者の証に応じて組み合わせることが、各論文に共通する治療の核心である。

「肺と大腸は表裏をなす」という理論から、気虚型機能性便秘(FC)を単なる腸の問題ではなく、肺脾の気虚による大腸伝導無力として捉える。肺気虚では大腸を推動する力が不足し、肺の宣発粛降が失調すると気機が滞り、さらに肺の津液輸布が障害されて腸燥を生じるため、治療は「補肺・健脾・宣肺降気」を中心とする。補肺湯、補肺健脾湯、宣肺通便方などが報告され、宣肺益気通腑法では黄耆、苦杏仁、生白朮などを重用する。中成薬では便通膠囊(片)、麻仁潤腸丸、芪蓉潤腸口服液、芪黄通秘軟膠囊が取り上げられ、外治では鍼灸、雷火灸、督灸、腹部推拿による結腸運動・胃腸ホルモン・腸内細菌叢への作用が論じられている。臨床的には、「便秘だから瀉下・潤腸」だけでなく、息切れ・倦怠・自汗など肺気虚が目立つ便秘では、肺気を補い宣降させることで大腸を動かすという点が重要である。なお、本総説本文には補肺湯・補肺健脾湯・宣肺通便方の完全な構成生薬・用量は記載されていない。(2026年、趙穎)
白朮は慢伝輸型便秘(STC)に対して、単なる燥湿健脾薬ではなく、健脾益気しながら腸管の津液を生じ、腸管運動を促進する薬として位置づけられる。『本草正義』では、白朮は苦温燥湿でありながら津液を生じる性質を持つとされ、陰津不足による便秘でも単純に滋潤するのではなく、**生白朮を重用して脾を健運し、津液を生じさせる「増水行舟」**という治療思想が示されている。現代薬理では、白朮はSCF/c-kit、PI3K/AKTなどを介したCajal間質細胞(ICC)の増殖・機能改善、AQP3・AQP4・AQP8・AQP9など水チャネル蛋白の調節、腸内細菌叢・短鎖脂肪酸・腸管バリアの改善、さらに5-HT、SP、Ach、VIP、NO、MTLなど神経―ホルモン系の調節を介して腸管運動を促進するとされる。生白朮は「腸を潤す」と「腸を動かす」の双方に作用する点が臨床的に重要である。代表方は、理気通便方(厚朴、枳実、火麻仁、郁李仁、栝楼仁、莱菔子、柴胡、白芍、陳皮、芒硝、白朮)、黄耆湯(黄耆、生白朮、火麻仁、陳皮、白蜜等)、補中益気湯(黄耆、党参、炙甘草、当帰、炒白朮、升麻、柴胡、陳皮、生姜、大棗)、芪蓉潤腸口服液(炙黄耆、肉蓯蓉、白朮、太子参、地黄、玄参、麦門冬、当帰、製黄精、桑椹、黒胡麻、火麻仁、郁李仁、枳殻、蜂蜜)、通便湯(南沙参、麦門冬、玄参、熟地黄、杏仁、白朮、枳殻、厚朴、栝楼仁、火麻仁、郁李仁、木香)、参苓白朮散(人参、茯苓、白朮、白扁豆、黄耆、山薬、薏苡仁、桔梗、防風、陳皮)、白朮和胃方(生白朮、半夏、厚朴、陳皮、党参、炙甘草、枳実、檳榔、生姜、知母)である。臨床的には、脾虚+腸管運動低下+便乾燥を呈するSTCでは生白朮重用の理論的根拠があり、「白朮は燥湿薬なので乾燥便には使いにくい」という単純な理解ではなく、健脾によって津液輸布を回復させながら腸管推進力を高めると理解できる。(2026年、高月)
機能性便秘は病位こそ大腸にあるが、肺・脾・腎など五臓の失調と密接に関係し、実秘は熱積・寒積・気滞、虚秘は気虚・血虚・陰虚・陽虚に分けて治療する。中薬は脳―腸軸、腸内細菌叢、腸粘膜バリア、水分代謝、腸管運動を調節するとされる。臨床では気滞に大柴胡湯(柴胡、黄芩、厚朴、枳実、大黄、香附、莱菔子、檳榔、決明子、木香、甘草)、虚秘に通便湯(党参、黄耆、白朮、茯苓、厚朴、枳実、桔梗、当帰、肉蓯蓉、柴胡、香附、杏仁、火麻仁、桃仁、郁李仁、黄芩、炙甘草)、脾肺気虚・胃腸気滞に健脾理肺通便方(黄耆、白朮、枳実、厚朴、栝楼、虎杖、当帰、苦杏仁)、脾腎陽虚に助陽通便湯(肉蓯蓉、淫羊藿、枳殻、牛膝、白朮、山薬、郁李仁、厚朴、桑椹子、肉桂)、熱積秘に枳実導滞丸(大黄、枳実、黄芩、黄連、白朮、火麻仁、生地黄、隔山消、厚朴、莱菔子、檳榔、甘草)が用いられ、単なる瀉下ではなく疏肝理気、健脾補気、温腎、清熱、滋陰潤燥を証に応じて使い分けることが重要である。(2026年、趙嘉琪)
