中医学の基礎、臓腑弁証
■肝 | 疏泄と蔵血作用の問題、実証から虚証までのスペクトラム | ||
肝気鬱結 | 実証、気滞により気の疏泄↑ | うつ、脹痛 | 柴胡疏肝散、逍遥散、四逆散、加味烏薬湯 |
肝血虚 | 虚証、蔵血↓、肝の貧血 | 目の滋養不足(目乾、目花(かすみ)) | 四物湯、芎帰膠艾湯(きゅうききょうがいとう)、当帰生姜羊肉湯 |
心神の滋養不足(不眠、めまい) | |||
筋の滋養不足(しびれ、けいれん) | |||
胞宮の滋養不足(月経不足、経痛) | |||
■心 | |||
心血虚 | 心の貧血 | 動悸 | 養心湯、人参養栄湯 |
心神を滋養できない | 不眠、多夢、健忘 | ||
心陰虚 | 心の貧血 | 動悸 | 天王補心丹 |
心神を滋養できない | 不眠、多夢、健忘 | ||
陰虚による部分的熱症状 | 五心煩熱、潮熱、頬部紅潮 | ||
■脾 | |||
脾気虚 | 運化(消化吸収輸布)↓ | 納呆、便溏、食後のみの腹張 | 四君子湯、加味四君子湯、香砂六君子湯、参苓白朮散 |
気↓ | 倦怠感 | ||
脾陽虚 | 脾気虚が発展 | 冷え症、下痢 | 理中丸、附子理中丸 |
脾胃湿熱 | 脾気虚+湿証 | 六君子湯、半苓湯、滑石藿香湯、薏苡竹葉散、宣痺湯、加減木防已湯 | |
運化↓ | 納呆、便溏、食後のみの腹張 | ||
痰湿が停滞 | 浮腫、身体が重だるい、口渇あるが飲みたがらない | ||
■肺 | 宣発と粛降で気と津液を調整 | ||
肺気虚 | 肺気の不足 | 息切れ、易感染、倦怠感、自汗 | 補肺湯、人参蛤蚧(ごうかい)散 |
肺燥→肺陰虚 | 肺陰の不足 | 乾咳、粘調痰、陰虚内熱 | 沙参麦門冬湯、補肺阿膠湯、月華丸 |
風寒犯肺 | 悪寒>発熱 | 無汗 | 三拗湯、止嗽散、麻黄湯、桂枝湯 |
風熱犯肺 | 悪寒<発熱 | 咽頭痛、粘調痰・鼻水、口渇 | 桑菊飲、銀翹散 |
痰湿阻肺 | 宣発↓で津液↑で痰になる、喀痰で軽減する強い咳嗽 | 胸部不快感、呼吸困難 | 二陳湯、三子養親湯 |
■腎 | 生殖・成長に関わるので未熟・老化として症状が出る | ||
腎陰虚 | 部分的熱症状 | 五心煩熱、潮熱、口渇、盗汗、のぼせ | 左帰丸、六味地黄丸、大造丸、駐景丸、六味丸 |
心腎不交(心腎陰虚と心火亢盛が同時に存在) | めまい、耳鳴、不眠、動悸 | ||
腎陰の不足により、骨の未熟(五遅五軟)・老化(腰膝酸軟) | |||
腎陽虚 | 温煦作用↓ | 冷え症 | 右帰丸、八味地黄丸、内補丸 |
主水の失調 | 小便不利、尿失禁、むくみ | ||
脾に及ぶ | 納呆、便溏 |
五遅五軟:小児の発育不全
宣発と粛降:呼吸に例えると宣発=呼気(肺気の向上向外運動)、粛降は吸気(肺気の向下向内運動)。