耳管開放症の中医治療
耳管開放症は現代中医学では、咽鼓管異常開放症と呼ばれることもあります。耳閉・耳張も参考になります。
本来なら「必要なときだけ開く」はずの耳管が、開いたまま(開放)になってしまうことで、鼻や喉の奥(上咽頭)の空間と耳(中耳)が常に直結した状態になり音や振動が逆流して伝わります。
まとめ:黄耆を君薬とし、人参・白朮・甘草で補気健脾、升麻(必要に応じて柴胡)で昇陽挙陥することが治療の中心になると考えられます。
耳管開放症患者55名を対象とした研究で、黄耆・人参・甘草・葛根・升麻・蔓荊子・白芍・黄柏の8種の生薬で構成される「益気聡明湯」と蝶口蓋神経節への鍼治療の併用は、14日間で有効率81.6%を達成しました。胃腸機能を高め耳の諸症状を改善するこの治療法は、自声強聴や音響インピーダンス検査の指標を対照群と比較して有意に改善しました。(2025, 王)
耳管開放症患者68名を対象に、咽頭口の状態と症状の関連性、および「補中益気湯(黄耆、人参、白朮、甘草、当帰、陳皮、升麻、柴胡、生姜、大棗)」の治療効果を検証しました。咽頭口の状態は自声強聴の重症度と直接関連せず、補中益気湯の1ヶ月服用は対照群を上回る71.88%の有効率を示し、耳管機能と主観的症状を有意に改善します。(2019, 陳)
袁雪盛氏による地黄飲を用いた耳管開放症(PET)の治療報告では、熟地黄や山茱萸などを含む同処方が滋陰活血の効果を発揮し、良好な臨床結果を示した。中医学の弁証論治に基づき、腎を補い組織を潤すことで症状の改善に寄与する。(2017, 袁)
段暁慧らによる耳管開放症52例の中医弁証に関する初期研究では、本病の多くが虚証(86.6%)であり、特に肺虚証(91.1%)や脾虚証(53.3%)が高い割合を占めることが示された。また、耳管機能検査における呼吸波や吸鼻試験の指標は、中医学の証候(特に脾気虚)と一定の相関関係にある。(2003, 段)
耳管開放症(PET)患者88名を対象とした研究において、加味帰脾湯(人参・黄耆・白朮(または蒼朮)・茯苓・甘草・大棗・生姜・当帰・竜眼肉・酸棗仁・遠志・木香・柴胡・山梔子)は患者の75.8%(50例)に有効であり、36例で症状が消失した。本処方は気血・胃腸を補う生薬、精神安定作用のある生薬、および柴胡・山梔子を含む14種の生薬で構成され、ストレスと疲労を緩和し耳管機能を改善する。(1996, 同心)