機能性便秘は病位を大腸とするが、脾胃・肝・肺・腎の機能失調と密接に関係し、脾胃では健脾・行気・化湿・滋陰・導滞・潤下、肝では疏肝・柔肝・養血、肺では「肺与大腸相表裏」に基づく宣肺降気・通腑、腎では温腎助陽・潤腸を用いる。特に肺気の宣降失調は大腸の伝導を障害し、肺熱が腸に移れば津傷・腸燥を生じるため、通腑理肺法、加減宣白承気湯、宣肺通便方などが用いられ、脾腎陽虚には済川煎などが用いられる。Research Prog... Constipation_L… Research Prog... Constipation_L… 内外治療では湿熱積滞型に枳実導滞通便方(枳実15g、檳榔12g、黄連6g、連翹15g、焦神曲15g、焦山楂15g、白茯苓15g、白朮15g)、食積化熱型に運脾化積湯(茯苓、枳実、白朮、莱菔子、連翹、玄参、厚朴各10g、黄芩、火麻仁、熟大黄、山楂、栝楼子各6g、甘草、芦根各5g)、老年性便秘に益気養陰湯(生黄耆30g、生白朮15g、玄参30g、生地黄15g、麦門冬10g、陳皮10g、当帰15g、火麻仁30g、木香10g、枳殻10g)が報告され、推拿・穴位貼敷・耳穴圧丸などとの併用も行われている。総じて便秘を単純な腸燥として瀉下・潤腸するのではなく、脾胃を軸に肝の疏泄、肺の宣降、腎の温煦まで含めて臓腑を調えることが重要とする総説である。(2026年、劉俊麟)
機能性便秘は情志不調、飲食内傷、外邪、気血陰陽不足などから脾胃升降失調、肺気宣降不利、肝気鬱滞、腎失気化を来し、大腸の伝導が低下して発症するとされ、治療は健脾益気、宣肺降気、温補腎陽、滋養肝血、行気導滞を基本とする。通便湯は温腎健脾、益気養血、化瘀通便を目的とし、類方として温腎健脾通便湯(生白朮、肉蓯蓉、党参、山薬、製何首烏、鎖陽、松子仁、炒火麻仁、姜厚朴、炒枳実、炙甘草)、化瘀通便湯(当帰、陳皮、川芎、白朮、半夏、桃仁、苦杏仁、生地黄、柴胡、枳実、甘草)、理気通便方(枳実、厚朴、莱菔子、陳皮、栝楼仁、火麻仁、郁李仁、白芍、柴胡、芒硝など)が紹介され、補虚しながら行気・潤腸・化瘀して大腸の伝導を回復させることを重視する。 Research_Prog..._Constipation_Z…Research_Prog..._Constipation_Z… 特に生白朮は大用量で腸管運動と胃腸排空を促進し、生津して腸を潤すとされ、「大剤量では通便、小剤量では止瀉」という双方向調節作用が示され、黄耆―白朮薬対も腸管動力改善に関与する。肉蓯蓉は温腎益精・潤腸と腸内細菌叢の調節、厚朴はCajal間質細胞の起搏機能を介した胃腸運動促進、枳実は5-HTR4、cAMP/PKAなどを介した消化管伝導改善が論じられており、気虚・脾虚を基礎とする便秘では、単純な瀉下より生白朮・黄耆などで補気健脾し、枳実・厚朴で行気して「補して通ずる」考え方が重要である。(2026年、鄭義)
慢伝輸型便秘(STC)は、津液の生成不足・輸布障害・耗傷による「津液虧虚」を病機の核心とし、肠燥津虧、気陰両虚、脾虚津虧、津虧気滞に分類する。治療は峻下苦寒に偏らず「増液潤燥・増水行舟・生津潤腸」を基本とし、肠燥津虧には増液湯(玄参、麦門冬、生地黄)、気陰両虚には滋脾増液方・補気増液湯、脾虚津虧には枳朮丸(枳実、白朮)・韶氏芪朮増液湯、津虧気滞には増液湯(玄参、麦門冬、生地黄)合六磨湯(木香、烏薬、沈香、大黄、枳実、檳榔)加減を用い、益気・健脾・行気・滋陰を組み合わせる。特に脾虚では津液を単純に補うのではなく、健脾して津液の生成源を回復させることが根本治療とされ、気虚では「気旺津生、津充気行」、気滞では「増水行舟+行気導滞」を重視する。 Research prog...f body fluids_T… Research prog...f body fluids_T… 増液湯および加味方はAQP3・AQP4・AQP9を抑制して結腸の過剰な水分再吸収を減らし、PI3K/Akt・MAPK・SCF/c-kit経路を介してCajal間質細胞を改善し、MTL・SP上昇、VIP・NO低下、腸内細菌叢改善などを介して「腸を潤す」と「腸を動かす」を同時に実現する可能性が示されている。なお、滋脾増液方・補気増液湯・韶氏芪朮増液湯については、本論文本文に構成生薬の記載がない。(2026年、唐暁燕)
