小児反復性呼吸器感染を漢方で改善|論文

まとめ:小児反復性呼吸器感染は、一定期間に上気道炎、気管支炎、肺炎などを繰り返す病態で、中医学では正気不足を背景とした肺・脾・腎の虚弱、とくに肺脾気虚・衛外不固を基本病機として捉えます。小児は「肺常不足」「脾常不足」で、脾の運化が低下すると気血・衛気を十分に生成できず、さらに水湿が停滞して痰を生じ、食積が加わると化熱して肺の宣粛を妨げるため、脾虚→食積・痰湿→肺衛不足→易感染→感染反復という悪循環を形成すると考えられています。治療は感染時の祛邪だけでなく、寛解期に健脾益気・補肺固表・補腎扶正・運脾消食を行って感染しやすい体質を改善することが重視され、代表的には玉屏風散(黄耆、白朮、防風)人参五味子湯(人参、白朮、茯苓、甘草、五味子、麦門冬)、**黄耆桂枝五物湯(黄耆、桂枝、白芍、生姜、大棗)**などが用いられます。また食積を伴う場合には、砂仁、陳皮、鶏内金、山楂、麦芽、稲芽、神曲などで運脾消食・消食導滞を図ります。 さらに穴位貼敷、推拿、捏脊、艾灸などの外治法も併用され、白芥子、甘遂、細辛、前胡、生麻黄、延胡索、生姜汁などを用いた三伏・三九貼などによって再感染回数を減らす治療も報告されています。 以上より、小児反復性呼吸器感染では「肺脾腎虚・衛外不固」を本、「外邪・痰湿・食積・瘀血」を標として、急性期には祛邪、寛解期には健脾益肺・益気固表・運脾消食を行い、感染を繰り返しやすい体質そのものを改善することが中医治療の中心と考えられます。

小児反復性呼吸器感染(RRTI)の発症要因と中医薬治療を整理した2025年の総説です。RRTIは1年間に上・下気道感染を正常範囲を超えて反復する病態で、発症にはRSウイルス・インフルエンザウイルス・肺炎球菌・インフルエンザ菌などの病原体だけでなく、小児期の免疫系の未成熟、T細胞サブセットの不均衡、免疫グロブリン低下、ビタミンA・D・Eや鉄などの栄養状態、早産、環境曝露、基礎疾患などが関与するとしています。 中医学ではRRTIの背景を主として正気不足・臓腑機能失調と捉え、感染期には和解少陽・清熱解毒などで祛邪し、寛解期には健脾益気・補腎固表などによって体質を改善する分期論治を重視します。 内服治療では、**玉屏風散(黄耆、白朮、防風)**による益気固表、四君子湯(人参、白朮、茯苓、甘草)+生脈散(人参、麦門冬、五味子)加減による健脾益気・益気養陰などが紹介され、肺脾両虚には保児寧湯、さらに宣肺運脾方、益気温陽固表湯、健脾益気活血方、健脾宣肺方なども用いられています。ただし、これら後者の具体的な構成生薬は本総説には記載されていません。 また、内服以外にも鍼灸、艾灸、小児推拿、穴位貼敷、三伏貼・三九貼、中薬燻蒸などを組み合わせ、免疫機能を調節して感染回数を減少させる治療が報告されています。 以上より、小児の反復性呼吸器感染では、単に感染のたびに祛邪するだけでなく、感染期と寛解期を分け、肺脾気虚・気陰両虚などの体質に応じて益気固表・健脾益気・補腎培元を行うことが再発予防の中心と考えられます。一方、著者らも、現在の中医薬研究は弁証・処方・選穴の標準化が不十分で、多施設・大規模RCTが少ないことを課題として挙げています。 (2025年、姜彩妮)

