痿証の中医論文
まとめ:痿証は中医論文では、弛緩症候群と呼ばれます。痿証は、肺・脾・肝・腎や気血陰精の不足という体質的な弱り(本虚)を背景に、湿熱・痰濁・瘀血などが筋脈を阻害して起こる病証である。治療はまず脾胃(陽明経)を整えて気血を充実させる(治痿独取陽明)ことを基本とし、病態に応じて補腎・活血・化痰・清熱・通絡を組み合わせる。
葉天士は痿証(現代の肌少症に相当)の病機を「肝・腎・陽明三虚を本、湿熱・瘀血痹阻を標」と捉え、「臓腑―絡脈―奇経」の動的伝変を重視し、「通補奇経」「培補中宮」「新邪急散・宿邪緩攻」を治療の中心とした。その理論は現代の老年性筋少症の病態と高い整合性を有し、個別化治療に有用である。葉天士は痿証を病期・病機に応じて使い分けることを重視した。奇経虚損・肝腎精血不足には「通補奇経」を用い、鹿茸、鹿角膠、羊肉、羊腎、亀板、鼈甲、猪脊髄、牛骨髄などの血肉有情之品で精血を補い、鹿角霜・亀板で陰陽を調和し、当帰、枸杞子、紫石英を配伍する。さらに「寓通於補」の考えに基づき、川芎、牛膝、人参、附子、乾姜、沢瀉、茯苓、半夏を加えて活血・理気・利水し、補薬の膩滞を防ぐ。陽明脾胃虚弱による食欲不振、四肢無力、軟便などには「培補中宮」を基本とし、黄耆、党参、白朮で中焦を補益する一方、疏理気機薬を併用して「補して滞らず、通じて傷らず」を図り、脾胃の運化機能を回復させる。一方、新病・湿熱優勢では祛邪を優先し、熟地黄、阿膠などの滋膩薬は湿邪を助長するため早期使用を避ける。久病・虚実夾雑では肝腎・奇経の虚損に瘀血を伴うことが多く、「新邪急散、宿邪緩攻」の原則に従い、補虚を主体としつつ活血通絡薬を併用して標本同治を行う。(2026, 陈雨)
痿証を「三枢聯動調衡」理論に基づき、脾胃(上下の枢)・少陽(表裏の枢)・少陰(水火の枢)の三枢失調による動的失衡と捉え、「調枢復衡」を基本治則として治療する。脾胃枢機失調には参苓白朮散(人参、白朮、茯苓、山薬、白扁豆、蓮子、薏苡仁、砂仁、桔梗、甘草)や補中益気湯(黄耆、人参、白朮、炙甘草、当帰、陳皮、升麻、柴胡)を用いて補脾益気・健運昇清を図る。少陽・少陰枢軸失調には虎潜丸(黄柏、知母、熟地黄、亀板、白芍、鎖陽、虎骨〈現代は代用品〉、陳皮、乾姜)加減を用い、黄柏、知母で少陽火を瀉し、亀板、熟地黄で少陰精を補い、滋陰清熱・補益肝腎を図る。三枢聯動では黄耆、白朮で健脾、柴胡、陳皮で疏少陽、鹿角霜、巴戟天で温少陰を行い、「脾胃-少陽-少陰」の三枢を同時に調整して気血を巡らせ、筋脈を滋養する。(2026, 都文渊)
痿証を扶陽理論に基づき、陽明虚衰・陽気不足を本態と捉え、「大辛大甘・守中復陽」を基本治則とする。甘草乾姜湯(炙甘草、乾姜)を代表方とし、干姜・甘草の辛甘化陽によって温中扶陽・健脾益気を図る。甘草附子湯(甘草、附子、白朮、桂枝)や参附湯(人参、附子)を用いて先後天の陽気を補い、麻黄附子細辛湯(麻黄、附子、細辛)では附子・甘草・麻黄・細辛・乾姜により温陽通陽・扶正起痿を図る。扶陽では干姜・附子・桂枝と甘草の配伍を重視し、干姜-甘草で温中守陽、附子-甘草で温腎助陽・減毒増効を図り、脾胃陽気を回復して水穀精微を四肢筋脈へ転輸し、筋肉を温養して痿証の改善を目指す。(2025, 穆丰)