老年機能性便秘は「本虚標実」が中心で、肺・脾・腎の虚、気血津液不足を背景に腸燥・気滞を生じるため、単純な瀉下ではなく「臓腑失調、以平為期」「津血同源、増水行舟」「寓通於補、以補開塞」を基本とし、健脾益気、補腎填精、宣肺潤腸、養陰増液、養血潤燥、行気導滞を組み合わせる。特に気虚秘48.15%、陰虚秘20.37%と虚証が多く、近年の54処方・72生薬の解析では玄参、生地黄、麦門冬、生白朮、当帰、郁李仁が中核薬となり、薬物群として玄参・生地黄・麦門冬、黄耆・当帰・甘草、火麻仁・郁李仁・生白朮・厚朴の組み合わせが特徴的であった。 Research Prog...n the Elderly_C… 臨床では肺脾腎を補いながら通じさせる「補中寓通」が重視され、気陰両虚には増液八珍湯、陰虚腸燥には三仁増液湯、脾陰虚には慎柔養真湯、脾気虚には補中益気湯、頑固な虚秘には加減通幽湯などが用いられるが、本総説にはこれら各処方の完全な構成生薬・用量は記載されていない。したがって本論文から具体的に抽出できる生薬では、玄参、生地黄、麦門冬、生白朮、当帰、郁李仁、火麻仁、厚朴、黄耆、甘草、枳実、桃仁、杏仁、枳殻、熟地黄、大黄、党参、陳皮などが重要で、特に生白朮を健脾して通便する薬、玄参・生地黄・麦門冬を増液する薬、火麻仁・郁李仁・当帰を潤腸する薬として組み合わせる「補して潤し、潤して通ずる」構成が老年便秘の特徴といえる。(2026年、初昀杭)
機能性便秘(FC)は「脳―腸―臓器軸」の異常として捉えられ、腸内細菌叢・短鎖脂肪酸を介して脳、肝、心、腎などと双方向に影響し、中医では「気機を先とし、精血を本とし、陰陽を根とする」と考え、行気・補益・養血・潤下・滋陰・清熱・温陽によって「整体調節・以通為用」を図る。 Research_prog...t-organ_axis”_Z… 単味薬では枳実が5-HT・VIP・胃動素を調節して腸管運動を促進し、黄耆、党参、山薬、枸杞子は腸内細菌叢やCajal間質細胞を介して補虚通便し、苦杏仁、紫蘇子、火麻仁は潤腸・腸管運動促進、当帰はAQP8抑制による便乾燥改善、白芍は腸内細菌叢・P物質、肉蓯蓉は食物繊維・腸内細菌叢を介して通便に働く。Research_prog...t-organ_axis”_Z… 方剤では枳朮湯(枳実、白朮)、枳実導滞丸加減(大黄、火麻仁、枳実、厚朴、莱菔子等)、麻仁丸(火麻仁、白芍、大黄、枳実、厚朴、杏仁)、増液湯(玄参、麦門冬、生地黄)、宣幽湯合増液湯(生地黄、白芍、玄参、麦門冬、天花粉等)、済川煎(当帰、牛膝、肉蓯蓉、沢瀉、升麻、枳殻)、加味逍遥散(柴胡、当帰、白芍、白朮、茯苓、枳実等)、玄参湯(玄参、大黄、芒硝、犀角、羚羊角等)、槐黄丸(槐角、大黄、杏仁、枳殻、肉蓯蓉等)、三仁湯(飛滑石、生薏苡仁、杏仁、通草等)、厚朴排気合剤(姜厚朴、木香、枳実、大黄)、首薈通便膠囊(何首烏、蘆薈、決明子、枸杞子、阿膠等)が挙げられ、神経伝達物質、AQP、腸内細菌叢、短鎖脂肪酸、SIRT1/FoxO1、5-HT/cAMP/PKA、PI3K/Akt、SCF/c-kitなど多経路を介して「潤す・動かす・補う」を同時に行うことが特徴である。(2026年、周漢藤)