小児反復性呼吸器感染(RRTIs)について、中医体質と免疫機能の関連を中心に整理した2025年の総説です。中医学では「正気存内、邪不可干」を基本として、RRTIsは先天禀賦不足、後天の養育不適、調護不良などを背景に、虚証を本とし、病位は肺を中心として脾・腎などと関連するとし、特に気虚質、陰虚質、陽虚質、湿熱質などの偏頗体質が感染の易感性に影響するとしています。気虚質では「肺脾気虚・衛外不固」としてIgA・IgG、CD4、CD4/CD8比の低下、陰虚質ではTh1/Th2の不均衡、陽虚質ではNK細胞活性やT細胞の低下などが報告され、著者らはこれを「体質―免疫―感染」の関連として説明しています。 現代医学的にも、RRTIsでは粘膜・線毛防御障害、好中球などの自然免疫異常、IgA・IgGサブクラスなどの抗体不足、Th1/Th2不均衡、炎症性サイトカイン異常などが関与し、これらが「感染→免疫・粘膜障害→再感染」という悪循環を形成するとしています。 中医治療では玉屏風散(黄耆、白朮、防風)が肺脾気虚・衛外不固の代表方として挙げられ、黄耆で補肺脾之気・固衛表、白朮で健脾益気・培土生金、防風で祛風解表し、扶正しながら感染再発を抑えることを目的とします。またRRTIsの中薬治療で頻用される主要生薬として黄芩、苦杏仁、前胡、地竜が挙げられ、黄耆・党参などによる免疫調節、黄連・黄芩などによる炎症制御についても論じられています。以上より、反復性感染を単なる病原体への反復曝露として捉えるのではなく、肺脾気虚・衛外不固などの「感染しやすい体質」と粘膜免疫・細胞性免疫・液性免疫の異常を関連づけ、急性期の祛邪と寛解期の扶正・体質改善を組み合わせることが重要と考察されています。ただし著者らも、体質と免疫指標との関係はまだ相関的研究が中心で、中薬の具体的分子機序や大規模・多施設・二重盲検試験が不足していると指摘しています。(2025年、呂惠楠)

小児反復性呼吸器感染について、中医学では主に「久咳」の範疇として捉え、肺・脾・腎の虚弱を病理的基礎とし、肺気虚による衛外不固、脾虚による水穀精微の運化不足と痰湿形成、腎虚による虚火上炎などが感染を反復させるとしています。さらに、肺失宣粛による津液停滞から痰湿→気血阻滞→瘀血→痰瘀互結という悪循環を形成し、小児では食積を伴いやすいことも特徴とされ、臨床では脾気虚、肺気虚、肺脾両虚、陽虚、陰虚などに弁証し、とくに脾気虚が多いとしています。 内治法としては、黄耆桂枝五物湯(黄耆、桂枝、白芍、生姜、大棗)人参五味子湯加減(茯苓、黄耆、白朮、五味子、人参、麦芽、甘草、麦門冬、浮小麦、白芍)補中益気湯加味(陳皮、黄精、炙甘草、防風、柴胡、当帰、大棗、生姜、升麻、党参)、気虚血瘀には補陽還五湯加減(黄耆、地竜、川芎、赤芍、紅花、桃仁、桔梗、鬱金、山楂)などが紹介され、益気健脾・補肺固表を基本としながら、痰湿・瘀血・食積などの兼証に応じて治療します。なお黄耆桂枝五物湯の構成生薬は論文本文には列記されておらず、上記5味は一般的な原方構成を補記したものです。その他の処方は本文記載の生薬に基づきます。 また非急性期には扶正健児膏方(霊芝、山茱萸、焦麦芽、炙黄耆、紫河車、北沙参、補骨脂、枳殻、山薬、太子参、鶏内金、霜桑葉、旋覆花、鈎藤、焦神曲、五味子、瓜蔞、化橘紅、黄精、焦山楂、紫蘇梗)によって肺脾腎を補い体質改善を図る方法も紹介され、穴位貼敷、鍼灸、艾灸、推拿などの外治法との併用も行われています。 以上より、小児の反復性呼吸器感染では、肺脾腎虚を「本」、外邪・痰湿・瘀血・食積を「標」と捉え、感染時の祛邪だけでなく、寛解期から健脾益気・補肺固表・補腎扶正を行って「感染しやすい体質」を改善することが再発予防の中心と考えられます。(2023年、張立娜)

小児反復性呼吸器感染(RRTI)について、小児の臓腑嬌嫩・正気未充を背景とした肺脾両虚・衛外不固を基本病機とし、さらに脾虚による水湿停滞から痰が生じ、気血運行を阻害して瘀を形成する痰瘀互結も反復・遷延の重要な病理過程としています。 中医内治では、脾肺気虚に対する加減人参五味子湯、補脾益肺湯、益肺健脾合剤、益気増免を目的とした槐杞黄顆粒、黄竜止咳顆粒、加味玉屏風散黄耆桂枝五物湯などが紹介されています。 方剤構成を一般的な原方に基づいて補記すると、人参五味子湯(人参、白朮、茯苓、甘草、五味子、麦門冬)玉屏風散(黄耆、白朮、防風)黄耆桂枝五物湯(黄耆、桂枝、白芍、生姜、大棗)となります。ただし、これらの具体的な構成生薬は本総説本文には記載されておらず、ここは原方構成を補記したものです。補脾益肺湯、益肺健脾合剤、黄竜止咳顆粒などについても本文には構成生薬の記載がないため、推測による補記はできません。また、玉屏風顆粒と西薬の併用、保児寧顆粒と西薬の併用などで再感染回数や臨床症状の改善が報告されています。 外治法では穴位貼敷、三伏三九貼、推拿、温灸なども用いられています。 以上より、小児反復性呼吸器感染では、肺脾気虚・衛外不固を「本」として健脾益肺・益気固表を行い、痰湿・瘀血などの「標」を兼治して、感染しやすい体質そのものを改善し再発を減らすことが重要と考えられます。(2017年、皮鳳娟)