運動ニューロン病を「虚気流滞・毒損絡脈」理論に基づき、外感邪気を誘因、脾腎虚損による虚気流滞を発病基盤、毒損絡脈を核心病機と捉える。病態は痿証・痙証・痱証が相兼ねて進行し、中期を治療の要とする。治療は「培元固本・祛毒通絡」を基本とし、痿証では参苓白朮散(人参、白朮、茯苓、山薬、白扁豆、蓮子、薏苡仁、砂仁、桔梗、甘草)、香砂六君子湯(人参、白朮、茯苓、甘草、陳皮、半夏、木香、砂仁)、黄耆桂枝五物湯(黄耆、桂枝、白芍、生姜、大棗)、六味地黄丸(熟地黄、山茱萸、山薬、沢瀉、牡丹皮、茯苓)、右帰丸(熟地黄、山薬、山茱萸、枸杞子、杜仲、菟絲子、鹿角膠、当帰、肉桂、附子)を中心に健脾益気・補腎填精を行う。痙証では大定風珠(白芍、阿膠、亀板、鶏子黄、麻仁、五味子、麦門冬、生地黄、甘草)、鎮肝熄風湯(牛膝、代赭石、竜骨、牡蛎、亀板、玄参、天門冬、白芍、茵陳、麦芽、甘草)で育陰熄風・柔肝通絡を図り、痱証では重用黄耆・人参・鼈甲膠・生地黄・熟地黄・杜仲・牛膝・川芎・蔵紅花・全瓜蔞などで大補宗気・補腎通絡を行う。さらに三仁湯合三妙散、真武湯合四妙散、四物湯、桂枝茯苓丸、地黄飲子などを病期・病態に応じて用い、化湿・化痰・活血・補虚・通絡を組み合わせて病勢進行の抑制を図る。(2025, 刘立伟)
痿証を「陽明燥金」理論に基づき、陽明を脾胃・陽明経だけでなく「清粛・斂降」を担う陽明燥金と捉える。病機は①気血不足、②斂降失常、③燥湿失調の三つを核心とし、治法は滋陰潤燥・闔降陽明・調補脾腎を基本とする。肺痿では甘草乾姜湯(甘草、乾姜)や麦門冬湯(麦門冬、半夏、人参、甘草、粳米、大棗)を用いて培土生金・滋養肺胃・降陽明を図る。筋痿では半夏瀉心湯(半夏、黄芩、乾姜、人参、甘草、黄連、大棗)などにより辛開苦降・調和脾胃・通補陽明を行い、陽痿や糖尿病性神経障害にも応用する。骨痿では虎潜丸(黄柏、知母、熟地黄、亀板、白芍、鎖陽、虎骨〈現代は代用品〉、陳皮、乾姜)や加味四斤丸、金剛丸などを用い、健脾補腎・滋陰壮骨・清利湿熱を図る。陽明燥金理論では肺胃の斂降機能と燥湿の気化平衡を重視し、陽明を整えることで肺・筋・骨の痿証を総合的に治療する。(2025, 付浩然)
劉小斌教授は痿証を「脾胃虚損・五臓関連」、特に「脾胃腎俱虚」を核心病機と捉え、升陽挙陥・益気健脾・補腎填精を基本治則とする。治療は強肌健力飲(黄耆、五指毛桃、党参、白朮、当帰、升麻、柴胡、陳皮、甘草)に山茱萸を加えた処方を基本とし、補気昇陽・健脾益腎・養血強筋を図る。頻用生薬は甘草、党参、黄耆、五指毛桃、白朮、山茱萸、陳皮、升麻、柴胡、当帰で、運動ニューロン病や筋ジストロフィーでは鹿角霜、牛膝、千斤抜、牛大力を加えて補精填髄・強筋壮骨を行い、筋束攣縮には防風、腰下肢痛には狗脊・牛膝を加味する。全体として健脾を根本とし、五臓を同時に調えながら病態に応じて加減する「異病同治・各有側重」を特徴とする。(2025, 苗艳敏)
王邦才教授は痿証・痱証を病期と病機に応じて柔軟に弁証し、急性痿証では「暑湿夾寒・気血逆乱・絡脈痹阻」と捉え、温経通脈・散寒祛湿・調暢気機を基本治則とする。初期には炙麻黄、桂枝、細辛、蝉衣、白僵蚕、生大黄、甘草、独活、升麻を用いて速やかに寒湿を除き、続いて当帰、桃仁、郁金、香附を加えて養血活血・疏肝理気を行い、回復期は桃紅四物湯(当帰、白芍、川芎、熟地黄、桃仁、紅花)に香附、郁金、白朮、茯苓、甘草、大棗を加えて養血活血・疏肝健脾を図る。多系統萎縮症による風痱・顫証では「肝腎虧虚・督脈不通・肝風夾痰熱」を病機とし、生地黄、白芍、天麻、釣藤、丹参、川芎、石菖蒲、半夏、制天南星、全蝎、珍珠母、生大黄を中心に滋補肝腎・平肝熄風・化痰通絡・活血化瘀を行い、改善後は黄耆を加えて補気し、大黄を桃仁へ変更して扶正・善後を図ることを特徴とする。(2024, 王培劼)
