フォークト・小柳・原田病と新型コロナワクチン

まとめ:新型コロナワクチン接種後にフォークト・小柳・原田病が発症することが報告されています。スパイクタンパク質のアミノ酸配列とメラノサイトタンパク質の分子模倣が想定されます。自己免疫疾患発症の3条件である、ワクチン接種によるバリアの障害、遺伝的素因、分子模倣を満たした場合に発症します。

フォークト・小柳・原田病(Vogt・小柳・原田病、以下原田病)は、目、内耳、髄膜、皮膚などのメラニンに影響を与える多臓器障害です。メラノサイト分化タンパク質などのメラノサイト関連タンパク質に対する自己抗体による自己免疫疾患で、遺伝素因としてHLA-DR4などとの関連が指摘されています。メラニンを多く持つアジアおよび中東の人種に多く発症し、メラニンの少ない白人は発症しません。感染を契機とすることが指摘されています。メラニンの存在する組織の症状として、視力障害だけでなく、難聴、脱毛、白斑があり、ステロイドの投与で予後が良いことが知られています。(2009, Damico)

メラノサイト分化タンパク質は、メラニンが増えていく日焼けに関連しています。日焼けしにくい白人は、メラニンが増えにくい体質です。もともとメラニンを多く持つ黒人も、メラニンは増えにくい体質と言えます。日焼けしやすい、メラニンが増えやすい体質を持つ人種にメラノサイト分化タンパク質は多く存在するため、原田病はアジアおよび中東の人種に多く発症します。

新型コロナワクチン接種後に原田病を発症した症例が複数報告されています。(2022, Brunet de Courssou)(2022, De Domingo)(2022, 阿部)

新型コロナワクチン接種後に、自己免疫疾患(免疫性血栓性血小板減少症、自己免疫性肝疾患、ギラン・バレー症候群、IgA 腎症、関節リウマチ、全身性エリテマトーデスなど)を発症することが総括されています。メカニズムとしては、分子模倣、特定の自己抗体の産生、特定のワクチンアジュバントの影響、遺伝的素因が考えられます。(2022, Chen)

新型コロナウイルス感染症に伴う「視力喪失」や「視力低下」について総括されています。(2022, Ripa)