機能性便秘(FC)は慢伝輸型(STC)、排便障害型(DD)、正常伝輸型(NTC)に分けられ、中医では清熱通腑、理気通降、増水行舟、健脾滋腎、温陽通便を基本とする。300例の証候調査では脾腎陽虚、肝脾不調、肺脾気虚、肝腎陰虚、腸道実熱の順に多く、STCでは気虚>陰虚>気機鬱滞>陽虚であった。臨床では麻子仁丸、芪黄通秘軟膠囊、麻仁軟膠囊、六味安消膠囊、運腸膠囊などのRCTが報告され、鍼灸・穴位貼敷・埋線・推拿なども用いられる。 Current Statu... Constipation_K… Current Statu... Constipation_K… 基礎研究では済川煎(当帰、牛膝、肉蓯蓉、沢瀉、升麻、枳殻)、四磨湯、増液湯(玄参、麦門冬、生地黄)、枳朮湯・枳朮丸(枳実、白朮)、理気通便方などが研究され、SCF/c-kit、TGR5/TRPA1、5-HT/5-HT3R、PI3K/Akt、AQP3・AQP9、SIRT1/FoxO1、NF-κBなどを介して腸管運動、水液代謝、腸管バリア、炎症を調節し、さらに腸内細菌叢を改善して酢酸・プロピオン酸・酪酸などの短鎖脂肪酸産生を促進するとされる。 Current Statu... Constipation_K… 特に脾虚型STCでは枳朮丸がPI3K/AktおよびAQP3・AQP9を調節し、増液湯は5-HT・AQP9を介して津液代謝を改善することから、健脾して腸を動かす白朮・枳実と、増液潤燥する玄参・麦門冬・生地黄を病態に応じて使い分ける考え方が臨床的に重要である。なお、本総説では四磨湯・理気通便方などの完全な構成生薬は記載されていない。(2026年、柯暁)
機能性便秘は大腸伝導失司を基本病機とし、脾虚による運化・推動不足、肝気鬱結による腑気不通、腎気不足による推動無力、肺気不降による大腸粛降失常など五臓の機能失調が関与し、熱積秘、気滞秘、寒積秘、気虚秘、陽虚秘、陰虚秘、血虚秘に辨証する。治療の核心は「通下」だが、大黄・芒硝などによる瀉下に偏らず、寒下・温下・潤下を証に応じて使い分け、慢伝輸型便秘では温補脾腎法、オピオイド誘発便秘では益気温陽方と穴位貼敷が報告され、貼敷には大黄、枳殻、細辛、冰片を1:1:1:0.5で用いる。 中医药治疗功能性便秘的研究进展_滕莉 中医药治疗功能性便秘的研究进展_滕莉 痔術後便秘では当帰、黄耆、枳実、厚朴、太子参、麦門冬、桃仁、火麻仁、製何首烏、肉蓯蓉などの灌腸が用いられ、小児脾虚気弱型では健脾益気通便湯に加えて黄耆、当帰、升麻、枳殻を3:3:2:2で粉末化した臍灸を併用し、排便時間・頻度、腸内細菌叢、腸神経伝達物質の改善が報告されている。総じて、便秘を単なる大腸の問題として瀉下するのではなく、脾を根本として肺・肝・腎を調え、虚証では益気・温陽・養陰・養血しながら「補して通ずる」ことが重要とする総説である。なお温通湯、自擬益気温陽方、健脾益気通便湯の完全な構成生薬は本文に記載されていない。(2026年、滕莉)
気虚型便秘は、脾胃虚弱などによる気の不足から大腸の推動力が低下して生じ、便意はあるが排出困難で、強く努責すると疲労し、便自体は必ずしも乾燥しないことが特徴である。治療は「補而不滞、通而不耗」を重視し、補中益気湯では黄耆、党参などで補脾益気・升陽し、白朮、当帰などを配して大腸の推動を回復させるほか、健脾活血潤腸方では白朮、茯苓を中心に桃仁、紅花、火麻仁、郁李仁を配し、益気調脾散では黄耆、党参、白朮、当帰、白芍などを用いるが、これら処方の完全な構成生薬・用量は本文には記載されていない。探讨气虚型便秘的中医治疗研究进展_胥靖域 探讨气虚型便秘的中医治疗研究进展_胥靖域 特に大剤量の生白朮+枳実が強調され、生白朮で健脾化湿・助運升清し、大剤量で胃腸の推動力を高め、枳実で消痞・行気して両者を併用することで腸管運動と排便を促進するとされる。すなわち気虚型便秘では、単に大黄などで瀉下するのではなく、黄耆・党参・生白朮で気を補って「押し出す力」を回復し、枳実で気機を通し、火麻仁・郁李仁などで潤腸する「補して通ずる」治療が中心となる。(2025年、胥靖域)