龔廷賢は痿証を「肺熱・脾傷」を基本病機とし、「治痿独取陽明」を中核理論として、清肺熱・治脾傷・瀉心火・補腎水を基本治則とする。痿証は風証として治療せず、攻補兼施と大補元気を重視し、清燥湯(黄連、黄柏、麦門冬、五味子、当帰、生地黄、人参、黄耆、炙甘草、白朮、蒼朮、陳皮、神麹、沢瀉、茯苓、猪苓、升麻、柴胡)で清肺潤燥・健脾運胃を図る。さらに五子益腎養心丸(六味地黄丸〈熟地黄、山茱萸、山薬、沢瀉、牡丹皮、茯苓〉+枸杞子、柏子仁、覆盆子、楮実子、沙苑子)や起痿丹(枸杞子、杜仲、菟絲子、肉蓯蓉、萆薢、牛膝、補骨脂、胡蘆巴、沙苑子、防風)などを用いて大補元気・補腎壮筋を行う。婦人の産後痿証には八珍湯(人参、白朮、茯苓、甘草、川芎、当帰、白芍、熟地黄)に黄耆、肉桂、牛膝、杜仲、木瓜、防風、独活、薏苡仁、附子を加え、気血双補・強筋壮骨を図る。また、蒸法・熏蒸療法や醋を用いた外治法を積極的に取り入れ、温経通絡・活血強筋を図ることも大きな特徴である。(2024, 江小平)
痿証を『内経』の「陽明主闔」理論に基づき、陽明の闔降・収斂機能の失調による気血生化不足、湿邪停滞、筋脈失養を核心病機と捉える。治療は「闔陽明之気・調陽明之臓・補陽明之本」を基本とし、陽明の闔降機能を回復させて気血を充実させる。湿熱・脾胃虚弱には昇陽益胃湯(黄耆、人参、炙甘草、白朮、茯苓、半夏、沢瀉など)を用いて益気昇陽・健脾祛湿を図り、湿熱痿証には清燥湯(黄連、黄柏、麦門冬、五味子、当帰、生地黄、人参、黄耆、炙甘草、白朮、蒼朮、陳皮、神麹、沢瀉、茯苓、猪苓、升麻、柴胡)、寒湿痿証には朮姜苓附湯(蒼朮、乾姜、茯苓、附子、麦門冬、五味子、当帰、生地黄など)を用いて調肺健脾・温陽化湿を行う。さらに脾腎両虚には党参、黄耆、山薬、石斛、砂仁、陳皮を重用し、腎虚には鹿茸、鹿角霜、亀板、紫河車、肉蓯蓉、杜仲、狗脊、大補陰丸(熟地黄、亀板、知母、黄柏など)を用いて補腎填精・陰中求陽を図り、「陽明主闔」の回復を通じて痿証の改善を目指す。(2024, 金晶)
運動ニューロン病を『傷寒論』の三陰理論に基づき、発症初期は太陰の気虚湿蘊、中期は少陰の陽気衰微・気陽両虚、後期は厥陰の陰陽錯雑・肝風内動へと進展する病態と捉える。治療は「補益三陰」を基本とし、祛邪解毒・経絡治療を組み合わせる。初期の太陰気虚湿蘊には桂枝湯(桂枝、白芍、生姜、大棗、甘草)、理中湯(人参、白朮、乾姜、甘草)、補中益気湯(黄耆、人参、白朮、炙甘草、当帰、陳皮、升麻、柴胡)、五痿湯(四君子湯〈人参、白朮、茯苓、甘草〉+当帰、薏苡仁、麦門冬、知母、黄柏)で健脾益気・養陰清熱を図る。中後期の少陰・厥陰病には附子湯(附子、茯苓、人参、白朮、芍薬)、真武湯(附子、茯苓、白朮、白芍、生姜)、当帰四逆湯(当帰、桂枝、白芍、細辛、通草、甘草、大棗)、虎潜丸(黄柏、知母、熟地黄、亀板、白芍、鎖陽、陳皮、乾姜)、地黄飲子(熟地黄、山茱萸、山薬、石斛、麦門冬、五味子、肉蓯蓉、巴戟天、附子、肉桂、石菖蒲、遠志、茯苓)を用いて補腎填精・滋補肝腎・強筋壮骨を図る。