急性副鼻腔炎を漢方で改善|論文
まとめ:急性副鼻腔炎は中医学では主に「鼻淵・急鼻淵」に属し、外感風熱などが肺を犯して鼻竅を閉塞する肺経風熱、湿熱が上蒸する脾胃湿熱、胆火が上炎する胆腑鬱熱などに弁証し、疏風清熱・宣肺通竅・清胆瀉熱・利湿排膿を基本治法とします。近年の臨床研究では、銀翹散加減(金銀花、連翹、薄荷、牛蒡子、荊芥、淡豆豉、桔梗、芦根、甘草)、宣肺散加味(柴胡、款冬花、牛蒡子、黄芩、茯苓、紫菀、白芍、当帰、麦冬、金銀花、白芥子、紫蘇子、甘草、辛夷)、桑杏苡甘湯(桑葉、杏仁、生薏苡仁、生甘草)、散風通竅滴丸(黄芩、荊芥、羌活、細辛)、清宣開竅湯(生麻黄、紫蘇葉、生石膏、浙貝母、瓜蔞皮、蜜桑白皮、芦根、炒苦杏仁、前胡、枳殻、蜜枇杷葉、炒僵蚕、鬱金、石菖蒲、陳皮、茯苓)、清熱宣痹湯(辛夷花、路路通、淡豆豉、梔子、藁本、鴨跖草、金銀花、黄芩、魚腥草)、鼻淵健脾通竅湯(柴胡、黄芩、法半夏、石菖蒲、藿香、瓜蔞、白芷、桔梗、白朮、党参、地竜、川芎、甘草、山薬)、蒼耳子散加減(蒼耳子、薄荷、辛夷、白芷、川芎、黄芩、桔梗、敗醤草)などが検討され、鼻閉・膿性鼻汁・頭痛、鼻内視鏡所見、鼻粘膜線毛輸送機能、炎症関連指標などの改善が報告されています。総じて、急性副鼻腔炎では証に応じて祛風・清熱・宣肺・化湿・排膿・通竅を組み合わせる漢方治療が症状改善に有用である可能性が示されています
急性副鼻腔炎を中医学の「鼻淵」に属し、風熱犯肺、肺失宣降、邪熱上壅鼻竅を主要病機として、疏風清熱・宣肺通竅を治法としています。急性副鼻腔炎98例を対象に、西洋医学的治療のみの群と、これに銀翹散加減方(金銀花6g、連翹10g、薄荷6g、牛蒡子9g、荊芥12g、淡豆豉6g、桔梗9g、芦根6g、甘草6g)を併用する群を比較し、鼻閉が強い場合は辛夷花6g・蒼耳子9g、頭痛には白芷9g、咽痛には板藍根9g、黄痰が多い場合は栝楼9g・浙貝母12gを加減して14日間治療しました。 銀翹散併用群では、鼻閉・頭痛、黄稠鼻汁などの症状に加え、副鼻腔CT・鼻内視鏡所見、IL-1β・IL-8・ICAM-1などの炎症因子、鼻粘液線毛輸送機能、QOLが有意に改善し、総有効率は91.84%で対照群75.51%より高値でした。 以上より、風熱犯肺型の急性副鼻腔炎には、銀翹散を基本として症状に応じて通鼻竅・止痛・清熱解毒・清熱化痰薬を加える治療が、西洋医学的治療への併用療法として有用である可能性が示されています。(2025年、林錫澤)
急性副鼻腔炎を中医学の「鼻淵」に属し、肺経風熱が鼻竅を壅遏し、肺の宣発が失調することを主要病機として、疏風清熱・化濁通竅を治法としています。肺経風熱証の急性副鼻腔炎72例を対象に、西洋医学的治療のみの群と、これに**宣肺散加味(柴胡9g、款冬花9g、牛蒡子9g、黄芩12g、茯苓12g、紫菀12g、白芍25g、当帰15g、麦冬15g、金銀花15g、白芥子6g、紫蘇子6g、甘草6g、辛夷3g)を併用する群を比較し、2週間治療しました。 宣肺散加味は柴胡を君薬として肺経の鬱火を宣散し、黄芩・麦冬・金銀花・牛蒡子で清肺疏風清熱、紫菀・款冬花・紫蘇子・白芥子で宣肺化痰、当帰・白芍で和営血、辛夷で通鼻竅する構成で、「宣肺気・清鬱熱・化痰濁・通鼻竅・和気血」**を図る処方とされています。 治療後は鼻症状、CT・鼻内視鏡所見、SNOT-20が有意に改善し、鼻分泌液中のLTC4、IL-17、PGD2も有意に低下し、総有効率は97.22%で対照群75.00%より高値でした。以上より、肺経風熱型の急性副鼻腔炎には、宣肺散加味によって宣散鬱火・清熱宣肺・化痰通竅・調和気血を図る治療が、西洋医学的治療への併用療法として有用である可能性が示されています。(2025年、卜璐璐)