気滞型便秘は情志失調や久坐少動によって腑気が鬱滞し、気機の通降が失調して大腸の伝導が障害され、便意はあるが出ない、排便しても爽快でない、あるいは大便乾結を呈する病態で、心理的ストレスとの関連も重視される。治療は疏肝理気・通調三焦・行気通便を基本とし、脾虚気滞型では加味枳朮湯と浮鍼の併用によりSP・MTLを上昇、VIP・NOを低下させ、肝鬱気滞型では火鍼、気滞型では理気通便貼、薄荷油で調製した大黄末の穴位貼敷、醒神兪募配穴推拿、卯時指圧などが用いられ、腸管運動・結腸伝輸を改善すると報告されている。 非药物疗法治疗气滞型便秘的研究进展_陈晓彤 非药物疗法治疗气滞型便秘的研究进展_陈晓彤 また中薬膏摩、中薬臍蒸、虎符銅砭刮痧、耳穴圧丸なども用いられ、便秘症状だけでなく心理状態やQOLの改善も報告されており、気滞型便秘では単純な瀉下より、情志・肝気を含めて「気を巡らせて大腸を動かす」ことが治療の中心となる。なお本論文は非薬物療法の総説であり、加味枳朮湯・理気通便貼などの構成生薬・用量は本文に記載されていない。(2025年、陳暁彤)
慢伝輸型便秘(STC)は腸管運動低下に加えて腸内細菌叢の異常が深く関与し、中医では気滞、気血虧虚、気陰両虚、脾腎陽虚が多く、順気導滞、補気養血、益気滋陰、温腎健脾を基本とする。代表方は気滞証に理気通便方(厚朴、枳実、火麻仁、郁李仁、栝楼仁、炒莱菔子、柴胡、白芍、陳皮、芒硝)、健胃清腸方(玄明粉、木香、厚朴、檳榔、山楂、枳殻)、気血虧虚証に養血潤腸方(黄耆、白朮、北沙参、当帰、地黄、火麻仁、郁李仁、桃仁、枳殻、知母、桑椹、甘草)、益気活血通便方(当帰、黄耆、肉蓯蓉、炒火麻仁)、気陰両虚証に便塞通合剤(白朮、枳実、荷葉、厚朴、地黄、党参)、通便湯(白朮、玄参、麦門冬、厚朴、杏仁、火麻仁、栝楼仁、木香、枳殻、南沙参、郁李仁、熟地黄)、脾腎陽虚証に済川煎(肉蓯蓉、当帰、牛膝、沢瀉、枳殻、升麻)、助陽通便膏方(肉蓯蓉、牛膝、肉桂、淫羊藿、白朮、山薬、郁李仁、厚朴、枳殻、桑椹、黒胡麻、蜂蜜)が用いられ、ビフィズス菌・乳酸菌などの増加、短鎖脂肪酸・胆汁酸代謝、5-HT・MTL・SP、AQP、c-Kitなどを介して腸管運動と水分代謝を改善するとされる。 単味では白朮多糖が乳酸菌・酪酸産生菌を増加させ、SCFAs・胆汁酸代謝、MTL、MUC2、ZO-1を調節して腸管運動と粘膜バリアを改善し、黄耆は酪酸産生を介してNF-κB/Akt・Cajal間質細胞に作用するほか、火麻仁、麦門冬、肉蓯蓉、枳実・枳殻、厚朴などにも腸内細菌叢を介した作用が報告されている。つまりSTCでは、白朮・黄耆で補気健脾し、枳実・厚朴で行気し、火麻仁・郁李仁で潤腸し、玄参・麦門冬・地黄で増液するという中医的配伍が、腸内細菌叢―短鎖脂肪酸―神経伝達物質―腸管運動という現代的機序からも説明されつつある。(2025年、朱彦霖)
小児機能性便秘は「脾常不足」を基礎として脾胃の升降失調から大腸伝導失司を来すことが中心で、虚秘は陽虚・陰虚・気虚・血虚、実秘は気秘・熱秘に分け、通便だけでなく脾胃を立て直し肺・肝・腎を調えることを重視する。 中医药治疗小儿功能性便秘研究进展_袁月 陰虚秘には滋陰通便湯(杏仁、郁李仁、火麻仁、柏子仁、桃仁、栝楼、生地黄、知母、枳殻、玄参、麦門冬、玉竹等)、気虚秘には黄耆白朮湯(黄耆、生白朮、神曲、蚕沙、檳榔、陳皮、半夏、当帰、蒼朮、肉蓯蓉、郁李仁、玄参、枳実、荷葉、炙甘草等)を用い、特に大剤量の生白朮は胃腸運動を増強し、水液代謝を促進して小児便秘を改善するとされる。 中医药治疗小儿功能性便秘研究进展_袁月 気秘・肺熱型には瀉白散加味(桑白皮、地骨皮、黄芩、知母、麦門冬、栝楼仁、玄参、火麻仁、郁李仁、玄明粉、生甘草等)、実熱型には通幽合剤(梔子、藿香、石膏、大黄、枳実、白朮、南沙参、木香等)、食積内熱型には消積通秘湯(莱菔子、枳実、大黄、白朮、木香、檳榔、郁李仁、火麻仁、升麻、炙甘草等)、食積気滞型には消食導滞湯(莱菔子、茯苓、枳実、厚朴、陳皮、神曲、木香、隔山消、山薬、白朮、大棗、火麻仁、砂仁、檳榔、生甘草、黄芩等)が用いられる。 中医药治疗小儿功能性便秘研究进展_袁月 つまり小児では生白朮を中心に健脾して大腸の推動力を回復し、枳実・厚朴・木香・檳榔で気機を通し、火麻仁・郁李仁・杏仁で潤腸し、玄参・麦門冬・生地黄で増液する配伍が重要で、実熱・食積では大黄・莱菔子などを加えるという使い分けが臨床的に参考になる。(2025年、袁月)
