下痢を漢方で改善|論文
まとめ:下痢、とくにIBS-Dでは「脾虚」を土台として、肝鬱・湿・湿熱・脾腎陽虚・寒熱錯雑などが加わるという捉え方が中心です。弁証としては、肝鬱脾虚には痛瀉要方(白朮、白芍、防風、陳皮)、脾虚湿盛には参苓白朮散(人参、茯苓、白朮、山薬、蓮子、薏苡仁、砂仁、桔梗、甘草)、脾腎陽虚には四神丸(肉豆蔻、補骨脂、五味子、呉茱萸)や附子理中湯(附子、人参、乾姜、炙甘草、白朮)、湿熱には葛根芩連湯(葛根、黄芩、黄連、炙甘草)、寒熱錯雑には半夏瀉心湯・烏梅丸などを使い分ける、という整理になります。各論文に共通する現代医学的な作用点は、①腸内細菌叢の正常化、②腸粘膜バリア(ZO-1、Occludin、Claudinなど)の修復、③5-HT・SP・VIP・CGRPなどを介した脳―腸軸と内臓知覚過敏の調節、④TNF-α・IL-6・NF-κB・TLR4などを介した低度炎症の抑制、⑤腸管運動・水分吸収の正常化に集約できます。オミクス解析でも、痛瀉要方、四神丸、附子理中丸、葛根芩連湯などは単一標的ではなく、腸内細菌―代謝―免疫―腸管バリア―脳腸軸を同時に動かす多成分・多標的治療として説明されつつあります。したがって全体を一言で整理すると、「肝鬱なら疏肝健脾、脾虚湿盛なら健脾祛湿、脾腎陽虚なら温補脾腎、湿熱なら清熱化湿、寒熱錯雑なら寒温並用」と弁証しながら、最終的には腸内細菌叢・腸粘膜バリア・炎症・脳腸軸を同時に整えるのが、中医による慢性下痢・IBS-D治療の共通した考え方です。

腹瀉型過敏性腸症候群(IBS-D)を「肝鬱脾虚・脾腎陽虚・大腸湿熱・脾虚湿盛」に分け、代表的な薬対として白朮―白芍(健脾疏肝・緩急止痛)、肉豆蔻―補骨脂(温補脾腎・渋腸止瀉)、葛根―黄連(醒脾升清・清熱止瀉)、半夏―陳皮(燥湿化痰・理気健脾)を整理している。白朮―白芍は痛瀉要方などに用い内臓知覚過敏・炎症・腸管透過性を改善し、肉豆蔻―補骨脂は二神丸・四神丸の中心薬対として腸内細菌叢、腸管バリア、内臓知覚過敏を調節する。葛根―黄連は葛根芩連湯として湿熱型IBS-Dに用い、腸内細菌叢・炎症・粘膜バリアを改善し、半夏―陳皮は二陳湯、温胆湯、六君子湯、香砂六君子湯、藿香正気散などに含まれ、脾虚湿盛による腹痛・腹満・下痢に応用される。共通する作用機序は、腸管炎症抑制、腸内細菌叢調節、内臓知覚過敏低下、腸管バリア改善などであり、IBS-Dでは証に応じてこの4薬対を使い分けることが臨床上の要点である。(2026年、張勝華)
IBS-Dを肝鬱脾虚・脾虚湿盛・脾腎陽虚・大腸湿熱の4証に分類し、肝鬱脾虚には痛瀉要方、脾虚湿盛には参苓白朮散、脾腎陽虚には附子理中丸合四神丸、大腸湿熱には葛根芩連湯の加減を基本としている。肝鬱脾虚では痛瀉要方を中心に疏肝健脾し、脾虚湿盛では参苓白朮散により健脾祛湿して5-HT・SPなどの脳腸ペプチド、腸内細菌叢・腸管バリアを調節する。脾腎陽虚では四神丸、附子理中湯などで温補脾腎し、温腎健脾調枢方(補骨脂、肉豆蔻、五味子、呉茱萸、太子参、鬱金、白朮、蒼朮、大棗、生姜)なども用いられる。大腸湿熱では葛根芩連湯を中心に清熱利湿し、連朴飲、黄芩湯なども応用され、炎症、内臓知覚過敏、脳腸軸、腸内細菌叢、腸管バリアを多面的に改善する。臨床的には「肝鬱→痛瀉要方、脾虚湿盛→参苓白朮散、脾腎陽虚→四神丸+附子理中、大腸湿熱→葛根芩連湯」という整理が最も実用的である。(2026年、王明月)
IBS-Dに対する中医薬の作用機序を、転写・蛋白質・代謝・腸内細菌などのオミクス解析から整理した総説である。白朮芍薬湯はFoxO経路を介して腸管バリアと脳腸軸を改善し、逍遥散はNF-κB関連経路と脳内ドパミン系を同時に調節、痛瀉要方はmiRNA・蛋白発現およびトリプトファン代謝などを調節する。附子理中丸は脾陽虚型IBS-Dのアミノ酸・脂質・糖質などの代謝異常を改善し、四神丸は腸内細菌叢を再構築する。葛根芩連湯では腸内のロゼブリア属、アッカーマンシア属などを増加させ、グリセロリン脂質・一次胆汁酸代謝を改善することが示された。さらに温通肝脾湯、疏肝湯、腸康方などでも腸内細菌―代謝―脳腸軸を介した多面的作用が報告されている。ただし、本論文ではこれら各複方の構成生薬・用量は記載されていないため、生薬構成は補記せず原文どおり省略する。研究の多くは動物実験であり、今後は証型別の大規模臨床研究と多オミクス統合による検証が必要とされる。(2026年、高山雪)簡単にいうと、**「漢方薬が効いたとき、遺伝子・蛋白・代謝物・腸内細菌が全体としてどう変化したかを一気に調べる方法」**です。
葛根芩連湯(葛根黄連黄芩湯)を脾胃湿熱型IBS-Dの代表方とし、清熱利湿止瀉を目的に用いる。原方は葛根半斤、黄芩三両、黄連三両、炙甘草二両で、葛根が升清止瀉、黄芩・黄連が清熱化湿・厚腸止瀉、炙甘草が和中・諸薬を調和する。作用機序として、IL-6・TNF-αなど炎症反応の抑制、Occludin・Claudin-1増加による腸粘膜バリア修復、ビフィズス菌・乳酸桿菌・アッカーマンシアなど有益菌の増加、CGRP・SP・5-HT系抑制による内臓知覚過敏の軽減、葛根素・黄芩苷・小檗鹼などによる胃排出・小腸輸送抑制、さらに腸管免疫調節が報告されている。臨床的には湿熱による腹痛・下痢に対して、炎症、腸管バリア、腸内細菌、知覚過敏、腸管運動を同時に調節する方剤として位置づけられるが、薬味の用量・配合比には統一基準がなく、肝腎安全性を含む臨床的検証が今後必要とされる。(2026年、常晶晶)