小児の急性副鼻腔炎を中医学の「急鼻淵」に属し、小児は肺常不足・衛外不固のため外邪を受けやすく、風熱が肺を犯して肺気が壅滞し、肺失宣降から鼻竅へ上逆し、津液が停滞して鼻淵を生じるとしています。治法は疏風清熱・宣肺通竅です。 肺経風熱証の6~12歳の患児86例を対象に、モメタゾン点鼻+アジスロマイシン治療と、これに自擬桑杏苡甘湯(桑葉6g、杏仁10g、生薏苡仁15g、生甘草6g)を併用する治療を比較し、流涕が多ければ敗醤草10g、鼻閉には蒼耳子6g・辛夷6g、側頭部痛には川芎10g・白芷6g、鼻甲介浮腫には茯苓10gを加減して4週間治療しました。 本方は『金匱要略』の麻杏苡甘湯を基礎に麻黄を桑葉へ変更した処方で、桑葉で疏散風熱・宣肺通竅、杏仁で宣肺、薏苡仁で清熱排膿・祛湿、生甘草で清熱・調和諸薬を図ります。 治療後は中医証候、hs-CRP・IL-6・TNF-α、SNOT-20が対照群より有意に改善し、総有効率は92.86%で対照群76.19%より高く、不良反応の増加も認めませんでした。 以上より、肺経風熱型の小児急性副鼻腔炎には、桑杏苡甘湯を基本として疏風清熱・宣肺通竅・清熱排膿を図る治療が、西洋医学的治療への併用療法として有用である可能性が示されています。(2025年、邬佳辇)
小児の急性鼻・副鼻腔炎を肺経蘊熱証として捉え、鼻閉、黄濁鼻汁、咳嗽などを主な症状とし、治療には散風解表・清熱・宣肺・通竅を重視しています。4~12歳の肺経蘊熱証患児80例を対象に、両群ともアモキシシリン・クラブラン酸カリウムを使用し、対照群には蒼耳子鼻炎滴丸、観察群には散風通竅滴丸(黄芩、荊芥、羌活、細辛)を併用して14日間治療しました。 散風通竅滴丸は、黄芩・荊芥・羌活・細辛を中心として、散風解表・清熱・通竅止痛を図る中成薬であり、肺経に蘊積した熱と外邪を除き、鼻竅を通利する処方とされています。 治療後は鼻閉、流涕、鼻甲介肥大、鼻粘膜充血、咳嗽が対照群より有意に改善し、CRP・SAAも有意に低下しましたが、頭痛と嗅覚低下については両群間に有意差を認めませんでした。総有効率は97.50%で対照群80.00%より高く、不良反応にも有意差はありませんでした。 以上より、肺経蘊熱型の小児急性鼻・副鼻腔炎には、散風通竅滴丸(黄芩、荊芥、羌活、細辛)によって散風解表・清熱・通竅を図る治療が、西洋医学的治療への併用療法として有用である可能性が示されています。(2025年、応炳泉)
小児急性副鼻腔炎に対する中薬複方のシステマティックレビュー・Meta解析と、肺経鬱熱証に対する麻杏石甘湯変方の臨床試験の2部から構成されています。Meta解析では9件のRCT、計781例を対象とし、中薬複方は西洋医学的治療または中成薬と比較して、臨床有効率、鼻閉、鼻汁、発熱、鼻腔分泌物、鼻粘膜充血などの改善が認められましたが、頭痛、嗅覚低下、鼻甲介肥大、Lund-Kennedyスコアでは明確な差を認めませんでした。
臨床試験では、小児急性副鼻腔炎の病機を、小児の肺常不足・脾常不足を背景として外邪が肺を犯し、肺失宣降から鼻竅不利となり、さらに邪が鬱して化熱し、痰熱・膿濁が鼻竅に停滞する肺経鬱熱証と捉えています。治法は清熱宣肺・化痰開竅で、麻杏石甘湯を基礎とした清宣開竅湯(生麻黄、紫蘇葉、生石膏、浙貝母、栝楼皮、蜜桑白皮、芦根、炒苦杏仁、前胡、枳殻、蜜枇杷葉、炒僵蚕、鬱金、石菖蒲、陳皮、茯苓)を使用しました。 59例を清宣開竅湯群31例と小児肺熱咳喘口服液群28例に分け、両群とも生理食塩水による鼻腔洗浄を行い、1週間で改善しない場合に抗菌薬を追加して2週間治療しました。 清宣開竅湯群は治療7日時点で臨床効果が良好で、抗菌薬併用率も9.7%と中成薬群32.1%より低く、14日後には特に鼻閉の改善が認められました。また治療終了後の再発率は6.7%で、中成薬群32.0%より低値でした。 以上より、肺経鬱熱型の小児急性副鼻腔炎には、麻杏石甘湯を基礎として清熱宣肺・化痰開竅を図る清宣開竅湯が有用である可能性が示されています。(2025年、王紫惠)