湿濁には平胃散(蒼朮、厚朴、陳皮、甘草、生姜、大棗)、二陳湯(半夏、陳皮、茯苓、甘草、生姜、烏梅)に藿香、白豆蔻、砂仁を加え、湿熱には四妙散(蒼朮、黄柏、牛膝、薏苡仁)、三仁湯(杏仁、白蔻仁、薏苡仁、半夏、厚朴、通草、滑石、竹葉)を用いて清熱化湿を行う。さらに丹参、赤芍、当帰、乳香、没薬、鶏血藤、桑枝、葛根、夜交藤などを加えて活血通絡し、病位に応じて鹿茸、淫羊藿、熟地黄、乾姜、呉茱萸、防風、羌活、独活、荊芥、蝉退、桑葉などの引経薬・風薬を配伍して通調三陰・強筋起痿を図る。(2024, 刘雨欣)
痿証を「陽化気・陰成形」理論に基づき、津気両傷を病変の基盤、陽化気不足と陰成形失衡を核心病機と捉える。陽化気不足では脏腑機能失調により気化・昇降が障害され、陰成形失衡では痰・飲・瘀血が形成され、四肢・九竅が失養して痿証を発症する。高穎教授は重症筋無力症には助陽化気、多発性硬化には益腎調形、運動ニューロン病には陰陽双補を基本治法とする。重症筋無力症には補中益気湯加減(黄耆、紅芪、太子参、白朮、茯苓、当帰、柴胡、升麻、陳皮、巴戟天、淫羊藿、菟絲子、女貞子、萆薢、羌活)、多発性硬化には地黄飲子加減(熟地黄、山茱萸、茯苓、当帰、巴戟天、肉蓯蓉、附子、肉桂、鬱金、石菖蒲、豨薟草、女貞子、仙鶴草、萆薢、羌活、莪朮)、運動ニューロン病には陰陽双補方(熟地黄、山茱萸、茯苓、当帰、鹿角膠、亀板、附子、肉蓯蓉、巴戟天、黄耆、全蝎、豨薟草、伸筋草、木瓜、白朮、枳実)を用い、病機に応じて補腎・益気・活血・通絡・調気・熄風を組み合わせる。早期から中医治療を行い、陰陽の偏りを是正することで病勢進行の抑制と予後改善を目指す。(2024, 齐宝云)
『黄帝内経』における痿証を考察し、痿証は「肺熱葉焦」を発端とし、「治痿独取陽明」を根本治則とすることを論じた。病機は「痿之生、啓于肺・関乎胃・源于肺熱葉焦」「痿之因、傷于熱・関乎湿・成于百脈乾竭」「痿之変、始于上・関乎下・終于久傷成労」の三段階で理解され、肺・脾胃・肝腎へと進展する。治療は初期には清熱潤燥・養肺益胃として清燥救肺湯(桑葉、石膏、甘草、人参、胡麻仁、阿膠、麦門冬、杏仁、枇杷葉)を用い、中期には「治痿独取陽明」に基づき補中祛湿・養陰清熱を行い、後期には泻南補北を基本として虎潜丸(黄柏、知母、熟地黄、亀板、白芍、鎖陽、陳皮、乾姜)、地黄飲子(熟地黄、山茱萸、山薬、石斛、麦門冬、五味子、肉蓯蓉、巴戟天、附子、肉桂、石菖蒲、遠志、茯苓)、補陽還五湯(黄耆、当帰尾、赤芍、川芎、桃仁、紅花、地竜)、血府逐瘀湯(桃仁、紅花、当帰、生地黄、川芎、赤芍、枳殻、柴胡、桔梗、牛膝、甘草)、大補陰丸(熟地黄、亀板、黄柏、知母、猪脊髄)などを病態に応じて用いる。また湿熱痿・湿痰痿・気虚痿・血虚痿・陰虚痿・血瘀痿・食積痿などの兼証を重視し、近年は痿痹同治の考え方も重要であると述べている。(2023, 王貴斌)