IBS-Dは中医では「泄瀉」「腹痛」に属し、病位は腸にあるが肝・脾・腎との関係が深く、主に肝鬱脾虚、脾虚湿盛、脾腎陽虚、大腸湿熱に分類される。中医薬は脳―腸軸、腸内細菌叢、腸粘膜バリア、炎症・免疫、胃腸運動・分泌の5方面から作用し、白朮芍薬湯はFoxO経路を介して脳―腸軸と腸管バリアを改善、腸安顆粒は5-HTを調節、温通肝脾湯・附子理中丸は腸内細菌叢を改善、四逆散はTLR4/MyD88を抑制しOccludin・ZO-1を増加、四神丸は自噬を促進し小胞体ストレスを抑制、参苓白朮散はTLR2/TLR4/MyD88/NF-κBを抑制、大建中湯はTh17/Tregバランスを改善し、加味柴芍六君湯・腸康方・痛瀉要方・白朮芍薬散はSP・5-HTなどを介して胃腸運動・分泌を調節する。本文に登場する方剤は白朮芍薬湯、腸安顆粒、温中平胃湯、温通肝脾湯、附子理中丸、加味交泰丸、四逆散、四神丸、藿砂口服液、大建中湯、参苓白朮散、加味柴芍六君湯、腸康方、痛瀉要方、白朮芍薬散だが、本総説本文にはこれら複方の構成生薬・用量の記載がないため、原文を尊重して標準処方からの生薬補記は行わない。(2026年、由智夫)
附子理中湯は脾腎陽虚型IBS-Dに用いる温補脾腎・散寒化湿の代表方で、原方は附子、人参、乾姜、炙甘草、白朮各三両。附子で温腎助陽、乾姜で温中散寒、人参・白朮で補気健脾・燥湿止瀉、炙甘草で和中する。作用は腸管炎症抑制(TNF-α、IL-18、IL-6、IL-1β、IFN-γ低下、IL-4・IL-10上昇)、免疫調節、AQP4・AQP8増加による水分再吸収、腸内細菌叢改善、5-HT・VIP低下およびNPY上昇による脳―腸軸調節、Occludinなどの増加による腸管バリア修復に及ぶ。臨床研究では党参20g、白朮20g、乾姜6g、附子12g、炙甘草6g、または党参15g、白朮12g、乾姜10g、制附子10g、炙甘草6gなどが使用され、加味方として炙甘草6g、白朮15g、呉茱萸5g、補骨脂12g、党参12g、大棗5枚、制附子10g、乾姜10g、木香10g、五味子6g、白芍10g、肉豆蔻6gも報告されている。臨床的には脾腎陽虚を基本に、気滞には烏薬・木香、気虚・湿には黄耆・茯苓、滑脱には烏梅・五味子を加える考え方が示されている。(2026年、高穎)
IBS-Dの基本病機は脾胃升降失調・湿邪内盛・腸道伝導失司で、肝鬱脾虚、脾虚湿盛、脾腎陽虚、脾胃湿熱、寒熱錯雑の5証に整理される。肝鬱脾虚には**痛瀉要方(白朮、白芍、防風、陳皮)で疏肝健脾止瀉、脾虚湿盛には参苓白朮散(人参、茯苓、白朮、山薬、蓮子、薏苡仁、砂仁、桔梗、甘草)で健脾益気・滲湿止瀉、脾腎陽虚には四神丸(肉豆蔻、補骨脂、五味子、呉茱萸)で温補脾腎・渋腸止瀉、また温腎健脾方(附子、肉桂、乾姜、白朮、茯苓、山薬など)が用いられる。 Research prog...owel syndrome_Z… Research prog...owel syndrome_Z… 脾胃湿熱には葛根芩連湯(葛根、黄芩、黄連、甘草)で清熱化湿止瀉、清化止瀉方(鳳尾草、白朮、茯苓、黄芩など)で清熱化湿・止瀉する。寒熱錯雑には黄厚止瀉滴丸(黄連、厚朴、木香、乾姜)、また烏梅丸(烏梅、細辛、黄連、黄柏、乾姜、当帰、附子、人参、桂枝、蜀椒、白芍)**で寒熱を並調する。作用機序として腸内細菌叢、5-HT・P物質などの神経伝達物質、TLR4/NF-κB炎症経路、腸上皮タイトジャンクション、胃腸運動・内臓知覚過敏を多面的に調節すると整理されている。(2025年、張志良)
葛根芩連湯は湿熱内蘊によるIBS-Dに対し、升陽健脾・清熱化湿・升清降濁・厚腸止利を目的に用いられる。本論文では**葛根芩連湯(葛根、黄芩、黄連、炙甘草)**として扱われ、腸内短鎖脂肪酸産生菌を増加させ、NF-κB抑制、ZO-1・Occludin・Claudin-1増加による腸粘膜バリア修復、TLR4/NF-κB、Notch、MMP-9/p38MAPKなどを介したTNF-α・IL-1β・IL-6低下、IL-10増加、さらにIL-6/JAK2/STAT3抑制によるTh17/Tregバランス改善など、多面的に作用する。 Research prog...owel syndrome_W… Research prog...owel syndrome_W…各生薬では、葛根の葛根多糖・葛根素・鳶尾苷元などが免疫・炎症を調節し、黄芩の漢黄芩素・黄芩多糖・黄芩苷・黄芩素などが抗炎症、腸内細菌叢・腸管バリアを改善、黄連の黄連素・小檗鹼がTh17/Treg、腸内細菌叢、NF-κB・JAK2/STAT3・p38MAPKなどを調節し、炙甘草の甘草酸・異甘草素・甘草多糖・甘草素が抗炎症、免疫調節、腸管収縮抑制に働く。 Research prog...owel syndrome_W… 臨床では葛根芩連湯単独、葛根芩連湯+四逆散、西薬・プロバイオティクスとの併用、加味葛根芩連湯+穴位貼敷、葛根芩連湯灌腸+鍼灸などが報告されているが、本論文には葛根・黄芩・黄連・炙甘草それぞれの用量、および加味方の具体的な追加生薬・用量は記載されていない。(2025年、温舜堯)
IBS-Dの発症には、脳―腸軸異常、内臓知覚過敏、消化管運動異常、腸内細菌叢の乱れ、心理・情志因子が相互に関与する。本論文はこれを中医の「心―脳―腸軸」として捉え、心と脳は共に神明を主り、脾胃で化生された水穀精微が心脳を滋養すると同時に、脾胃の運化が腸内細菌叢の恒常性を支えると考える。ストレス・焦慮・抑鬱などの情志変化は大脳皮質から視床下部―下垂体―副腎軸、自律神経を介して腸蠕動亢進・内臓知覚過敏を生じ、逆に腸内細菌叢の異常や腸管刺激も迷走神経などを介して中枢へ伝わり、精神症状を増悪させるという双方向性が重視される。 Investigating...t Axis Theory_L… 中医的には脾胃を「心―脳―腸軸」の中心的な調節点と捉え、脾胃を調えて腸内細菌叢を安定させ、心脳・情志にも作用させることがIBS-D治療の新しい方向とされる。なお、本論文は病機を中心とした理論論文であり、具体的な内服方剤・構成生薬は提示されず、治療例として内関・公孫への電鍼による「心胃同治」が記載されている。(2025年、林玉霜)