小児急性副鼻腔炎を中医学の「鼻淵」に属し、風熱または風寒が肺を襲い、肺失宣降から邪が鬱して化熱し、その熱が経に沿って鼻竅を蒸灼することを病機とし、特に肺経風熱証では疏風清熱・宣肺通竅を治法としています。 肺経風熱型の小児急性副鼻腔炎78例を対象に、両群ともセフポドキシム・鼻腔洗浄による西洋医学的治療を行い、対照群には穴位貼敷、観察群には穴位貼敷に加えて清熱宣痹湯(淡豆豉5g、辛夷花5g、路路通5g、黄芩20g、魚腥草20g、金銀花20g、梔子10g、藁本10g、鴨跖草10g)を投与し、14日間治療しました。穴位貼敷は柴胡、白芷、黄芩、鵝不食草を肺兪・風池・大椎に貼付しています。 清熱宣痹湯は、黄芩・梔子で清熱瀉火、辛夷花で祛風通竅、路路通・魚腥草で利水消腫・祛風活絡、金銀花・鴨跖草で清熱解毒・疏散風熱、藁本で祛風勝湿、淡豆豉で宣発鬱熱し、全体として疏風清熱・宣肺通竅を図る処方です。 治療後は発熱、鼻閉、鼻汁、嗅覚低下、Lund-Kennedyスコアが対照群より改善し、TNF-α・IL-6が低下、CD3・CD4、鼻粘膜線毛清除率(MCC)・輸送率(MTR)も改善しました。総有効率は94.87%で対照群76.92%より高く、不良反応には有意差を認めませんでした。 以上より、肺経風熱型の小児急性副鼻腔炎には、清熱宣痹湯(淡豆豉、辛夷花、路路通、黄芩、魚腥草、金銀花、梔子、藁本、鴨跖草)によって疏風清熱・宣肺通竅を図り、穴位貼敷を併用する治療が有用である可能性が示されています。(2025年、欧陽俊輝)
小児急性副鼻腔炎を中医学の「鼻淵」に属し、特に脾胃湿熱を重要な病機としています。小児は「脾常不足」であり、過食や肥甘厚味の偏食によって脾胃を損傷すると、運化が失調して湿熱が内生し、湿熱が脾経に鬱滞して経に沿って鼻竅へ上犯・熏蒸することで鼻淵を発症すると考え、清熱燥湿・芳香化濁・消腫排膿・通竅止痛を治法としています。 脾胃湿熱型の小児急性副鼻腔炎60例を無作為に2群に分け、試験群には蒼芷鼻舒湯(蒼耳子10g、白芷10g、辛夷10g、藿香10g、石菖蒲15g、茵陳10g、黄芩15g、焦山楂10g、魚腥草20g、通草10g、藁本10g、薄荷10g)、対照群には鼻竇炎口服液を投与し、7日を1クールとして2クール、計14日間治療しました。 蒼芷鼻舒湯は、甘露消毒丹と蒼耳子散を基礎として加減した処方で、清熱燥湿・芳香化濁を図りながら、鼻竅の湿熱・濁邪を除き、消腫排膿・通竅止痛を図る構成です。治療後は中医証候総スコアが対照群より有意に改善し、特に鼻閉・頭痛の改善が良好で、IL-1β・IL-6も有意に低下しました。総有効率は92.59%で、対照群85.71%より高値でした。 以上より、脾胃湿熱型の小児急性副鼻腔炎には、蒼芷鼻舒湯(蒼耳子、白芷、辛夷、藿香、石菖蒲、茵陳、黄芩、焦山楂、魚腥草、通草、藁本、薄荷)によって清熱燥湿・芳香化濁・消腫排膿・通竅止痛を図る治療が有用である可能性が示されています。(2024年、李婷)