古典医籍303処方とALS539例を解析した研究で、痿証治療は益気健脾・補腎填精・清熱祛湿・養陰潤燥が基本であることを示した。代表方剤は、四君子湯(人参、白朮、茯苓、甘草)、地黄飲子(熟地黄、山茱萸、山薬、石斛、麦門冬、五味子、肉蓯蓉、巴戟天、附子、肉桂、石菖蒲、遠志、茯苓)、二妙丸(蒼朮、黄柏)、六味地黄丸(熟地黄、山茱萸、山薬、沢瀉、牡丹皮、茯苓)、四物湯(当帰、熟地黄、白芍、川芎)、独活寄生湯(独活、桑寄生、秦艽、防風、細辛、当帰、川芎、白芍、熟地黄、杜仲、牛膝、人参、茯苓、甘草、桂心)、生脈飲(人参、麦門冬、五味子)であった。ALSでは肺熱津傷証が最多かつ予後不良と最も強く関連し、脾胃虚弱・湿熱浸淫・肝腎虚損も病勢進行と関係した。頻用生薬は当帰、茯苓、牛膝、熟地黄、甘草、人参であり、益気健脾・補腎填精・養血活血を中心とした治療が重要と結論している。(2023, 曹天雨)
唐耀平教授は、痿証の根本病機を「全身の気機昇降失調」、特に中焦斡旋失司**と捉え、健運脾胃・調暢気機を治療の中心とする。脾胃を軸に肝肺・心腎を同時に調整し、補中益気湯(黄耆、人参、白朮、炙甘草、当帰、陳皮、升麻、柴胡)、二陳湯(半夏、陳皮、茯苓、甘草、生姜、烏梅)、半夏瀉心湯(半夏、黄芩、黄連、乾姜、人参、甘草、大棗)、柴胡疏肝散(柴胡、白芍、香附、枳殻、川芎、陳皮、甘草)、清燥救肺湯(桑葉、石膏、甘草、人参、胡麻仁、阿膠、麦門冬、杏仁、枇杷葉)、六味地黄丸(熟地黄、山茱萸、山薬、沢瀉、牡丹皮、茯苓)、黄連阿膠湯(黄連、黄芩、芍薬、阿膠、鶏子黄)などを病態に応じて用いる。症例では補中益気湯合四妙散(蒼朮、黄柏、牛膝、薏苡仁)を基本に加減し、脾胃を立て直して気機を回復させることが痿証治療の要点と述べている。(2023, 韦玉连)
痿証の古典から近代までの学説を整理した総説で、病機は気血陰陽失調**を基盤とし、肺・脾胃・肝腎を中心に、肺熱津傷、湿熱浸淫、脾胃虚弱、肝腎虧損、瘀阻脈絡へと展開するとした。治療は「治痿独取陽明」を基本に、清燥救肺湯(桑葉、石膏、甘草、人参、胡麻仁、阿膠、麦門冬、杏仁、枇杷葉)、二妙散(蒼朮、黄柏)、四妙散(蒼朮、黄柏、牛膝、薏苡仁)、補中益気湯(黄耆、人参、白朮、炙甘草、当帰、陳皮、升麻、柴胡)、参苓白朮散(人参、白朮、茯苓、山薬、白扁豆、蓮子、薏苡仁、砂仁、桔梗、甘草)、地黄飲子(熟地黄、山茱萸、山薬、石斛、麦門冬、五味子、肉蓯蓉、巴戟天、附子、肉桂、石菖蒲、遠志、茯苓)、虎潜丸(黄柏、知母、熟地黄、亀板、白芍、鎖陽、陳皮、乾姜)、大補陰丸(熟地黄、亀板、黄柏、知母、猪脊髄)、桃紅四物湯(桃仁、紅花、当帰、川芎、白芍、熟地黄)などを証に応じて使い分け、補虚扶正・清熱・祛湿・活血通絡を組み合わせることが重要と述べている。(2023, 崔宜志)
張錫純は、痹証と痿証はともに元気・大気の虚**を本、気血凝滞を標とする共通病機を有し、「痹甚則痿」として痹痿同治を提唱した。治療は補気と活血を併用して「気旺血行」を図り、活絡効霊丹(当帰、丹参、乳香、没薬)で活血通絡し、健運湯(黄耆、党参、当帰、丹参、乳香、没薬など)や振頽湯(黄耆、知母、野台参、当帰、乳香、没薬、山茱萸、玄参など)で充養元気・大気を行う。また脾胃・肝・腎を重視し、白朮・黄耆・鶏内金で健脾、山茱萸・黄耆で補肝斂気、鹿角膠・菟絲子・続断で補腎壮督を図り、病位に応じて牛膝・桂枝などを使い分けることが治療の要点である。(2022, 廖梨山)