葛根芩連湯(葛根、黄芩、黄連、炙甘草)は清熱燥湿・止瀉を基本とし、脾胃湿熱型IBS-Dでは腹痛・下痢を改善し、単独投与だけでなく痛瀉要方との併用、加味方、西洋薬との併用でも有効性が報告されている。Research_Prog...inal_Diseases_Z… 現代医学的には、腸内細菌叢を調整して有益菌を増やし条件性病原菌を減少させるほか、NF-κB、PI3K/AKT、JAK2/STAT3などの炎症経路抑制、Th17/TregなどT細胞バランスの調節、酸化ストレス軽減、腸粘膜バリア修復が作用機序として示されている。IBS-D、潰瘍性大腸炎、結直腸癌は異なる疾患であっても、湿熱蘊腸という同一証があれば葛根芩連湯で「異病同治」することが本論文の中心的主張である。(2025年、張静)
IBS-Dでは腸管の低度炎症が重要な病態とされ、IL-1β・IL-2・IL-6・IL-8・TNF-α上昇、IL-10低下に加え、肥大細胞、好酸球、樹状細胞、マクロファージの活性化が腸管バリア障害や内臓知覚過敏に関与する。中医では基本病機を肝鬱脾虚とし、肝鬱脾虚・脾虚湿盛・脾腎陽虚・大腸湿熱の4証に分類し、「気機失衡」と脾胃運化失調を低度炎症・免疫異常と関連づけている。 Research Prog...tory Response_L… 治療では**痛瀉要方(陳皮、防風、白朮、白芍)**が腸内細菌叢、LPS、CSF1、IL-12・IL-10、5-HT・VIPを調節し、**白朮芍薬湯(白朮、芍薬、甘草等)**がFoxOおよびTLR4/MyD88/NF-κB経路を介して炎症と腸管バリアを改善、**腸康方(白芍、菟絲子、防風、熟地黄、蝉脱、黄連、金蕎麦)**がIL-6・TNF-α・IL-1βを低下させ、Occludin増加、5-HT3受容体低下、SERT増加を介して炎症・内臓知覚過敏を改善するとされる。原文にはこれ以上の構成生薬および各生薬の用量記載はないため補記しない。(2025年、梁力宬)
IBS-Dは脳腸軸異常、内臓知覚過敏、水液代謝異常、腸管炎症、腸内細菌叢異常などが複合して発症し、中医薬はこれらを多面的に調節する。脳腸軸では**醒脾膠囊(蜘蛛香、毛大丁草、山梔茶、一点紅)**が5-HTを調節し、参苓白朮散、疏肝安腸湯も5-HT・CRF・NPYを介して作用する。内臓知覚過敏には四神丸、芍薬甘草湯、痛瀉要方がTRPV1、PAR2、SP、CGRPや肥大細胞を調節し、水液代謝には痛瀉要方がAQP3を増加、健脾化湿顆粒(防風、砂仁、陳皮、炙黄耆、炙甘草、烏薬等)がAQP3・AQP4を調節する。 中医治疗腹泻型肠易激综合征研究进展_王彤 中医治疗腹泻型肠易激综合征研究进展_王彤 炎症に対しては安腸湯(柴胡24g、陳皮10g、川芎12g、香附12g、枳殻10g、芍薬12g、甘草6g、白朮12g、防風10g)がHMGB1・IL-1を低下させ、参苓白朮散はTLR4/MyD88/NF-κBを抑制してOccludin・ZO-1を改善する。腸管運動には疏肝健脾方(陳皮12g、白芍12g、白朮12g等)、痛瀉要方、藿砂口服液、腸内細菌叢には香砂六君子湯、白朮―木香薬対、五苓散、加味交泰丸の作用が報告されている。原文で構成・用量が記載されているものは省略せず記載し、「等」とされている処方や構成記載のない方剤については原文以上の生薬を補っていない。(2025年、王彤)
IBS-Dでは肝鬱脾虚が基本病機とされ、疏肝健脾法は脳腸軸、内臓知覚過敏、腸管炎症、精神心理、腸内細菌叢、腸粘膜バリア、消化管運動を多面的に調節する。具体的には5-HT・SP・NPY・CGRPなどの脳腸ペプチドを調節し、TRPV1、NGF/P75/TrkA、Ca²⁺/CaMKⅡ-AMPK-MEF2などを介して内臓知覚過敏を抑え、IFN-γ・TNF-α・IL-1βを低下、IL-4・IL-10を増加させ炎症を抑制する。またビフィズス菌・乳酸桿菌を増加、大腸菌を減少させ、Claudin-1・Occludinを増加して腸管バリアを修復し、cAMP/PKA/Ca²⁺を介して結腸平滑筋の過収縮を抑制する。 Research Prog...owel Syndrome_K… Research Prog...owel Syndrome_K… Research Prog...owel Syndrome_K… 処方では疏肝健脾中薬複方(炒白朮、茯苓、白芍、延胡索、合歓皮等)、および**痛瀉要方加味(痛瀉要方に柴胡、炮姜、炙甘草を加味)**が記載され、前者は内臓知覚閾値を上昇させ、後者はPKA-TRPV1-CGRP経路を抑制して腹痛・下痢を改善する。原文ではこれ以上の構成生薬および各生薬の用量は記載されていないため補記しない。(2025年、康洪昌)
化学療法関連性下痢(CID)は中医では「泄瀉」に属し、正気虧虚を本、水湿下注を標として、脾胃虚弱、脾腎陽虚、寒熱錯雑、湿熱内蘊、肝鬱脾虚などに弁証する。治療は脾胃虚弱に補中益気湯・参苓白朮散・香砂六君子湯・人参健脾丸・理中湯、脾腎陽虚に四神湯・附子理中丸、寒熱錯雑に烏梅丸・瀉心湯類、湿熱内蘊に茵陳五苓散・葛根芩連湯・黄芩湯、肝鬱脾虚に痛瀉要方を用いる。単味薬では藤椒、穿心蓮、黄耆、厚朴、黄連鹼、車前子が検討され、炎症抑制、腸粘膜保護、AQP3増加などが報告されている。 Overview of T...ated Diarrhea_P… Overview of T...ated Diarrhea_P… 自験的処方として扶正固本湯(黄耆30g、薏苡仁30g、鶏血藤30g、杜仲20g、白芍20g、枸杞子15g、炒白朮15g、陳皮15g、淫羊藿15g、雲苓15g、補骨脂15g、山茱萸15g、女貞子15g、人参10g、肉桂10g、当帰10g、甘草10g)、女貞連桂白芍湯(女貞子15g、墨旱蓮15g、白芍15g、桂枝10g、大棗7枚、生姜3片、甘草6g)、**和胃固腸方(黄芩、黄耆、党参、石榴皮、五味子、訶子、生姜、大棗、陳皮、炒白朮、炒山薬、呉茱萸、肉豆蔻、甘草)**が記載され、腹痛・下痢の軽減、化学療法完遂率やQOL改善が報告されている。原文に用量のない方剤・生薬については補記せず、記載された生薬は省略していない。(2025年、潘洋麗)