小児機能性便秘は病位を大腸とするが、脾不散津、胃失通降、肝失疏泄、肺失粛降、腎気不足など五臓の失調が関与し、主に腸腑熱結、気機壅滞、脾虚失運に分けて治療する。 Research Prog...nese Medicine_H… 腸腑熱結には瀉黄散加味(熟大黄3g、藿香10g、檳榔10g、当帰10g、生石膏10g、木香10g、枳実10g、防風10g、厚朴10g、黄芩10g、白芍12g、火麻仁12g、牡蛎12g、荷葉12g、麦芽12g、梔子6g、甘草6g)、気機壅滞には疏肝健脾方(生白朮25g、陳皮15g、香附15g、柴胡10g、黄耆5g、白芍5g、大棗5g、黒胡麻4g、熟地黄3g、烏薬3g、鶏内金3g、冬瓜仁3g、栝楼仁3g、甘草3g)が用いられる。 Research Prog...nese Medicine_H… 脾虚失運には半夏瀉心湯加味(枳実10g、莱菔子10g、鶏内金10g、厚朴6g、木香6g、清半夏6g、乾姜5g、黄芩9g、山楂15g、黄連3g、甘草3g、党参12g等)、脾虚津虧には運脾増液湯(茯苓10g、黄耆10g、麦門冬10g、伏竜肝10g、釣藤鈎10g、桃仁10g、山薬20g、当帰15g、升麻6g、甘草6g)、気陰不足には養陰潤腸湯(白朮10~15g、火麻仁10~15g、麦門冬8~10g、生地黄8~10g、白芍8~10g、玄参10~12g、栝楼仁8~12g、陳皮3~6g、枳殻6~8g、甘草3g)が用いられる。 Research Prog...nese Medicine_H… 特に気滞でも生白朮25gを重用し、脾虚津虧では黄耆・山薬・茯苓で運脾益気しながら麦門冬・当帰・桃仁で増液潤腸する点が特徴で、小児便秘では「脾常不足」を軸に、健脾して津液を生じ、気機を通じて大腸を動かす治療が重要である。(2025年、郝舒)
老年機能性便秘では気陰両虚型が多く、その病機は中気不足・陰血津液不足を基礎とした脾虚失運、陰虚腸燥による大腸伝導失司で、肺・脾・腎にも関連するため、益気養陰・増液潤腸を基本に、必要に応じて行気して腸管の推動力を回復させる。 气阴两虚型老年功能性便秘研究进展_李晓萌 行気潤腸湯(川牛膝、当帰、肉蓯蓉、麩炒枳実、火麻仁、郁李仁、柏子仁、木香、青皮、厚朴、柴胡、生地黄、麦門冬、玄参、葛根、白朮、白芍、甘草)は「補中有瀉、升中有降」を特徴とし、玄参湯(玄参、苦参、升麻、蒼朮、隔山撬、山薬、地楡、谷白皮、甘草、陳皮、砂仁)は滋陰増液・潤腸通便・健脾開胃・升陽挙陥、芪榔方(黄耆、檳榔、枳実、知母、全栝楼、玉竹、望江南)は益気しながら行気・養陰して通便する。増液八珍湯、通便湯、益気開秘方も用いられるが、本総説にはこれらの完全な構成生薬は記載されていない。 气阴两虚型老年功能性便秘研究进展_李晓萌 外治では黄耆、白朮、党参、茯苓、火麻仁、当帰、陳皮、枳実、炙甘草、芥子などの穴位貼敷や、白朮、柴胡、玄参、甘草、麦門冬、大黄、党参、当帰、生地黄、檳榔、枳実、厚朴による灌腸も報告されており、気陰両虚型では黄耆・党参・白朮で益気健脾して「押し出す力」を補い、生地黄・玄参・麦門冬・玉竹で増液し、火麻仁・郁李仁・柏子仁・当帰で潤腸し、枳実・厚朴・木香・檳榔で気機を通すという「補気+増液+潤腸+行気」の組み合わせが中心となる。(2025年、李暁萌)