孫一奎は、痿証は五臓の気熱**に始まり、最終的に脾腎を損傷して精気血不足に至ると考え、「治痿独取陽明」を基本に健運脾胃・滋陰清熱・滋腎益精を重視した。頻用配伍は四君子湯(人参、白朮、茯苓、甘草)、四物湯(当帰、熟地黄、白芍、川芎)、二妙散(蒼朮、黄柏)、知柏地黄丸(知母、黄柏、熟地黄、山茱萸、山薬、沢瀉、牡丹皮、茯苓)、五子衍宗丸(枸杞子、菟絲子、五味子、覆盆子、車前子)で、気虚には黄耆、痰湿には蒼朮・半夏・陳皮・茯苓、瘀血には当帰・川芎・牛膝を配し、補虚と祛邪を組み合わせることを治療の要点としている。(2022, 俞叶娜)
『黄帝内経』では痹証と痿証は別病とされるが、痹証が長期化すると痿証へ移行することがあり、実証では痹、虚証では痿として現れやすいと論じている。痹証は風・寒・湿による経絡閉塞が主体、痿証は五臓虚損・気血津液不足による筋脈失養が主体である。治療は痹証では防風湯(防風、麻黄、桂枝、葛根、当帰、茯苓、杏仁、甘草、生姜、大棗)**、烏頭湯(麻黄、芍薬、黄耆、甘草、川烏)、**薏苡仁湯(薏苡仁、蒼朮、麻黄、桂枝、当帰、川芎、独活、防風、甘草)などで祛風散寒・除湿通絡を行い、痿証では「治痿独取陽明」を基本として補虚・養陰・調陽明を重視する。痹証が痿証へ移行した場合は、従来の祛邪法に固執せず「以痿治痹」**へ転換することが治療効果を高める重要な考え方である。(2022, 尹萌)
178例の運動ニューロン病(MND)症例をデータマイニングで解析した結果、証型は脾胃虚弱型、肝腎陰虚型、気虚型、脾腎両虚型の4型に集約された。主症状は四肢無力、筋萎縮、筋束攣縮、構音障害、嚥下障害で、頻用生薬は黄耆、当帰、白朮、甘草、地黄、党参、陳皮、茯苓、白芍、牛膝であった。治療は補中益気湯(黄耆、人参、白朮、炙甘草、当帰、陳皮、升麻、柴胡)**、四君子湯(人参、白朮、茯苓、甘草)、四物湯(当帰、熟地黄、白芍、川芎)、左帰飲(熟地黄、山薬、枸杞子、山茱萸、茯苓、炙甘草)を基本とし、活血化瘀・平肝熄風・搜風通絡薬を併用するのが特徴である。主要薬対は黄耆+白朮、黄耆+党参であり、健脾益気がMND治療の中心と結論づけている。(2022, 黄向鸿)
馬培之は、痿証の病位を筋・骨・肉とし、病機は気血陰陽失衡による肝・脾・腎の虚を本と考えた。治療は①補虚を主として気血を調和し、②和営理気・化湿通絡で邪を除き、③「治痿独取陽明」を証に応じて応用し、清補兼施を行うことを特徴とする。代表処方は補虚方(生地黄、白朮、牡蛎、当帰、半夏、党参、西洋参、白芍、柏子仁、遠志、茯神、黒豆、沙苑子、杜仲、桑寄生、大棗)**、和営理気方(当帰、丹参、萆薢、黄柏、牛膝、五加皮、枳殻、烏薬、茯苓、秦艽、車前子、石菖蒲)、**治痿独取陽明方(北沙参、黄柏、石斛、瓜蔞、絲瓜絡、麦門冬、茯苓、萆薢、車前子、枇杷葉)**で、補益肝脾腎・養陰清肺・清熱利湿・活血通絡を組み合わせて痿証を治療することを重視した。(2022, 刘亦冰)
本論文は「治痿独取陽明」の「痿」を四肢麻痺だけでなく、あらゆる萎縮・機能低下性疾患へ拡大解釈し、萎縮性胃炎、萎縮性鼻炎、重症筋無力症、脳卒中後遺症、胃下垂・子宮脱・慢性疲労症候群などにも応用できると論じている。治療は補陽明之虚と瀉陽明之実を基本とし、黄耆を中心に健脾益気・昇提・通陽明を図ることを重視する。代表方剤は補中益気湯(黄耆、人参、白朮、炙甘草、当帰、陳皮、升麻、柴胡)**、補陽還五湯(黄耆、当帰尾、赤芍、川芎、桃仁、紅花、地竜)、**升陥湯(黄耆、知母、柴胡、桔梗、升麻)**で、気虚を補いながら陽明を調え、必要に応じて陽明の湿熱・実熱を瀉することが「治痿独取陽明」の本質であると述べている。(2021, シオン・ウェイフェン)
