脊髄小脳変性症
脊髄小脳変性症(Spinocerebellar degeneration: 以下SCD)は、小脳を中心とした神経の変性によって生じる疾患を総称したものです。変性とははっきりした原因が不明の神経障害の一群のことです。SCDの中には小脳以外にも大脳、脳幹、脊髄、末梢神経に変性がおよぶ場合があり、ふらつく歩行障害、呂律が回らない言語障害、手の震えなどの症状がみられます。
SCDは、現在では遺伝型と非遺伝型(孤発型)に分類されます。
SCDは、通常は10年から20年と緩徐に進行しますが、多系統萎縮症では進行が早く5年で車椅子、10年で寝たきりの経過になります。
SCDは、1863年にフリードライヒにより初めて報告されました。日本では、1976年に16番目の特定疾患として認定されています。歴史的には非常に新しい疾患です。ほとんどの難病は、1800年以降の食事革命の後に出現してきており、現代食と難病との強い関係を疑います。日本と海外では、SCDが出現するのに約100年の開きがあります。この違いは、西洋食の小麦製品や牛乳製品などの流通の違いと考えています。SCDは約30%が遺伝性ですが、これはセリアック病と同じで、グルテンなどに対する小腸の遺伝的な脆弱性と関連していると考えています。また、非遺伝性の脊髄小脳変性症の多くを占める多系統萎縮症の腸内フローラのディスバイオーシスが報告されています。つまりSCDは現代病であり、自己免疫疾患であるというのが私の考えです。American Autoimmune Related Diseases Associationが自己免疫疾患をリストアップしていますが、現在はどんどん増えて159疾患の自己免疫疾患を提唱しています。いずれSCDもこのリストに組み込まれるものと考えています。
自己免疫疾患の食事療法については、海外ではレビュー1000越えのベストセラーが沢山出ており、自力で回復した人々が沢山いらっしゃいます。多発性硬化症のためのパレオダイエット、Wahlsプロトコール、Transitプロトコール、THE AUTOIMMUNE SOLUTION、HASHIMOTO’S PROTOCOLなどです。これらは、modified pareo dietと呼ばれており、大昔の食事に戻して現代病を克服する方法です。具体的には、タンパク質と野菜・果物を食べて、小麦製品や乳製品などの現代食を制限する食事療法です。