慢性便秘は大腸伝導失司を基本病機とし、肺・脾胃・肝腎の失調が関与して寒熱虚実が錯雑するため、瀉熱通便、順気導滞、温中散寒、補中益気、滋陰養血に分けて治療する。本論文では麻子仁丸、六磨湯、大黄附子湯、温脾湯、済川煎、黄耆湯、補中益気湯、潤腸丸、増液湯の9方を中心に整理している。 熱秘には麻子仁丸(火麻仁、芍薬、枳実、大黄、厚朴、杏仁)、気滞秘には六磨湯(檳榔、沈香、木香、烏薬、枳実、大黄)、寒積秘には大黄附子湯(大黄、附子、細辛)、陽虚寒積秘には温脾湯(大黄、附子、乾姜、人参、甘草)、腎虚津虧の陽虚秘には済川煎(当帰、牛膝、肉蓯蓉、沢瀉、升麻、枳殻)、気虚秘には黄耆湯(黄耆、陳皮、火麻仁、白蜜)、気虚下陥には補中益気湯(黄耆、人参、白朮、炙甘草、当帰、陳皮、升麻、柴胡)、血虚陰虧には潤腸丸(当帰、生地黄、火麻仁、桃仁、枳殻)、陰虚秘には増液湯(玄参、麦門冬、生地黄)を用いる。なお、この構成生薬は本論文本文には明記されていないため、古典的な標準処方を補記したものである。本文では麻子仁丸は腸管水分増加と蠕動促進、六磨湯は5-HT増加などによる腸管運動改善、大黄附子湯・温脾湯は寒積を除き腸管運動を回復、済川煎は糞便含水量・SP・C-kitを介した腸管輸送改善、黄耆湯・補中益気湯は気虚による推動無力を改善すると整理されている。 特に増液湯は陰虚・気陰両虚の便秘に応用され、AQP9を介した腸管水分分泌増加、胃腸因子やSCF/C-kitを介したCajal間質細胞・腸管運動の改善が示されており、便秘を単純に瀉下するのではなく、「腸を潤す」「気で押す」「気滞を動かす」「寒を温める」を証に応じて組み合わせることが臨床上の要点となる。(2026年、李美玲)
小児機能性便秘は大腸伝導失司を基本とするが、脾・肺・肝・腎など五臓と密接に関連し、食積内熱、陰液不足、気機鬱滞、五臓機能失調が主要病機となる。特に「脾常不足」から脾失健運→食積化熱→津液消耗→腸燥という流れが重視され、単純な通便ではなく運脾・消積・清熱・養陰・行気を組み合わせる。実秘では枳実導滞児科方(枳実、黄芩、黄連、大黄、神曲、茯苓、沢瀉、白朮)、消導通便湯(炒枳実、炒枳殻、厚朴、大腹皮、鶏内金、焦山楂、浙貝母、全栝楼、連翹、生白朮、炒白芍)を用い、湿熱が改善した後には生地黄、玄参、麦門冬を加えて養陰する。虚秘では脾胃虚弱を中心に黄耆桂枝五物湯合枳朮姜湯を用い、脾虚失運には太子参、茯苓、炙甘草、生白朮、青皮、炒鶏内金、炒稲芽、焦山楂、郁金などで健脾助運・消食和胃を図る。 肺熱下移腸腑には消積通便湯(莱菔子、枳実、三棱、莪朮、鶏内金、桑白皮、地骨皮、火麻仁、郁李仁)、肠燥津虧には増水行舟湯(火麻仁、郁李仁、柏子仁、生白朮、白芍、枳実、枳殻)を用いる。特に生白朮が食積型・脾虚型・津虧型のいずれにも登場し、健脾による推動力回復と津液輸布を基本に、枳実・枳殻・厚朴で気機を動かし、火麻仁・郁李仁・柏子仁で潤腸する配伍が臨床的に使いやすい。また少陽枢機不利による燥熱便秘には柴胡剤を用いるという視点も示されている。(2025年、韓凝)
機能性便秘は病位を大腸とし、肝・脾・胃と密接に関連し、熱・虚・鬱を主要病理因子として、胃燥熱・腸液枯涸には滋陰増液・泄熱通便、肝鬱気滞には疏肝行気・暢利腸腑、脾胃虚弱・気血不足には益気養血・以補開塞を行う。代表方として陰虚秘には増液湯(玄参、麦門冬、生地黄)、脾約・熱秘には麻子仁丸(火麻仁、芍薬、枳実、大黄、厚朴、杏仁)、気滞秘には六磨湯(檳榔、沈香、木香、烏薬、大黄、枳殻)、加味四磨湯(六磨湯に人参を加味)、寒積秘には温脾湯、血虚秘には潤腸丸、気虚秘には黄耆湯が用いられる。作用機序は腸神経系の修復、脳―腸―菌軸の調節、5-HT・SP・Ach・NO・VIPなどの神経伝達物質、AQP3・AQP4・AQP9による水液代謝、SCF/c-kitやPI3K/Aktを介したCajal間質細胞・結腸平滑筋機能の改善など多岐にわたり、特に枳朮丸(枳実、白朮)はAQP3を抑制しAQP9を促進して便中水分を増加させ、枳朮湯(枳実、白朮)は腸内細菌叢と5-HTを調節するとされる。すなわち機能性便秘では、単なる瀉下ではなく、玄参・麦門冬・生地黄で増液し、火麻仁・杏仁などで潤腸し、枳実・枳殻・厚朴・木香・檳榔などで気機を通し、白朮・黄耆・人参などで脾気を補って大腸の推動力を回復するという治療が中心となる。(2025年、庄芬妮)