李軍教授は、痿証の本態を「痰瘀交結」と捉え、痰・瘀が筋脈を阻滞して陽明を閉塞することが発症の中心病機と考える。治療は散邪逐瘀・化痰消滞・補血行気を基本とし、自ら創製した柴葛二陳桃紅四物湯を用いて「痰瘀同治」により陽明を通じることを重視する。代表方剤は柴葛二陳桃紅四物湯(柴胡、葛根、茯苓、姜半夏、陳皮、桃仁、紅花、川芎、赤芍、生地黄、当帰、䗪虫、水蛭)**で、症例では土茯苓、鬼箭羽、石菖蒲、焦三仙などを加減し、運動ニューロン病患者の構音障害・嚥下障害・四肢無力が著明に改善した 。(2021, 張鼎)
嶺南医家の痿証治療を歴代文献と現代医案から検討した結果、病機は内虚を本とし、脾胃虚弱・肝腎不足・肺熱傷津・湿熱浸淫を中心に発症すると考えられた。治療は補益を基本とし、清肺熱・清熱利湿・調理脾胃を組み合わせるのが特徴で、現代では血瘀には活血、内風には熄風、嶺南薬の併用も重視される。代表方剤は補中益気湯(黄耆、人参、白朮、炙甘草、当帰、陳皮、升麻、柴胡)、十全大補湯(人参、白朮、茯苓、炙甘草、熟地黄、当帰、白芍、川芎、黄耆、肉桂)、補陽還五湯(黄耆、当帰尾、赤芍、川芎、桃仁、紅花、地竜)で、養陰には麦門冬、北沙参、石斛、清肺熱には桑葉、杏仁、石膏**、風寒には麻黄、独活、防風、豨薟草などを配伍し、鄧鉄濤は補中益気湯と補陽還五湯を融合した強肌健力飲を用いて痿証を治療した。(苗艳敏)
古代痿証376方・現代ALS 62方をデータマイニング解析した結果、古今に共通する治療の中心は補気養血・扶正固本であり、古代頻用生薬は地黄、党参、茯苓、当帰、附子、牛膝、肉桂、甘草、白朮、黄耆**、現代ALSでは黄耆、党参、地黄、白朮、茯苓、杜仲、甘草、当帰、陳皮、白芍であった。古今共通の核心生薬は黄耆、党参、茯苓、白朮、地黄、当帰で、気血双補を基本とし、気虚水停には茯苓+白朮、陰虚血瘀には地黄+当帰、陽虚寒凝には肉桂+附子、筋束攣縮には防風、僵蚕、全蝎を加えることを提唱している。またネットワーク薬理学では、多成分・多標的・多経路を介してALSに作用する可能性が示された。(2021, 贺鹏飞)
李中梓は、痿証を肺熱を起点とする五臓の虚損と捉え、「治痿独取陽明」を基本に、脾胃・腎を重視して温補を中心に治療した。臨床では成方に拘らず三因制宜(因時・因地・因人)を徹底し、初期は攻邪、中期は攻補兼施、後期は補益を主体とする三段階治療を提唱した。代表方剤は補中益気湯(黄耆、人参、白朮、炙甘草、当帰、陳皮、升麻、柴胡)**、虎潜丸(黄柏、知母、熟地黄、亀板、白芍、鎖陽、陳皮、乾姜)、大補陰丸(熟地黄、亀板、黄柏、知母、猪脊髄)、大承気湯(大黄、厚朴、枳実、芒硝)、清暑益気湯(黄耆、人参、白朮、蒼朮、麦門冬、五味子、陳皮、当帰、甘草、升麻、葛根、沢瀉、黄柏、神麹)、**三才膏(天門冬、生地黄、人参)**で、脾腎を補い陽気を扶けつつ、標本・病期に応じて攻補を使い分けることを重視した。(2021, 金子开)
本論文は、痿証の根本病機を「営衛失常・宗気不利・使道不通」と捉え、発症初期は肺・脾に病変があり、経過とともに肝・腎へ及ぶとする「営衛痿証モデル」を提唱している。外感六淫・湿熱・飲食不節・労倦・外傷・久病により営衛が障害され、筋・脈・骨・肉が失養して運動障害、構音障害、嚥下障害、呼吸障害などを生じると考え、運動ニューロン病、多系統萎縮症、重症筋無力症など神経難病を統一的に説明できる病機モデルであると論じている。本論文は病機理論の考察**が中心であり、代表方剤・構成生薬の記載はない。(2020, 高振梅)
