トラウマ関連疾患の高ホモシステイン血症
2008年にLevineらが、慢性PTSD患者28名で有意にホモシステインが高値になっていることを報告しています。
2009年にJendričkoらは、PTSD症状の残る退役軍人66名で有意にホモシステインが高値になっていることを報告しています。
これらの報告はいずれも慢性のPTSDという疾患名となっていますが、現在の診断基準で言えば、複雑性PTSDに近い病態ではないかと想像します。
ホモシステインは、悪玉アミノ酸とも言われ、細胞内代謝において酸化ストレスの有名なマーカーです。
ホモシステインそのものが酸化ストレスになります。
ホモシステインからグルタチオンやメタロチオネインなどの抗酸化物質が作られますので、高ホモシステイン血症があるということは、これらの抗酸化物質の生産が不十分であることを示唆しています。
以上からホモシステインが正常域からはずれると、二重の意味で強い酸化ストレスの原因となるので、シャープな酸化ストレスマーカーと言われています。
このホモシステインは、発達障害、強迫性障害、うつ病、アルツハイマー病などで有意に高値になることが知られています。
慢性のPTSDも、高ホモシステイン血症という生物学的な原因があり、栄養学的な治療が必要な場合があると言うことです。