近年の急性副鼻腔炎(ARS)に対する中医薬治療を総括したレビューで、ARSを中医学の「鼻淵」「急鼻淵」などに属し、病変臓腑は主として肺・肝胆・脾胃、病理因子は風・熱・湿・瘀を中心として、外邪や臓腑機能失調によって邪が鼻竅へ上擾することを基本病機としています。 治療は疏風清熱・宣肺通竅・清瀉肝胆・祛湿排膿・祛瘀止痛を基本とし、内治では外邪犯肺に千金葦茎湯加減(葦茎を基本に金銀花、桔梗、魚腥草、竜胆草、白芷などを加味)、肺経風熱に蒼耳子散加味(構成生薬の全記載なし)、胆腑鬱熱に竜胆瀉肝湯加減(構成生薬の記載なし)、鼻淵健脾通竅湯(柴胡、黄芩、半夏、石菖蒲、白芷、桔梗、白朮、山薬など)、さらに**鼻淵合剤(蒼耳子、辛夷、白芷、魚腥草、桑葉、芦根、桔梗)**などが報告されています。 外治では中薬熏蒸・霧化吸入・滴鼻・鼻腔填塞・鼻腔洗浄などが用いられ、**二旦青竜湯加減(桂枝、麻黄、防風、細辛、川椒、石膏、黄芩、党参、白朮、甘草、大棗)**の熏鼻+内服や、**鼻康復(蒼耳子50g、辛夷60g、白芷50g、川芎20g、丹参30g、薄荷15g、冰片15g、麻油4000g)**による鼻腔填塞のほか、鍼灸・推拿などを組み合わせる治療も紹介されています。 以上より、急性副鼻腔炎では肺経風熱だけでなく胆腑鬱熱、脾胃湿熱などを弁証し、内服・局所治療・鍼灸を組み合わせて治療することが中医治療の特徴ですが、既存研究は小規模・単施設研究が多く、長期追跡や作用機序の検討も不足しており、今後は多施設・大規模研究による検証が必要とされています。 (2025年、劉静丹)
急性副鼻腔炎を中医学の「急鼻淵」に属し、外邪が口鼻から侵入して肺を犯し、肺失清粛→邪毒が鼻竅に凝滞→気血不通→鼻粘膜が損傷することを基本病機とし、疏風清熱・宣肺通竅を治法としています。 急性副鼻腔炎80例を対照群39例と試験群41例に分け、両群にモキシフロキサシン0.4g/日とフルチカゾンプロピオン酸エステル点鼻を2週間投与し、試験群にはさらに鼻淵通竅顆粒15gを1日3回併用しました。 鼻淵通竅顆粒は薄荷、地黄、炒蒼耳子、麻黄、連翹、黄芩、白芷、丹参、辛夷など14味から構成され、疏風清熱・宣肺通竅の作用を目的としていますが、本論文では14味すべての構成生薬は記載されていません。 治療後は鼻閉、鼻汁、頭痛、嗅覚低下が対照群より有意に改善し、CRP・TNF-α・IL-6が低下、IL-10が上昇するとともに、鼻粘膜線毛清除率・線毛輸送率およびSNOT-20も有意に改善しました。総有効率は95.12%で、対照群79.48%より有意に高く、両群とも薬剤関連有害事象は認めませんでした。 以上より、急性副鼻腔炎には、通常の西洋医学的治療に鼻淵通竅顆粒(薄荷、地黄、炒蒼耳子、麻黄、連翹、黄芩、白芷、丹参、辛夷など14味)を併用して疏風清熱・宣肺通竅を図ることで、鼻症状、炎症反応、鼻粘膜線毛機能を改善する可能性が示されています。(2024年、馮玉輝)
小児急性化膿性副鼻腔炎を中医学の「鼻淵・脳漏」に属し、小児では胆腑鬱熱・脾胃湿熱・肺経風熱が代表的な証型で、本研究の症例は肺経風熱証に該当するとして、宣肺通竅・疏風清熱を基本治法としています。 急性化膿性副鼻腔炎の小児86例を43例ずつに分け、対照群にはセフポドキシム・プロキセチルを投与し、試験群にはこれに清熱宣痹湯(辛夷花5g、路路通5g、淡豆豉5g、梔子10g、藁本10g、鴨跖草10g、金銀花20g、黄芩20g、魚腥草25g)を加え、1日2回、計14日間治療しました。 清熱宣痹湯は『温病条辨』の宣痹湯を基礎にした加減方で、辛夷花で祛風通竅、路路通で祛風活絡・利水、淡豆豉で解表・宣発鬱熱、梔子・黄芩・鴨跖草で清熱利湿・瀉火解毒、金銀花で清熱解毒・疏散風熱、魚腥草で清熱解毒・排膿、藁本で祛風除湿・止痛を図ります。 