気象病
まとめ:気象病対策としては、脳内のトリプトファン濃度を上げる方法があります。
雨の日は気分が優れない、関節が痛くなると言われる人は少なくありません。これは「気象病」と言われる現象で、低気圧が近づいてくると、気分や痛みに影響を及ぼすことがあります。
2010年にRaduaらは、気候とうつ病との関連を調べて、うつ症状と気候(気温、太陽光、気圧)との相関を報告しています。
1995年にMaesらは、血漿トリプトファン濃度の季節変動性と、うつ病の季節性パターンとの相関を報告しました。
2003年にSchoryらは、低気圧は衝動的行動の増加と関連することを報告しました。
2011年に溝口らは、気圧を下げるとラットのうつ病様の行動が悪化することを報告しました。これは反復する低気圧の暴露によって、ラットのうつ病様の行動が悪化するという結果です。
1996年にMolinらは、冬期うつ病と気候との関係を調べて、うつ病の心理検査のスコアと、雲量、降雨量、大気圧との間に有意な相関はないたが、日照時間、全天日射量、日光の長さ、気温との間に有意な相関が見られることを報告しました。
気象痛と低気圧との関係については、たくさんの論文が出ていますし、疼痛とうつの密接な関係性から考えると、うつと低気圧は強く関連していると考えています。
以上からのひとつの仮説としては、低気圧が短期的なストレスとなってキヌレニン経路が活性化して、脳内のトリプトファン濃度が低下したのではないかと考えています。
治療としては、①キヌレニン経路をスキップして、セロトニン経路をブーストする5-HTP、②キヌレニン経路にフィードバックをかけるナイアシンアミド、③トリプトファンのサプリやトリプトファンを含む食事の摂取、⑤運動などによって、脳内のセロトニン濃度を上げる方法があります。