老年機能性便秘では年齢に伴う脾胃虚弱・気血不足から、脾気不足→運化失司→大腸への濡養不足と推動無力を来す「気虚」が重要で、さらに肺気不足による大腸伝導失司、肝失疏泄による気機鬱滞、気虚久延による血瘀も便秘を悪化させるため、補気健脾を基本に潤腸・行気・温陽を適宜組み合わせる。代表方は補中益気湯(黄耆、人参、白朮、炙甘草、当帰、陳皮、升麻、柴胡)で、気虚下陥による排便無力・腹脹・便乾に用い、気陰両虚では増液湯(玄参、麦門冬、生地黄)を合方する。黄耆湯(黄耆、火麻仁、白蜜、陳皮)は益気生津・潤燥通便に用い、さらに気虚が強ければ太子参・党参・山薬、便乾には火麻仁・郁李仁、腹脹には木香・厚朴、脾腎陽虚には肉桂・附子を加える。現代研究では特に黄耆・白朮が重視され、神経―腸管軸や腸内細菌叢を調節して腸管運動を改善し、白朮は腸内細菌叢を介した5-HT合成やトリプトファン代謝、黄耆は腸内細菌叢・糞便代謝への作用が報告されている。すなわち老年気虚便秘では、黄耆・人参・党参・白朮で「押し出す力」を補い、火麻仁・郁李仁で潤腸し、木香・厚朴・陳皮で気滞を除き、陰虚を伴えば玄参・麦門冬・生地黄を加えるという組み立てが臨床的に重要である。(2025年、羅紅)
大黄は便秘治療の代表的な攻下薬で、瀉下攻積・清熱瀉火を中心に用い、瀉下作用は生大黄>酒大黄>熟大黄>醋大黄>大黄炭の順に強く、生大黄は作用が強い一方、長期使用では便秘悪化や肝腎毒性、大腸黒皮症に注意する。薬典用量は3~15gで、便秘には3~9gが多く、代表方として大承気湯(大黄、厚朴、枳実、芒硝)、桃核承気湯(大黄、桃仁、炙甘草、桂枝、芒硝)、増液承気湯(生大黄、玄参、麦門冬、生地黄、芒硝)、厚朴三物湯(大黄、厚朴、枳実)、大柴胡湯(大黄、柴胡、黄芩、半夏、枳実、白芍、大棗、生姜)、六磨湯(大黄、木香、烏薬、沈香、檳榔、枳殻)、麻子仁丸(大黄、麻子仁、白芍、枳実、厚朴、杏仁)が用いられ、虚秘には芪黄通秘軟膠囊(熟大黄、黄耆、制何首烏、当帰、肉蓯蓉、黒芝麻、胡桃仁、決明子、枳実、苦杏仁、桃仁)が用いられる。作用機序は蒽醌・蒽酮類、とくに番瀉苷による腸管運動・腸腔内水分増加に加え、腸内細菌叢・短鎖脂肪酸、腸管粘液、AQP3・AQP4・AQP8、CFTR/NHE3/ENaC、5-HT・SP・Ach・MTLなどを多面的に調節することであり、大黄は実熱便秘の単純な瀉下薬にとどまらず、炮製と配伍によって作用強度を調節して各種便秘に応用できるが、長期・大量使用を避けることが重要である。(2026年、梁勇)
老年便秘では胃腸機能低下や食生活の変化を背景に腸管運動・水分代謝・腸内細菌叢・神経伝達の異常が関与し、薬食同源中薬のうち蜂蜜、莱菔子、当帰、肉蓯蓉、決明子、薄荷、鉄皮石斛、火麻仁、大棗などで研究が多い。臨床では炒決明子、火麻仁、炒莱菔子、柏子仁、蜂蜜などに排便回数増加、排便間隔短縮、便軟化が報告され、四紅茶飲(枸杞子、山楂、大棗、紅蘿蔔)の併用も用いられる。主要成分は決明子の蒽醌類・多糖・食物繊維、火麻仁の不飽和脂肪酸、莱菔子油、当帰多糖・当帰油、肉蓯蓉総寡糖・食物繊維、鉄皮石斛多糖、大棗・山楂の食物繊維などで、腸内細菌叢・短鎖脂肪酸を改善するほか、AQP3・AQP4・AQP8・AQP9を調節して腸管の過剰な水分吸収を抑え、SCF/c-kitを介してCajal間質細胞を改善し、5-HT・SP・VIP・Ach・MTL・NOなどを調節して腸管運動を促進するとされる。特に火麻仁油はAQP3低下・AQP9上昇、当帰はAQP4・AQP8低下、決明子はAQP3低下、肉蓯蓉はSCF/c-kit活性化、山薬芝麻糊(山薬、黒芝麻)はICC増加とSP・VIP調節による作用が示され、老年便秘では火麻仁・柏子仁などの種仁類による潤腸、決明子による通便、肉蓯蓉による補腎潤腸、当帰による養血潤腸を食養生として利用する方向性が特徴である。一方、機序研究の多くは動物実験であり、鉄皮石斛、山薬、肉蓯蓉、当帰などは老年便秘に対する直接的な臨床研究が不足している。(2025年、黄徳志)

