オートファジー、AMPK、mTOR

まとめ:エネルギー状態(AMPK)と栄養状態(mTOR)を感知して、異化・オートファジーおよび同化・タンパク合成が切り替えられます。

AMPK(AMP-activated protein kinase、AMP活性化プロテインキナーゼ)は、生体のエネルギー状態を感知して、細胞の同化と異化を切り替えスイッチの役割を担い、細胞のエネルギーバランスのセンサー、または中心的調整因子とも言われます。

運動、飢餓、メトホルミンなどの刺激によってAMPKは活性化して、身体を壊してエネルギーを作り出す異化を促進します。

ビタミンDの不足がAMPK活性を低下させること(2017, Chang)、ビタミンDがAMPK活性を上げること(2018, Bakhshalizadeh)が動物モデルで報告されています。

AMPKは、mTOR(mammalian target of rapamycin、哺乳類ラパマイシン標的蛋白質)を阻害することでオートファジーを促進することが知られています。

mTORは、細胞外の栄養状態や細胞内エネルギー(ATP量)等の情報が感知して、細胞成長・増殖へ結びつける上で中心的な役割を担うリン酸化酵素です。栄養感知キナーゼとも呼ばれます。

インスリンとアミノ酸は、mTOR を活性化してオートファジーを抑制することが報告されています。(2004, Kanazawa)

高タンパク食により、アテローム硬化性プラークのオートファジーが抑制されるために心血管リスクを高めることが指摘されています。

アミノ酸の中でもロイシンが最もリスクが高くなっています。ロイシン含有量は肉で最も高く、野菜と穀物で最も低くなっています。肉は野菜/穀物源よりもアテローム発生性が高いと考えられているため、慢性的な肉の摂取によって提供される余分なロイシン負荷が追加のmTORC1刺激であり、プラーク進行のリスクを高める可能性があります。(2020, Zhang)

エネルギー状態(AMPK)と栄養状態(mTOR)を感知して、異化・オートファジーおよび同化・タンパク合成を切り替えるシステムです。