機能性腹瀉では腸内細菌叢の乱れが重要で、有益菌減少・病原性菌増加によりOccludin・ZO-1などのタイトジャンクションが障害され、腸管透過性亢進、TNF-α・IFNなどを介した炎症、さらに脳―腸軸異常や消化管運動異常を引き起こすとされる。短鎖脂肪酸(酢酸・プロピオン酸・酪酸)は腸上皮のエネルギー源となり、粘膜バリア、免疫、水・電解質、腸管運動を調節する。 功能性腹泻患者的肠道菌群特点及中医诊疗的研究进展_陈妍 功能性腹泻患者的肠道菌群特点及中医诊疗的研究进展_陈妍 中医薬では腸内細菌叢を治療標的とし、太子参多糖は厚壁菌門/擬桿菌門比を増加して酪酸・酢酸産生を促進、麩炒白朮多糖は同比率を高め腸管免疫活性を改善、皂苷は厚壁菌門/擬桿菌門比を高め病原菌を減少、蒼朮甘は有害菌を抑制しアッカーマンシアを増加、焦蒼朮は乳酸菌を増加、煨葛根は擬桿菌門を減少して糖・脂質代謝を調節、黄耆多糖は擬桿菌・副擬桿菌を減少、砂仁揮発油は腸内有益菌を増加させると整理されている。なお、この論文では具体的な複方処方や各生薬の用量は提示されておらず、表に記載された薬物・成分は以上のとおりである。(2025年、陳妍)
痛瀉要方は肝鬱脾虚による腹痛・泄瀉を治す代表方で、『丹渓心法』原文では炒白朮三両、炒芍薬二両、炒陳皮一両半、防風一両、久瀉には升麻六銭を加えると記載され、白朮で健脾除湿、白芍で柔肝緩急止痛、陳皮で行気燥湿醒脾、防風で疏肝・舒脾・勝湿して健脾抑肝・除湿止瀉を図る。 Researchprogr...ated diseases_L…IBS-Dでは5-HT・SP・CRF・CGRP・VIPを低下、NPYを増加して脳腸軸と内臓知覚過敏を調節し、肥大細胞活性化・脱顆粒を抑制するとともにAQP3・Claudin-1を増加して水分再吸収と腸粘膜バリアを改善する。また腸内細菌では変形菌門・螺旋体門・疣微菌門を減少、擬桿菌門・乳酸桿菌属・プレボテラ科などを増加させ、TPH1低下・SERT増加を介したトリプトファン―5-HT代謝にも作用する。 Researchprogr...ated diseases_L…Researchprogr...ated diseases_L… Researchprogr...ated diseases_L… さらにp38MAPK、BDNF/TrkB、SCF/c-kit、PI3K/AKT、JAK/STATなどを調節し、炎症・腸管運動・免疫・粘膜バリアを多面的に改善する。臨床応用はIBS-Dだけでなく機能性下痢、潰瘍性大腸炎、結直腸腫瘍、放射性腸炎、化学療法関連性下痢まで報告されている。古典的加味として煨烏梅・川椒、また呉茱萸・益智・煨葛根・木香・荷葉の追加も記載されているが、これらの加味薬の用量は本文に記載されていない。(2025年、李晶晶)
四神丸は脾腎陽虚型IBS-Dを対象とする温腎暖脾・渋腸止瀉の代表方で、原文では**四神丸(補骨脂、肉豆蔻、呉茱萸、五味子、生姜、大棗)**と記載され、補骨脂を君薬として命門の火を温補し、肉豆蔻で温脾渋腸、呉茱萸で散寒、五味子で収斂止瀉、生姜で温胃散寒、大棗で補益脾胃する。IBS-Dに対しては肥大細胞トリプターゼ、c-fos、5-HTを低下させ、Ca²⁺チャネル拮抗作用によって腸痙攣・内臓知覚過敏を抑制し、5-HT・P物質・Ghrelinなどを介して脳―腸軸を調節する。また変形菌門・マイコプラズマ属などを減少させ、クロストリジウム属などを増加させて腸内細菌叢を調節し、NF-κB、TLR4、NOD2を抑制、ZO-1・Occludinを調節して腸粘膜バリアを修復する。さらにGhrelin、VIP、5-HT、P物質などを低下させて腸管運動亢進を抑え、五味子甲素によるNLRP3炎症小体抑制、IL-6・IL-1β・TNF-α低下などの抗炎症作用も示されている。本論文では四神丸6味の具体的用量は記載されていないため補記しない。(2025年、鄭芳艶)
寒熱錯雑型IBS-Dは、肝鬱脾虚を基礎に、胃熱腸寒・虚実夾雑・寒熱互結を呈し、大便時溏時瀉、便前腹痛・便後軽減、腹脹・腸鳴に、口苦・口臭・肛門灼熱などの熱証と、畏寒・四肢不温・受涼増悪などの寒証が併存する。治療は単純な温補・清熱ではなく、寒温並用・補瀉兼施・辛開苦降による平調寒熱、燮理陰陽、調暢気機を基本とし、烏梅丸、半夏瀉心湯加減、柴胡桂枝乾姜湯、外台六物黄芩湯などが用いられる。 自擬方では**泄瀉3号方(柴胡15g、炒白朮15g、党参10g、黄連5g、黄芩5g、炮姜8g、肉桂10g、訶子10g、肉豆蔻10g、枳殻10g、厚朴10g、砂仁5g、炒白芍15g、生牡蛎30g、炙甘草5g)が報告され、さらに烏梅丸合痛瀉要方加減の烏痛湯(烏梅30g、細辛9g、乾姜15g、黄連12g、附子9g〔先煎〕、当帰6g、蜀椒6g、肉桂9g、人参9g、黄柏9g、陳皮15g、白芍18g、防風12g、炒白朮15g、炙甘草6g)**で有効性が報告されている。 原文では烏梅丸、半夏瀉心湯、柴胡桂枝乾姜湯、外台六物黄芩湯そのものの構成生薬・用量は記載されていないため補記しない。(2025年、林学敏)
IBS-Dでは「腸―脳軸」の異常が重要で、中枢神経系・腸神経系・自律神経系を介して脳と腸が双方向に連絡し、5-HT、SP、VIP、NPY、CRF、CGRP、CCK、SS、MTLなどの脳腸ペプチドが腸管運動・分泌・内臓知覚・免疫を調節する。中薬では広藿香醇、肉桂抽出物、白芍総苷、駱駝刺抽出物が5-HT・SP・MTL・VIPなどを調節し、複方では**腸康方(防風、炒白芍、菟絲子、黄連、熟地黄、蝉脱、金蕎麦)**が5-HT・SP・VIPを低下させ、腸管運動、内臓知覚過敏、腸管バリア、腸内細菌叢を改善する。**舒益寧腸湯(柴胡、当帰、枳実、白芍、延胡索、太子参、茯苓、白朮、陳皮、石榴皮、仏手柑、香櫞)**はCGRP・5-HTを低下させるほか、健脾化湿顆粒、参倍固腸膠囊、白朮芍薬湯、醒脾膠囊、四神丸、息風化湿方、升陽益胃湯、藿砂口服液、痛瀉要方、痛瀉安脾湯、平胃膠囊、芪連結腸寧方、参苓四逆湯、腸安Ⅰ号方、疏肝健脾湯、参苓白朮散、当帰四逆湯、痛瀉四神湯なども脳腸ペプチドを介した作用が報告されている。鍼灸・艾灸でも天枢、上巨虚、足三里、太衝、内関、関元などへの刺激により5-HT・SP・CGRP・CRF・CCKなどが調節され、腹痛、下痢、内臓知覚過敏、焦慮・抑鬱の改善が示されており、中医薬は「腸―脳軸」を介して腸と精神・情志の双方を調節することがIBS-D治療の重要な機序と考えられる。なお、腸康方・舒益寧腸湯以外の上記複方については本文に完全な構成生薬・用量の記載がないため補記していない。(2025年、彭金婵)