治療後は鼻閉、鼻汁、後鼻漏、嗅覚障害などの中医証候スコアが対照群より低下し、症状消失までの期間が短縮、Lund-Kennedy内視鏡スコアおよびIL-17・IL-6・IL-5・IL-1βも有意に低下し、生活の質も改善しました。 以上より、肺経風熱型の小児急性化膿性副鼻腔炎には、清熱宣痹湯(辛夷花、路路通、淡豆豉、梔子、藁本、鴨跖草、金銀花、黄芩、魚腥草)を西洋医学的治療に併用し、宣肺通竅・疏風清熱を図る治療が有用である可能性が示されています。(2024年、翟文静)
急性副鼻腔炎を中医学の「鼻淵」に属し、外感風寒・風熱による肺失宣降、あるいは内生した湿邪が鬱して化熱し鼻竅を蒸灼することで発症するとし、外邪侵襲、胆腑鬱熱、肺経風熱、脾胃湿熱などに弁証しています。本研究では特に胆腑鬱熱証を対象とし、『素問・気厥論』の「胆移熱於脳、則辛頞鼻淵、鼻淵者、濁涕下不止也」を理論的根拠の一つとしています。 急性副鼻腔炎(胆腑鬱熱型)110例を無作為に2群に分け、試験群には蒋路雲の経験方である鼻淵健脾通竅湯(柴胡15g、黄芩10g、法半夏15g、石菖蒲15g、藿香15g、瓜蔞15g、白芷15g、桔梗15g、白朮15g、党参20g、地竜15g、川芎15g、甘草5g、山薬20g)、対照群には鼻炎舒口服液を投与し、2週間治療しました。 治療終了時には試験群54例、対照群52例が解析され、両群とも鼻閉、鼻汁、頭面痛、嗅覚低下などが改善しましたが、2週間後の試験群では特に鼻閉・頭面痛、鼻粘膜水腫および鼻内視鏡総スコアの改善が良好で、鼻汁と嗅覚低下については両群間に有意差を認めませんでした。 以上より、胆腑鬱熱型の急性副鼻腔炎には、鼻淵健脾通竅湯(柴胡、黄芩、法半夏、石菖蒲、藿香、瓜蔞、白芷、桔梗、白朮、党参、地竜、川芎、甘草、山薬)による治療が、特に鼻閉・頭面痛および鼻粘膜水腫の改善に有用である可能性が示されています。(2023年、鄭佳玲)
急性副鼻腔炎を中医学の「鼻淵」に属し、外感風寒・風熱が肺を犯して肺気の宣発粛降が失調し邪が鼻竅に凝滞する、あるいは内生した湿邪が鬱して化熱し、湿熱が経に沿って上犯して鼻竅を蒸灼することで発症するとしています。証型には外邪侵襲、胆腑鬱熱、肺経風熱、脾胃湿熱などがあり、本研究では胆腑鬱熱証を対象とし、『素問・気厥論』の「胆移熱於脳、則辛頞鼻淵、鼻淵者、濁涕下不止也」を理論的背景としています。18~65歳の胆腑鬱熱型急性副鼻腔炎110例を無作為に55例ずつに分け、試験群には蒋路雲の経験方である鼻淵健脾通竅湯(柴胡15g、黄芩10g、法半夏15g、石菖蒲15g、藿香15g、瓜蔞15g、白芷15g、桔梗15g、白朮15g、党参20g、地竜15g、川芎15g、甘草5g、山薬20g)を1日1剤・分3で投与し、対照群には鼻炎舒口服液を投与して2週間治療しました。 最終解析は試験群54例、対照群52例で、鼻淵健脾通竅湯群では鼻閉、鼻汁、頭面痛、嗅覚低下のVASおよび鼻内視鏡所見が治療前より改善し、2週間後には対照群と比較して特に鼻閉・頭面痛、鼻粘膜水腫、鼻内視鏡総スコアおよび総合的治療効果で良好な結果を示しましたが、鼻汁・嗅覚低下では有意差を認めませんでした。 有害事象は試験群1例、対照群2例で、いずれも軽度でした。 以上より、胆腑鬱熱型の急性副鼻腔炎には、鼻淵健脾通竅湯(柴胡、黄芩、法半夏、石菖蒲、藿香、瓜蔞、白芷、桔梗、白朮、党参、地竜、川芎、甘草、山薬)によって清解胆熱を図りながら、健脾化湿・化痰通竅・活血止痛を兼ねる治療が有用である可能性が示されています。(2023年、鄭佳玲)
