ナリンゲニン

ナリンゲニン(naringenin)はフラバンの構造式を持つフラボノイドと呼ばれる植物化学物質のひとつです。柑橘類のグレープフルーツ 、オレンジ、トマトなどに含有されています。

ナリンゲニンは主に心臓保護作用がありますが、それ以外に抗酸化作用、抗腫瘍作用、抗ウイルス作用、抗菌作用、抗炎症作用、抗脂肪生成作用などが報告されています。(2019, Salehi)

ナリンゲニンは、AMPKを活性化することによりオートファジーを誘導します。(2020, Ahsan)

ナリンゲニンはサイトカイン mRNA の発現を阻害するだけでなく、リソソーム依存性のサイトカインタンパク質の分解も促進して、抗サイトカイン作用を発揮します。ナリンゲニンのこのユニークな特性は、アピゲニンやクルクミンなどの広く研究されている天然物とは対照的です。(2018, Zeng)

ナリンゲニンは、 COVID-19 の主要なプロテアーゼである 3-キモトリプシンの阻害やACE2阻害を通じて COVID-19 に対して治療効果を発揮します。(2020, Tutunchi)(2021, Agrawai)

ナリンゲニンは、自閉症に対する保護作用が指摘されていますが、作用機序は解明されていません。(2018, Bhandari)

ヤマザクラの樹皮から作られた漢方の生薬の桜皮(オウヒ)には、ナリンゲニンをはじめ、フラボノイドのサクラニン、サクラネチン、グルコゲンカニン、ゲニステインなどが含まれます。医薬品で処方出来る十味敗毒湯エキス錠クラシエ(サイコ・キキョウ・センキュウ・ブクリョウ・レンギョウ・オウヒ各1.5g、ボウフウ・ドクカツ各1.0g、カンゾウ・ケイガイ各0.5g、ショウキョウ0.16gより抽出。)には、オウヒが含まれます。