参苓白朮散は脾虚湿盛型IBS-Dに用いる益気健脾・滲湿止瀉の代表方で、本論文では**参苓白朮散(人参、白朮、茯苓、蓮子肉、薏苡仁、砂仁、桔梗、白扁豆、山薬、炙甘草)**と記載され、人参・白朮・茯苓で健脾益気・運脾化湿し、蓮子肉・山薬で補気健脾止瀉、白扁豆・薏苡仁で滲湿健脾、砂仁で芳香化湿、桔梗で薬力を上行させ、炙甘草で諸薬を調和する。IBS-Dに対して腹痛・下痢などの症状改善、再発率低下、QOL改善が報告され、作用機序として5-HT・VIP・SP低下、腸粘膜肥大細胞の調節、腸内細菌叢改善、ZO-1・Occludin・ClaudinおよびMUC2・IAPを介した腸粘膜バリア修復、IFN-γ・IL-8低下、NPY上昇、CD3・CD4・CD4/CD8などTリンパ球サブセットの調節が示されている。さらにネットワーク薬理学では184種の活性物質が抽出され、ケルセチン、ケンフェロール、イソラムネチンが主要成分、ESR1・MAPK14・AR・PTGS2が主要標的とされた。本論文では加味参苓白朮散について多数の臨床研究を紹介しているが、各加味方の具体的な追加生薬・用量は記載されていないため補記しない。(2025年、林学敏)
化学療法関連性下痢(CID)は中医では「泄瀉」に属し、化学療法薬の「薬毒」が脾胃を損傷して脾虚・湿盛を生じることを基本とし、久病では肝脾不和、脾腎陽虚、湿鬱化熱、寒熱錯雑へ進展すると考える。脾虚湿盛には参苓白朮散、人参健脾丸、健脾開胃方、健脾和胃方、補脾和胃方を用い、久瀉・中気下陥には補中益気湯、升陽益胃湯、久瀉には参苓白朮散を基礎として肉豆蔻、金桜子、訶子を加えた補腸止瀉方を用いる。湿鬱化熱には葛根芩連湯加減、大承気湯、寒熱錯雑には半夏瀉心湯、生姜瀉心湯、甘草瀉心湯、脾腎陽虚には附子理中丸合四神丸、烏梅丸、健脾益腎止瀉湯、健脾補腎湯、右帰丸、肝脾不和には黄耆・党参で健脾扶正し、柴胡・白芍で疏肝理気するほか、痛瀉要方、逍遥散合四君子湯を用いる。外治では鍼刺、艾灸、呉茱萸穴位貼敷なども併用され、CIDでは健脾滲湿を中心に、病態に応じて升陽除湿・清熱燥湿・寒熱平調・温補脾腎・渋腸止瀉・疏肝健脾を組み合わせることが重要とされる。本論文には各方剤の完全な構成生薬・用量は記載されていないため、原文にない生薬・用量は補記していない。(2024年、蒋凌)
腹瀉型過敏性腸症候群(IBS-D)は中医では「腹痛」「泄瀉」に属し、肝鬱脾虚を重要な病機とし、脾虚湿阻、脾胃湿熱、肝鬱脾虚、脾腎陽虚、寒熱錯雑の5証型に分ける。脾虚湿阻には健脾祛湿方、参苓白朮散、脾胃湿熱には葛根芩連湯、参苓白朮散、芍薬甘草湯、加味葛根芩連湯、肝鬱脾虚には健脾祛湿膏、参苓白朮顆粒合痛瀉要方、痛瀉要方、自擬柴朮苡烏湯、脾腎陽虚には奠土湯加味、温腎固陽湯、寒熱錯雑には柴胡桂枝乾姜湯加減が用いられ、中成薬では補中益気丸、胃腸安丸、補脾益腸丸が報告されている。作用機序は腸内細菌叢を調節して乳酸桿菌・ビフィズス菌などの有益菌を増加させ、ZO-1・Claudin-1などを介して腸粘膜バリアを修復し、TNF-α、Th1/Th2、SCF/c-kit、5-HT受容体などを調節して炎症・免疫・内臓知覚過敏を改善するほか、腸内細菌―腸―脳軸を介して心理症状にも作用するとされる。本論文では上記方剤の構成生薬および各生薬の用量は記載されていないため、原文にない生薬・用量は補記していない。(2024年、馮奕鈞)
腹瀉型過敏性腸症候群(IBS-D)は中医では「泄瀉」「腹痛」に属し、情志不調から肝気鬱結し横逆して脾を克し、脾失健運から泄瀉を生じる肝鬱脾虚が中心病機とされ、さらに久病では脾陽虚から腎陽虚へ、また肺気不足による宣発粛降・水液代謝・大腸伝導の失調も関与すると考える。脳―腸軸ではCNS・ANS・ENS、HPA軸、5-HT、SP、VIP、NPY、CGRPなどが内臓知覚・腸管運動・分泌・情動を双方向に調節し、精神的ストレス→腸症状→心理的負担→さらに腸症状悪化という「肝鬱―脾虚」の悪循環を形成する。 中薬では痛瀉要方が代表方で、VIP・CGRP低下による腸管運動・吸収・知覚調節、腸康方は結腸5-HT低下と肥満細胞調節、疏肝安腸湯は5-HT・CRF低下、NPY上昇を介した腹瀉・不安の改善が報告されている。論文本文にはこれら方剤の完全な構成生薬・用量の記載はなく、温針灸併用例でのみ痛瀉要方を基礎に党参、茯苓、甘草を加えることが記載されているため、原文にない構成は補っていない。著者らは脳―腸軸を中医の整体観と結びつけ、IBS-Dでは「疏肝健脾」と脳―腸軸調節を一体として考えることを臨床的方向性としている。(2025年、于淑琪)
痛瀉要方は肝旺脾虚・肝鬱脾虚による腹痛泄瀉の代表方で、『丹渓心法』原文は炒白朮三両、炒芍薬二両、炒陳皮一両半、防風一両、久瀉には升麻六銭を加えると記載され、疏肝健脾・祛湿止瀉を目的とする。臨床ではIBS-Dの腹痛・下痢、潰瘍性大腸炎、結直腸癌術後・化学療法後下痢、胆嚢摘出後症候群などに応用され、IBS-DではTNF-α・IL-1β低下、AQP3・Claudin-1増加、TLR4/MyD88/NF-κBやPI3K-Akt、miR-199a/TRPV1、p38MAPK、c-kit/SCFなどの調節を介して炎症、腸粘膜バリア、内臓知覚過敏、腸管運動を改善する。またSP・5-HT・VIPなどの脳腸ペプチドを調節し、乳酸桿菌・ビフィズス菌を増加、擬桿菌門を増加させ、変形菌門・螺旋体門を減少させるなど腸内細菌叢にも作用する。臨床応用では痛瀉要方合四逆散加味、痛瀉要方合四君子湯、加味痛瀉要方なども報告されるが、これら加味方の具体的な構成生薬・用量は本文に記載されていないため補記していない。(2024年、李遼飛)