急性副鼻腔炎(ARS)を中医学の「鼻淵」に属し、鼻は肺の外竅であるため、風熱・風寒の邪が口鼻から肺を襲い、肺の宣発粛降が失調して邪が鬱し化熱すると、熱が肺経に沿って鼻竅を蒸灼して発症すると考え、肺経風熱証には宣肺通竅・疏風清熱を基本治法としています。 肺経風熱型ARS患者82例を無作為に41例ずつに分け、両群にアジスロマイシンと生理食塩水による鼻腔洗浄を行い、対照群には迎香・百会・印堂・風池・四白・合谷への鍼灸治療、観察群にはさらに鼻舒宣痹湯(敗醤草15g、魚腥草10g、黄芩10g、黄耆10g、桔梗10g、蒼耳子10g、白芷10g、紅藤10g、茜草10g、辛夷6g)を加え、2週間治療しました。なお原文の処方欄では魚腥草が重複記載されており、ここでは1味として整理しています。 鼻舒宣痹湯は黄耆・敗醤草を君薬として益気益肺・清熱排膿・扶正祛邪を図り、黄芩・魚腥草・桔梗で清熱宣肺排膿、蒼耳子・白芷・辛夷で祛風通竅、紅藤・茜草で清熱涼血し、全体として宣肺通竅・疏風清熱・扶正祛邪を図る処方です。 治療後、観察群では鼻汁・鼻閉・嗅覚低下が対照群より有意に改善し、鼻粘膜線毛清除率(MCC)・線毛輸送率(MTR)が上昇、IL-6・TNF-αが低下し、中医証候総有効率は**90.24%**で対照群70.73%より有意に高く、重篤な有害事象は認めませんでした。 以上より、肺経風熱型の急性副鼻腔炎には、鼻舒宣痹湯(敗醤草、魚腥草、黄芩、黄耆、桔梗、蒼耳子、白芷、紅藤、茜草、辛夷)と鍼灸を通常治療に併用し、宣肺通竅・疏風清熱・扶正祛邪を図る治療が有用である可能性が示されています。ただし著者らも、症例数が少なく、今後は多施設・大規模RCTによる長期的検証が必要としています。 (2023年、公維志)
急性副鼻腔炎を中医学の「鼻淵」に属し、その病因病機を外邪侵襲、肺熱、胆熱、脾湿、虚証などに求め、特に急性期では湿熱邪濁が清竅を閉阻することから、疏風通竅・清肺泄熱を治療原則としています。 急性副鼻腔炎120例を無作為に60例ずつに分け、両群にセフィキシム0.2gを1日2回投与し、試験群にはさらに散風通竅滴丸(黄芩、荊芥、羌活、細辛)を1回20丸・1日3回併用し、15日間治療しました。対照群には散風通竅滴丸のプラセボを使用しており、二重盲検で比較されています。 散風通竅滴丸は、黄芩で燥湿清熱・清肺泄熱、荊芥で祛風解表・清利頭目、羌活で祛風散寒湿・止痛、細辛で祛風散寒・開竅し、全体として清熱祛風・散寒通竅・止痛を図る処方で、外感風邪が鬱して化熱し清竅が不利となった急性副鼻腔炎に用いる方意とされています。 治療後は試験群で鼻閉・鼻汁・鼻粘膜充血・鼻甲腫大などの主症および頭痛・嗅覚低下などの次症がより改善し、Lund-Kennedy鼻内視鏡スコアも対照群より有意に低下しました。またIgG・IgA・IgMはより上昇し、TNF-α・IL-6・IL-8などの炎症指標もより低下し、総有効率は**96.67%**で対照群75.00%より有意に高く、両群とも治療期間中に薬剤関連有害反応を認めませんでした。 以上より、急性副鼻腔炎には、散風通竅滴丸(黄芩、荊芥、羌活、細辛)を抗菌薬に併用し、清熱祛風・散寒通竅を図る治療が有用である可能性が示されています。ただし追跡期間が短く、長期的な再発抑制効果については検討されていません。 (2022年、郝亜楠)