小児反復性呼吸器感染(RRTI)の非急性感染期では、肺・脾・腎の気虚、とくに脾気虚を「本」とし、食積を「標」とする「脾虚夾滞」が重要であるとして、「運脾消食」を中心に治療する考え方を論じています。脾虚になると水穀精微を十分に運化できず、「土不生金」により肺衛も不足して衛外不固となり感染しやすくなり、さらに食積が化熱すると腠理が開いて発汗し衛気を損ない、胃腸の積熱・気機鬱滞が肺に波及して咳嗽や反復感染を起こすと説明しています。 したがって非急性期には単純に補益するのではなく、「健脾者、旨在運脾;欲使脾健、則不在補而貴在運也」という考えから、補中に消を寓し、消中に補を兼ねる健運脾胃+消食導滞を基本とします。 使用生薬として、運脾には砂仁、陳皮、鶏蛋花、厚朴花、消食導滞には鶏内金、山楂、麦芽、稲芽、神曲、砂仁が挙げられ、砂仁・陳皮で理気醒脾・化湿助運、鶏蛋花で清利湿熱・健脾助運、厚朴花で温化寒湿・健脾助運、鶏内金で健脾消積、山楂で消食化積、麦芽・稲芽・神曲で消食和中を図ります。なお、本論文では特定の完成方剤として構成生薬を提示しているのではなく、弁証処方にこれらの生薬を組み合わせる方法が述べられています。 また小児推拿として補脾経、補肺経、補腎経、運内八卦、摩腹、捏脊、足三里按揉を組み合わせ、脾胃運化を促し肺衛を充実させる方法も紹介されています。 以上より、小児反復性呼吸器感染では「脾虚→運化低下→食積→化熱・痰飲→肺衛不足→易感染」という連鎖を重視し、単純な補気固表だけでなく、運脾と消食導滞によって脾胃機能を整えることが再発予防に重要と考察されています。(2016年、陳紅蕾)

小児反復性呼吸器感染(RRTI)の予防・治療について、過去約10年間の中医外治法を整理した総説で、RRTIでは免疫機能の乱れを背景に「本虚標実」がみられ、治未病・扶正固表の観点から感染を繰り返さない体質づくりを重視しています。 中でも穴位貼敷が多く検討され、三伏・三九貼では主として白芥子、甘遂、細辛、前胡、生麻黄、延胡索、生姜汁などの温陽・散寒・宣肺・化痰作用をもつ生薬を、大椎、定喘、膻中、肺兪、心兪、腎兪などに貼付し、玉屏風散との併用や温肺化痰貼などによって感染回数の減少やIgG・IgA・IgMなどの改善が報告されています。 推拿・捏脊では揉風池、推板門、掐四縫、推三関、足三里、膻中、肺兪、摩腹、捏脊などを組み合わせ、ある研究では総有効率91.38%、玉屏風口服液群78.72%と報告され、さらに刮痧、温鍼足三里、鍼挑・艾灸なども検討されています。 複合外治では、穴位貼敷(黄耆、当帰、防風、白朮、肉桂、麝香、生姜汁)+小児推拿によって扶正・健脾益肺・固表を図る方法が紹介され、総有効率96.4%、対照群70.9%で、IgA・IgGも高値となったと報告されています。 このほか、中薬香袋では蒼朮、甘松、白芷など9味が用いられていますが、残りの構成生薬は本総説には記載されていません。 以上より、小児反復性呼吸器感染では、内服が困難な小児に対して、穴位貼敷・推拿・捏脊・艾灸・刮痧などを用い、扶正固表して抗病力を高めることで感染回数や罹病期間を減らす外治法が有用である可能性が示されています。ただし、本論文は既報研究をまとめた総説であり、各研究の規模や対照法が一定していない点には注意が必要です。(2016年、桂美茹)