肝鬱脾虚型泄瀉は、もともとの脾胃虚弱に情志不暢が加わり、肝失疏泄・肝木乗脾から脾失健運、清濁升降失常、水湿下注を来す病態で、治療は健脾益気・疏肝理脾を基本とする。脾虚湿盛には参苓白朮散を用い、原文では特に薏苡仁、茯苓、白朮の健脾滲湿・止瀉作用を重視し、玉屏風散合香砂六君子湯加減も報告されている。肝鬱脾虚には痛瀉要方(炒白朮三両、炒芍薬〔原文PDFでは用量部分欠落〕、炒陳皮一両、防風一両、久瀉には升麻六銭)を基本とし、四逆散合痛瀉要方加減として柴胡、白芍、枳殻、白朮、陳皮、法半夏、厚朴、仏手、黄耆、党参、茯苓、砂仁、白扁豆、烏梅、五味子、甘草、胸脇脹痛には鬱金・木香、神疲乏力には山薬を加える処方が報告されている。さらに疏肝止瀉方として白朮、茯苓、猪苓、〔原文PDFで1薬欠落〕、桂枝、陳皮、防風、白芍、石榴皮、益智仁、訶子が用いられ、疏肝柔肝・健脾益気・祛湿止瀉を図る。外治では天枢、足三里、上巨虚、太衝、公孫、侠白、百会、印堂などへの鍼灸、督脈隔姜灸、推拿、**丁香護臍方(丁香、乾姜、五倍子等)**の穴位貼敷、三白灌腸方、耳穴圧豆なども用いられ、腸症状だけでなく情志不暢・焦慮などを含めて治療する点が特徴とされる。原文で生薬名・用量が欠落している箇所は推測で補わず、記載された生薬は省略していない。(2024年、馬璐婧)
痛瀉要方は脾胃気虚を発病の基礎、土虚木侮・肝脾不和を病機の核心とするIBS-Dに対し、補脾柔肝・祛湿止瀉を目的に用いる。本論文の痛瀉要方は陳皮、炒白芍、炒白朮、防風の4味で、白朮を君薬として補脾燥湿、陳皮で燥湿醒脾、白芍で柔肝緩急止痛、防風で健脾除湿止瀉する。各薬では、白芍の芍薬苷・芍薬内酯苷・羟基芍薬苷・芍薬花苷などの白芍総苷が鎮痛・抗炎症・免疫調節に働き、白朮の揮発油・白朮多糖・蒼朮醇などが腸管運動・自律神経・Ca²⁺を調節、陳皮のフラボノイド・揮発油・アルカロイドなどが抗炎症・抗酸化および腸管運動を調節し、防風のクロモン類・クマリン類・有機酸・多糖類などが鎮痛・免疫・腸内細菌叢を調節し、芍薬苷の腸管吸収も促進するとされる。作用機序はPAR-2抑制によるTNF-α・IL-6低下、NF-κB抑制、miR-21・miR-24・miR-375低下とmiR-31a・miR-192・miR-223上昇、SERT上昇・TPH-1/TPH-2低下による結腸5-HT低下、肥大細胞増殖・脱顆粒およびc-Fos抑制、ホモシステイン・メチオニンなどの代謝調節、OCLN・ZO-1上昇による腸粘膜バリア改善など多岐にわたる。臨床でも腸内細菌叢、脳腸ペプチド、内臓知覚過敏、腹痛・下痢・便性状・排便頻度を改善することが報告されている。本論文には痛瀉要方4味の具体的用量、および「新加痛瀉要方」の構成生薬・用量は記載されていないため補記していない。(2024年、李合鵬)
IBS-Dの「肝―腸」軸失調の核心は肝脾不和で、肝の疏泄失調により脾胃の升清降濁・津液輸布が障害され、湿濁が腸に下注して泄瀉を生じ、気機鬱滞と脾虚による失養が腹痛を生じると考える。治療の中心となる**痛瀉要方(白朮、陳皮、白芍、防風)**は、白朮で健脾化湿・益気、陳皮で燥湿理気、白芍で柔肝緩急・補血、防風で辛散疏肝する。現代医学的にはCRH/CRF受容体系を調節して脳腸軸を整え、下丘脳5-HTを増加させる一方、腸粘膜5-HT・5-HT受容体を抑制して内臓知覚過敏を軽減する。またAQP3・AQP8を増加させて腸管水分再吸収を促進し、Claudin-1、PI3K/Akt、GCN2/PERK-eIF2α-ATF4、NF-κB/Notchなどを介して腸粘膜バリアを維持する。さらに厚壁菌門・擬桿菌門を増加、変形菌門を減少させるなど腸内細菌叢を改善し、胆汁酸代謝との関連も示唆されているが、痛瀉要方による胆汁酸代謝調節についてはまだ十分な研究がない。本論文には4味それぞれの用量や具体的な加減方の構成・用量は記載されていないため補記していない。(2024年、毛国章)
IBS-Dは中医では「泄瀉」に属し、脾を中心として肝・腎・胃・小腸などが関与し、湿邪が重要な病理因子とされ、肝脾不和、脾虚湿盛、脾腎陽虚、脾胃湿熱、寒熱錯雑などに弁証する。肝鬱脾虚には痛瀉要方、理腸飲、脾虚湿盛には参苓白朮散、理脾祛湿方、脾腎陽虚には固本渋腸方、消陰止泄湯、脾胃湿熱には葛根芩連湯、寒熱錯雑には黄厚止瀉滴丸が用いられ、脳腸軸、HPA軸、5-HT・CGRP・VIP・CCKなどの脳腸ペプチド、PI3K-Akt・TNF・MAPK、炎症・酸化ストレス、腸内細菌叢、内臓知覚過敏などを調節することが報告されている。外治では調神健脾針法(百会、印堂、太衝、足三里、三陰交、天枢、上巨虚)、疏肝健脾針法、熱敏煉臍灸、隔薬灸貼、関元穴混元灸などが用いられ、中薬内服との併用では久瀉方+火龍灸、健腸止瀉合剤+穴位貼敷なども報告されている。本総説には痛瀉要方、理腸飲、参苓白朮散、理脾祛湿方、固本渋腸方、消陰止泄湯、葛根芩連湯、黄厚止瀉滴丸、久瀉方、健腸止瀉合剤などの構成生薬・用量は記載されていないため、原文にない生薬を補記していない。(2024年、劉蝶)
IBS-Dは中医では「泄瀉」に属し、陽虚体質、とくに脾陽虚・脾腎陽虚との関連が深い。脾陽不足では運化水穀・水液が失調して腹脹・便溏・倦怠を生じ、久瀉すると腎陽を損ない、命門火衰により脾陽を温煦できず五更泄瀉へ進むと考える。陽虚質ではHPA軸・甲状腺軸、cAMP/cGMP、免疫機能、糞便代謝物、腸内細菌叢などにも特徴がみられ、IBS-Dでは陽虚質が多いとする疫学研究がある一方、気鬱質・湿熱質を主体とする報告もあり、陽虚質との関連はまだ確定的ではない。治療では督灸+右帰丸、足三里・天枢への鍼刺、隔姜灸、長蛇灸、桂附地黄丸、霊亀八法雷火灸などによる陽虚体質そのものへの介入が検討されている。中薬の具体例では、陽虚質IBS-Dの1例に附子、党参、白朮、乾姜、補骨脂、炙甘草、山薬、砂仁、杜仲を1日1剤水煎服し、1週で軽減、その後加減しながら7週継続して症状が消失し、さらに附子理中丸+四神丸を1か月使用して安定したと報告されている。別の研究では西薬に升陽温腸湯を併用することで陽虚体質と臨床症状の改善が報告されている。原文には右帰丸、桂附地黄丸、附子理中丸、四神丸、升陽温腸湯の構成生薬・用量、および上記9味処方の各生薬用量は記載されていないため、補記せず原文どおりとした。(2024年、王康益)