急性副鼻腔炎を中医学の「急鼻淵」に属し、病位は肺にあり、外邪が口鼻から侵入して肺経を阻滞し、気血運行を妨げて鼻粘膜を損傷することで発症するとしています。証型に応じた治療を重視し、肺経風熱、脾胃湿熱、胆経鬱熱などに弁証しています。 急性副鼻腔炎100例を50例ずつに分け、対照群にはクラリスロマイシン+フルチカゾン点鼻、観察群には蒼耳子散加減(川芎12g、蒼耳子10g、薄荷10g、川貝母10g、淡豆豉10g、〔原文では1味が欠落〕10g、甘草10g、白芷9g、辛夷9g、薄荷6g、細辛3g)を投与し、肺経風熱型には金銀花12g・菊花12g、脾胃湿熱型には蒲公英30g・藿香10g・胆南星9g、胆経鬱熱型には黄芩10g・梔子10g・柴胡9gを加え、1週間を1クールとして2クール治療しました。なお、原文では薄荷が10gと6gの2回記載され、一部生薬名がPDF上で欠落しているため、ここでは原文どおりとし推測による補完はしていません。 蒼耳子散は『済生方』に由来する鼻淵の代表方で、蒼耳子を君薬として散風通竅・祛風解表、白芷・辛夷を臣薬として通竅止痛・宣通鼻竅、薄荷を佐薬として祛風通竅するとともに鬱熱を宣散し、川貝母・淡豆豉などを配して祛風散邪・宣通鼻竅を図る処方です。 治療後、観察群では中医証候スコア、hs-CRP、IL-6、IL-10が対照群より有意に低下し、総有効率は**98.00%**で対照群82.00%より高く、有害反応発生率も2.00%対16.00%と低値でした。 以上より、急性副鼻腔炎には、蒼耳子散を基本として祛風散邪・宣通鼻竅を図り、肺経風熱には金銀花・菊花、脾胃湿熱には蒲公英・藿香・胆南星、胆経鬱熱には黄芩・梔子・柴胡を加える弁証加減治療が有用である可能性が示されています。ただし本研究は蒼耳子散と通常の西洋薬治療を直接比較した小規模研究であり、蒼耳子には毒性があるため、著者も炮製による減毒など使用上の注意を指摘しています。 (2022年、池英超)
中薬による急性副鼻腔炎治療の有効性と安全性を検討したシステマティックレビュー・Meta解析です。PubMed、Cochrane Library、EMBASE、CNKI、CBM、万方などを検索し、急性副鼻腔炎に対する中薬治療のRCTを抽出して解析しています。最終的に12件のRCT、計1,311例(中薬群655例、対照群656例)が組み入れられました。 Meta解析では、中薬+西洋医学的通常治療は西洋医学的通常治療単独と比較して総合的な治療効果が良好で[OR=1.18、95%CI 1.13–1.23、P<0.00001]、さらに鼻閉、鼻汁、頭痛、鼻粘膜の発赤・腫脹、鼻腔分泌物、VAS、TNF-α、Lund-Kennedy、Lund-Mackayの各指標でも有意な改善を認めました。一方、嗅覚障害については有意差を認めませんでした[MD=−0.92、95%CI −1.98~0.13、P=0.09]。重篤な有害事象はなく、報告された副作用は主としてアレルギー性皮疹と消化器症状でした。 以上より、急性副鼻腔炎では中薬を西洋医学的通常治療に併用することで、鼻閉・鼻汁・頭痛・鼻粘膜腫脹などの症状や画像・内視鏡所見を改善する可能性が示されています。ただし、著者ら自身が収載RCTの質・数とも十分ではなく、研究方法にも問題があるため、さらに質の高い研究による検証が必要と結論しています。なお、この抄録には個々の研究で使用された方剤名・構成生薬は記載されていません。 (陳驍鋭、年次は本ファイル記載部分では確認できず)
