セロトニンと癌

まとめ:セロトニンと癌との関係が指摘されています。

セロトニンが、前立腺癌、乳癌、小細胞肺癌、結腸直腸癌、胆管癌、肝細胞癌(2010, Soll)、神経膠腫、およびカルチノイド腫瘍などに対して成長促進効果を示すことが総括されています。(2015, Sarrouilhe)

セロトニンの発がん作用からセロトニン受容体アンタゴニストが抗がん剤として期待できることを総括しています。(2021, Balakrishna)

セロトニン受容体アンタゴニストは、膀胱癌細胞の増殖を有意に阻害します。(2006, Siddiqui)

結腸直腸癌におけるin vitroの研究で、セロトニン受容体アゴニストが腫瘍の増殖を促進し、アンタゴニストがアポトーシスを誘発することが報告されています。(2010, Ataee)

773人の卵巣がんの患者を対象とした研究で、SSRIを使用している患者は、再発までの時間が有意に短縮されました。またマウスの実験で、SSRIが腫瘍微小環境のセロトニンレベルを変化させ、増殖経路の活性化をもたらす可能性が指摘されています。(2016, Christensen)

一方でSSRIの抗癌作用について、膀胱がん(2020, Liu)、肝臓がん(2018, Chan)、卵巣がん(2017, Morch)、結腸直腸がん(2006, Xu)(2009, Coogan)で報告されています。

SSRIは、脳内出血のリスク増加と関連することがメタアナライシスで指摘されています。(2012, Hackam)