機能性下痢(FD)は中医では「泄瀉」「久泄」に属し、脾虚湿盛を核心病機とし、湿邪が発症から経過全体を貫くとされ、肝鬱脾虚、脾胃虚弱、湿熱内蘊、寒熱錯雑、脾腎陽虚などに弁証する。脾胃虚弱には五苓散、参苓白朮散合四神丸のほか、健脾止瀉湯(党参15g、茯苓30g、炒白芍30g、甘草10g、麩炒白朮15g、芡実20g、訶子20g、白扁豆15g、蓮子15g、麩炒山薬20g、薏苡仁30g)、脾虚湿盛には香砂六君子湯、参苓白朮散加石榴皮9g、訶子9g、葛根15g、五苓散加升麻・芡実・羌活・乾姜、脾腎陽虚には温陽止瀉湯(炮附片〔先煎40分〕10g、党参15g、麩炒白朮15g、茯苓12g、乾姜12g、補骨脂12g、肉豆蔻10g、炙甘草6g)、温固湯(附片〔先煎〕6g、姜炭6g、肉豆蔻6g、補骨脂12g、党参15g、山薬20g、麩炒白朮15g、炙黄耆20g、訶子10g、砂仁4g、白豆蔻6g)が用いられる。辨病論治では化湿止瀉湯(柴胡15g、炙黄耆15g、麩炒白朮15g、薏苡仁30g、補骨脂15g、山薬15g、訶子10g、防風15g、陳皮15g、白芍15g、茯苓15g、烏梅10g、五味子10g、木香10g、煅瓦楞子30g、煅牡蛎30g)、健脾燥湿湯(茯苓20g、白朮10g、党参10g、黄連5g、呉茱萸5g、檳榔10g、木香5g、白芍10g、枳実10g、甘草10g)、健脾滲湿湯(党参10g、白朮10g、茯苓10g、甘草6g、薏苡仁10g、仙鶴草10g、沢瀉10g、広藿香10g、陳皮10g、炒白芍10g、防風10g、五味子10g、呉茱萸6g、肉豆蔻10g、芡実10g)、陽虚型には加味附子湯(江油白附片〔先煎2時間〕30g、白朮15g、茯苓15g、白豆蔻15g、党参30g、肉桂15g、小茴香15g、炙甘草6g、乾姜15g)が報告されている。さらに陽虚質FDには復元固本湯(熟地黄15g、炙黄耆15g、茯苓50g、炮附片5g、麩炒山薬25g、山茱萸15g、人参10g、菟絲子15g、牡丹皮15g、枸杞子15g、五味子10g、桂枝10g、麩炒白朮15g、炒薏苡仁30g)+任脈灸が用いられ、総じて健脾祛湿を軸に、陽虚では温補脾腎・扶陽、久瀉では固渋を組み合わせる。原文に具体的構成・用量が示された処方は省略せず記載し、五苓散、参苓白朮散、四神丸、香砂六君子湯など原文に構成・用量の記載がない方剤は補記していない。(2024年、張勝男)
慢性泄瀉は脾虚湿盛を基本病機とし、病位は脾胃を中心とするが、遷延すると肝・腎・肺・心へ波及するため、「五臓一体観」から脾を中心に五臓を調える。脾虚には益気健脾・升清止瀉を行い、参苓白朮散加減では党参、茯苓、砂仁、白扁豆、山薬、白朮、桔梗、陳皮、炙甘草、脾気陰両虚には七味白朮散加減(党参、炒白朮、藿香、木香、葛根、茯苓、清甘草)を用いる。肝脾不和には疏肝解鬱・健脾止瀉とし、腸激霊方(白芍、茯苓、素馨花、白朮、延胡索、陳皮、酸棗仁)、逍遥散加減(柴胡、海螵蛸、白芍、炒白朮、枳殻、茯苓、香附、砂仁、木香、炙甘草)、痛瀉安腸方(炒白朮、黄連、蜘蛛香、烏梅、炮姜、蝉脱、炒白芍)などを用いる。脾腎陽虚には温脾暖腎・収渋止瀉を行い、四神丸加減、香砂六君子湯加減、六神散合四神丸加減、四神湯(肉豆蔻、補骨脂、呉茱萸、五味子、大棗)を用い、石榴皮・訶子・赤石脂などを適宜配伍する。肺脾両虚には健脾補肺・益気止瀉とし、四君子湯合参苓白朮散、玉屏風散・参苓白朮散加減に荷葉、葛根、升麻、防風、桔梗、紫蘇梗などを配し、健脾宣肺湯(桔梗、党参、藿香、麩炒白朮、砂仁、煨葛根、土炒山薬、薏苡仁、茯苓、炙甘草、炒麦芽、赤石脂)も用いる。心脾両虚には養心安神・健脾止瀉とし、甘麦大棗湯合四君子湯加減や帰脾湯加味(黄耆、白朮、甘草、白芍、党参、茯苓、酸棗仁、柴胡、遠志、乾姜、当帰、木香、黄芩、大棗)を用いる。すなわち**「脾虚を本、湿滞を標」として健脾止瀉を全経過に貫き、肝には疏肝、腎には温陽固渋、肺には培土生金、心には養心安神を加える**ことが五臓一体観による慢性泄瀉治療の要点である。原文では上記処方の各生薬用量は記載されていないため補記していない。(2024年、李雯)
IBS-Dは中医では「泄瀉」「腹痛」に属し、脾胃失健・水湿不化を基本とし、肝鬱脾虚、脾虚湿盛、脾腎陽虚、脾胃湿熱、寒熱錯雑の5証型に分けて経方を選択する。肝鬱脾虚には痛瀉要方、痛瀉要方合五苓散加減、当帰芍薬散合柴胡疏肝散を用い、痛瀉要方は5-HT系・水液代謝、GCN2/PERK-eIF2α-ATF4、p38 MAPK、脳腸ペプチドなどを調節する。脾虚湿盛には参苓白朮散および加味参苓白朮散を用い、腸内細菌叢、腸管上皮、Na⁺吸収、腸粘膜バリアを改善する。脾腎陽虚には四神丸合真人養臓湯、真人養臓湯合真武湯、加減胃関煎を用い、四神丸はGhrelin・GHSR、CRF、結腸運動や腸管痛覚過敏を調節する。脾胃湿熱には葛根芩連湯、芍薬湯加味、黄芩湯加味を用い、葛根芩連湯は腸内細菌叢・代謝・炎症・内臓知覚過敏を改善し、関連実験では升陽益胃湯による結腸・視床下部5-HT、SP、VIP低下も報告されている。寒熱錯雑には柴胡桂枝乾姜湯加減、半夏瀉心湯加黄耆を用い、実験では烏梅丸が腸内細菌叢を調節しTNF-α・IL-6を低下させることが示されている。総じて経方は脳腸軸、内臓知覚過敏、腸内細菌叢、腸粘膜バリア、炎症など複数経路からIBS-Dに作用するが、研究は肝鬱脾虚型、とくに痛瀉要方に集中している。本総説には上記各方剤の構成生薬・各生薬用量は記載されておらず、半夏瀉心湯への黄耆追加以外の具体的加味薬も記載されていないため、原文にない生薬・用量は補記していない。(2024年、王姣姣)