肺経風熱型の急性副鼻腔炎(急鼻淵)に対し、中薬の内服だけでなく、煎薬時に生じる蒸気を鼻腔へ作用させる「中医鼻病序貫療法」が鼻粘膜線毛輸送機能を改善するかを検討しています。急性副鼻腔炎66例を無作為に33例ずつに分け、序貫療法群では中薬煎剤の蒸気による鼻腔燻蒸+同じ煎剤の内服、対照群では煎剤の内服のみを1日2回、2週間行いました。 使用した方剤は蒼耳子散加減(蒼耳子6g、薄荷6g、辛夷9g、白芷9g、川芎9g、黄芩9g、桔梗9g、敗醤草9g)で、両群とも同一処方を使用しています。 この序貫療法は、中薬処方には揮発油を含む生薬が多いことに着目し、煎薬時の蒸気を鼻腔に燻蒸して芳香開竅を図った後、煎剤を内服する方法で、本来はさらに煎薬から得た蒸留液を点鼻する三段階の治療法として考案されていますが、本研究では燻鼻+内服の2段階が用いられました。 治療前、7日後、14日後に糖精試験による鼻粘膜線毛輸送時間(MTT)と鼻閉VASを評価したところ、鼻閉VASは序貫療法群で5.90→2.04→0.30、内服群で5.51→2.94→2.46と改善し、MTTも序貫療法群で1263.76→932.94→703.91秒、内服群で1195.67→1007.97→857.30秒と短縮し、いずれも序貫療法群の改善速度が有意に大きい結果でした。 著者らは、煎薬蒸気に含まれる揮発性成分による芳香開竅作用と温熱刺激が鼻粘膜浮腫を軽減し、鼻汁の粘稠度を下げ、線毛運動を促進し、さらに蒼耳子散内服による抗炎症作用が加わることで鼻粘膜線毛機能の回復を促すと考察しています。 以上より、肺経風熱型の急性副鼻腔炎には、蒼耳子散加減(蒼耳子、薄荷、辛夷、白芷、川芎、黄芩、桔梗、敗醤草)を単純に内服するだけでなく、煎薬時の蒸気による鼻腔燻蒸を組み合わせることで、鼻閉および鼻粘膜線毛輸送機能をより改善できる可能性が示されています。なお、本研究は66例の小規模研究で、西洋医学的標準治療やプラセボとの比較ではなく、同じ中薬の「内服のみ」と「燻蒸+内服」の比較である点には注意が必要です。(2018年、劉嬌媚)
胆腑鬱熱型の鼻淵を西洋医学の急性副鼻腔炎または慢性副鼻腔炎の急性増悪に相当するとし、外邪侵襲や情志不遂によって肝火が鬱結し、肝胆は表裏関係にあるため胆に熱が伝わり、胆火が経に沿って上炎して脳・鼻竅を侵すことで、黄緑色の膿性鼻汁、鼻閉、頭痛、嗅覚低下、口苦、咽乾、煩躁易怒などを生じるとしています。 治法は清胆瀉熱・利湿解毒・排膿通竅を基本とし、周凌教授の臨床経験から作られた鼻炎3号を用いて、その臨床効果と体外抗菌作用を検討した研究です。 臨床研究では胆腑鬱熱型鼻淵60例を治療群30例、対照群30例に分け、治療群に鼻炎3号、対照群に鼻淵通竅顆粒を投与したところ、総有効率は**鼻炎3号群90%、対照群80%で、両群間の統計学的有意差は認められなかったものの、鼻炎3号でも良好な臨床効果が得られました。 また体外抗菌試験では、黄色ブドウ球菌、緑膿菌、溶血性連鎖球菌の3菌種すべてに発育抑制作用を示し、とくに黄色ブドウ球菌に対する抑菌作用が強い結果でした。 本論文では胆腑鬱熱型の一般的代表方として竜胆瀉肝湯(竜胆草、黄芩、梔子、柴胡、沢瀉、車前子、木通、生地黄、当帰、甘草)**を挙げ、鼻閉が強ければ蒼耳子・辛夷・薄荷、頭痛が強ければ菊花・蔓荊子を加えると解説しています。 以上より、胆腑鬱熱型の鼻淵には、清胆瀉熱・利湿解毒・排膿通竅を目的とした鼻炎3号が、鼻淵通竅顆粒と同程度の臨床効果を示し、さらに体外では代表的な鼻副鼻腔感染関連菌に対する抑菌作用を有する可能性が示されています。ただし、臨床試験は60例と小規模であり、体外抗菌作用をそのまま臨床的な抗菌効果とみなすことはできません。なお、鼻炎3号の具体的な構成生薬は、現在取得できた本文範囲では判読できないため、推測して補記していません。論文は黒竜江中医薬大学の修士学位論文「鼻炎3号治療鼻淵的臨床及試験研究」です。 (2013年、張歓)

