ナイアシンと皮膚症状

まとめ:ナイアシンは過剰時はナイアシンフラッシュ、欠乏時は光線過敏症を起こします。これはナイアシンの受容体が皮膚に有り、皮膚の免疫、抗炎症に関与しているからです。

ビタミンB3として知られるナイアシン、ナイアシンアミドは、生体代謝でTCA回路をはじめとして多くの代謝反応の補酵素として働いています。このビタミンB3には、作用の強いナイアシン(ニコチン酸)と、作用の弱いナイアシンアミド(ニコチンアミド)の2つがあります。

60 mg のトリプトファンから 1 mgのビタミンB3が合成されます。

またこのビタミンB3は、酸化還元反応の補酵素として働くNADとNADPの前駆体でもあります。このNADとNADPは、活性型ナイアシンとも呼ばれます。

生体内での酵素反応の約20%は酸化還元反応であることから、このビタミンB3およびNADとNADPは、非常に重要性が高いと言えます。

体内の酸化を防ぐための抗酸化物質として、グルタチオン、ビタミンC、ビタミンEなどがありますが、これらは酸化還元反応によってリサイクルして再度使われますので、これらをリサイクルするためにもビタミンB3が鍵になってきます。

抗酸化物質は、これら以外にも沢山存在していますが、リサイクル出来ない抗酸化物質よりも、リサイクル出来る抗酸化物質がより重要です。

細胞はなぜ似たような反応をするNADとNADPの二組の補酵素系を持っている理由は、細胞は両者を使い分けることにより代謝経路をコントロールし、環境に適応しているからです。例えば、動物細胞で脂肪酸をβ酸化してエネルギー源として消費する反応系では酸化還元反応にNADを利用する酵素が使われ、逆に有機物の供給が十分で糖分などから脂肪酸を合成する酸化還元反応系ではNADPを利用する酵素が使われます。細胞は、細胞内のエネルギー供給が不足している時は異化反応が盛んで過剰の時は同化反応が盛んとなり、反応の向きが決まるようになっていて、このようにして環境の変化に適応しており、これは進化の過程で出来上がった反応系です。

ナイアシンは過剰時はナイアシンフラッシュ、欠乏時は光線過敏症を起こしますが、これはナイアシンが皮膚ランゲルハンス細胞のGPR109A(G protein-coupled receptor)に結合して、プロスタグランジン系に作用して皮膚免疫、抗炎症作用を発揮するためです。

ナイアシン欠乏症としては、光線過敏症、下痢、認知症のdermatitis、diarrhea、 dementiaの3D’sを示すペラグラが有名です。ペラグラはかつてはトウモロコシを主食とする地域などで見られましたが、現在はアルコール依存症などの栄養失調時に見られることがあります。

ナイアシンの受容体であるGPR109Aは、皮膚以外にも単球、マクロファージにも存在して抗炎症作用、脂肪細胞にも存在して脂肪代謝、腸管上皮細胞にも存在して腸管免疫にも関与しています。