痛瀉要方は肝鬱脾虚型IBS-Dの代表方で、原典『丹渓心法』では炒白朮三両、炒白芍二両、炒陳皮一両半、防風一両、久瀉には升麻六銭を加えると記載され、白朮で燥湿運脾、白芍で柔肝瀉木、防風で祛風勝湿止瀉、陳皮で醒脾理気止痛し、とくに白朮・白芍が核心薬対とされる。臨床では腹痛・下痢だけでなく不安やQOLの改善が報告され、加減では正気天香散を合して理気止便溏、七味白朮散・参苓白朮散を合して健脾滲湿止瀉、四神丸を合して温腎陽・止五更瀉とする。作用機序は、5-HT・SERT・TPHを介した脳腸軸調節、腸内細菌叢の是正、BDNF、SP、CGRP、NGF、BDNF-TrkB、MAPK-ERKなどを介した内臓知覚過敏の改善、PI3K-AKTを介する細胞自噬、内質網自噬による腸粘膜バリア保護、IL-10上昇・IL-1β低下、p38 MAPK抑制による炎症調節など多面的である。とくに**「抑木」薬対の白芍・防風**は、SP・BDNF・CGRPなどの脳腸ペプチド、NGF、BDNF-TrkBおよび腸内細菌叢を調節して内臓高敏感を改善することが示されている。原文に具体的用量が記載されているのは痛瀉要方の炒白朮三両、炒白芍二両、炒陳皮一両半、防風一両、久瀉時の升麻六銭であり、正気天香散、七味白朮散、参苓白朮散、四神丸などの構成生薬・用量は本文に記載されていないため補記していない。(2024年、張興月)
IBS-Dは中医では「泄瀉」「腹痛」に属し、病位は腸にあるが肝・脾・腎と密接に関係し、脾気虚弱・肝失疏泄を主因、肝鬱脾虚を主要病機とし、湿を中心として肝気鬱結が全経過を貫くと考える。情志刺激による肝失疏泄・横逆犯脾と脾失健運が相互に影響し、脳―腸軸ではHPA軸、5-HT、VIP、SP、NPY、CRF、CGRP、ソマトスタチン、CCK、モチリン、肥満細胞、腸内細菌叢などを介して内臓知覚過敏・胃腸運動異常・不安抑うつ・腸粘膜バリア障害が形成される。中薬では痛瀉要方、痛瀉寧顆粒、参苓白朮散、附子理中湯、葛根芩連湯、烏梅丸が取り上げられ、痛瀉要方は5-HT、モチリン、ソマトスタチンや代謝物を調節して内臓知覚過敏と不安・抑うつを改善し、参苓白朮散は腸内細菌叢とTLR4/MyD88/NF-κB経路を調節して炎症・腸粘膜障害を改善、附子理中湯はNALP-3炎症小体、CD4+、肥満細胞を調節し、葛根芩連湯は腸内細菌叢・代謝経路を介して内臓知覚過敏と炎症を改善、烏梅丸は糞便含水率を低下させ腸内細菌叢を調節しTNF・IL-6を低下させる。鍼灸では足三里、天枢、太衝、三陰交、印堂、百会、神闕などを用い、HPA軸やTRPV1を介して脳腸平衡・情緒・胃腸機能を調節し、耳穴圧豆+逍遥散、脾俞・神闕・天枢・中脘・足三里への温脾穴位貼敷、神闕穴への熱奄包熱熨なども報告されている。原文には痛瀉要方、痛瀉寧顆粒、参苓白朮散、附子理中湯、葛根芩連湯、烏梅丸、逍遥散の構成生薬・各生薬用量は記載されていないため、原文にない生薬・用量は補記していない。(2024年、段勇君)
IBS-Dは中医では「泄瀉」「腹痛」に属し、脾胃失健・水湿不化を基本病機とし、肝鬱脾虚、脾虚湿盛、脾腎陽虚、脾胃湿熱、寒熱錯雑の5証型に分けて経方を選択する。肝鬱脾虚には痛瀉要方、痛瀉要方合五苓散加減、当帰芍薬散合柴胡疏肝散を用い、痛瀉要方は水液代謝・5-HT系、GCN2/PERK-eIF2α-ATF4、p38 MAPK、脳腸ペプチドなどを調節する。脾虚湿盛には参苓白朮散および加味参苓白朮散を用い、腸内細菌叢を調節し、腸組織障害・不安症状を改善するとともにNa⁺吸収促進と腸粘膜バリア改善に働く。脾腎陽虚には四神丸合真人養臓湯、真人養臓湯合真武湯、加減胃関煎を用い、四神丸はGhrelin・GHSR・CRFを低下させ、結腸運動亢進・腸痙攣・痛覚過敏を抑制する。脾胃湿熱には葛根芩連湯、芍薬湯加味、黄芩湯加味を用い、葛根芩連湯は腸内細菌叢・代謝・炎症・内臓知覚過敏を改善し、升陽益胃湯は結腸・視床下部の5-HT、SP、VIPを低下させる。寒熱錯雑には柴胡桂枝乾姜湯加減、半夏瀉心湯加黄耆を用い、半夏瀉心湯はケルセチン・ウォゴニンなどを介した多標的作用、烏梅丸は腸内細菌叢調節とTNF-α・IL-6低下が示されている。本論文にはこれら各方剤の構成生薬・各生薬用量の記載はなく、具体的な加味薬として明記されているのは半夏瀉心湯への黄耆のみであるため、原文にない生薬・用量は補記していない。(2024年、王姣姣)
IBS-Dは中医では「泄瀉」「腹痛」に属し、湿熱を重要病機とし、とくに脾虚を本として湿が内生し、外湿・熱邪・飲食不節などが加わって湿熱を形成し、湿熱中阻から脾胃の運化・升降が障害され腹痛・腹脹・泄瀉を生じる。治療は清熱祛湿、健脾清化、補益中焦、兼顧肝腎を基本とし、湿熱型には葛根芩連湯を中心に、湿重では薏苡仁、藿香、熱重では金銀花、連翹を加え、ほかに加味葛根芩連湯、火鳳清腸方、戊己清腸方、透邪解毒方が用いられる。脾虚湿熱には運脾清腸方、清化止瀉方、健脾清化方、中焦を補う治療では脾胃培源方の神闕・気海・両側天枢への貼敷、雷氏清痢蕩積法+穴位貼敷、加減升陽益胃湯+中薬貼敷が報告され、升陽益胃湯は内臓知覚過敏と脳腸軸機能を改善する。肝気鬱滞を兼ねれば葛根芩連湯合柴胡疏肝湯加減、肝胆湿熱には芍薬湯または葛根芩連湯合竜胆瀉肝湯加減、下焦湿熱には黄連阿膠湯、久瀉から腎陽を損傷した場合には四逆湯・理中湯の類を用いる。鍼灸では湿熱証に曲池、陰陵泉、情志不遂を伴えば天枢、太衝を配し、調神針法+電鍼、艾灸、穴位貼敷なども併用する。原文で具体的に生薬名が記載されている加味は、葛根芩連湯に対する薏苡仁・藿香、金銀花・連翹であり、葛根芩連湯、火鳳清腸方、戊己清腸方、透邪解毒方、運脾清腸方、清化止瀉方、健脾清化方、脾胃培源方、升陽益胃湯、柴胡疏肝湯、芍薬湯、竜胆瀉肝湯、黄連阿膠湯などの完全な構成生薬・用量は本文に記載されていないため補記していない。(2024年、邱子芸)