1980~2020年の痿証治療150処方をデータマイニング解析した結果、治療の中心は益気健脾・滋補肝腎・清熱利湿・通経活絡であった。頻用生薬は黄耆、当帰、茯苓、炙甘草、丹参、牛膝、白朮、党参、桂枝、麦門冬で、頻出薬対は黄耆+当帰、党参+黄耆、黄耆+白朮であった。核心薬物組合せは党参・黄耆・白朮**、薏苡仁・黄柏・五味子、熟地黄・山薬・山茱萸・枸杞子・杜仲などで、補中益気・補益肝腎を基本に、湿熱には薏苡仁、黄柏、蒼朮、萆薢、防己、瘀血には丹参、川芎、赤芍、桃仁、紅花、全蝎、僵蚕を配伍することが痿証治療の基本法則と結論づけている。(2020, 吕宗静)
本論文は、運動ニューロン病(MND)の中医学的治療を総説し、病機は脾腎亏虚を主体に、肝腎亏虚、脾虚湿困を伴い、風・痰・湿・瘀が絡脈を阻滞して発症するとしている。治療は補脾腎**を基本とし、桃紅四物湯合右帰丸(桃仁、紅花、当帰、川芎、白芍、熟地黄、熟地黄、山薬、山茱萸、枸杞子、杜仲、菟絲子、附子、肉桂)、清燥救肺湯(桑葉、石膏、甘草、人参、胡麻仁、阿膠、麦門冬、杏仁、枇杷葉)、加味二妙丸(蒼朮、黄柏に証に応じ加味)、虎潜丸合地黄飲子(虎潜丸:黄柏、知母、熟地黄、亀板、白芍、鎖陽、陳皮、乾姜/地黄飲子:熟地黄、山茱萸、山薬、石斛、麦門冬、五味子、肉蓯蓉、巴戟天、附子、肉桂、石菖蒲、遠志、茯苓)、**補中益気湯(黄耆、人参、白朮、炙甘草、当帰、陳皮、升麻、柴胡)**を証に応じて用い、針灸や中成薬との併用により病勢進行の抑制とQOL向上を目指すことが重要であると述べている。(2019, 樊晓萌)
本論文は、運動ニューロン病(MND)の病名・病機・治療を総説し、病機の中心は脾腎両虚を主体とする五臓虚弱で、肝風内動、湿毒侵犯、瘀血阻絡が病勢進行に関与するとしている。治療は健脾益気・滋補肝腎**を基本に、参苓白朮散合補中益気湯(人参、白朮、茯苓、山薬、扁豆、蓮子、薏苡仁、砂仁、桔梗、甘草+黄耆、当帰、陳皮、升麻、柴胡)、虎潜丸(黄柏、知母、熟地黄、亀板、白芍、牛膝、鎖陽、陳皮、乾姜)、加味二妙散(蒼朮、黄柏+茯苓、沢瀉、猪苓など)、黄連温胆湯(黄連、半夏、陳皮、茯苓、枳実、竹茹、甘草、生姜、大棗)、聖愈湯合補陽還五湯(聖愈湯:黄耆、当帰、川芎、白芍、熟地黄/補陽還五湯:黄耆、当帰尾、赤芍、川芎、桃仁、紅花、地竜)、**地黄飲子(熟地黄、山茱萸、山薬、石斛、麦門冬、五味子、肉蓯蓉、巴戟天、附子、肉桂、石菖蒲、遠志、茯苓)**を証に応じて用い、針灸・艾灸・推拿などを組み合わせた総合治療が有用であると述べている。(2019, 唐聡)
本論文は、古代医籍をもとに痿証の病因・病機と治法を総括し、肺熱葉焦を基本病機としつつ、陽気不足、五臓気熱、情志内傷、労倦過度、湿熱浸淫、風邪侵襲、気血虚などが複合して発症すると論じている。治療は「治痿独取陽明」**を基本に、寒熱・燥湿を弁別し、二妙散(蒼朮、黄柏)、四物湯(当帰、熟地黄、白芍、川芎)、四君子湯(人参、白朮、茯苓、甘草)、六味地黄丸(熟地黄、山茱萸、山薬、沢瀉、牡丹皮、茯苓)、八味丸(金匱腎気丸)(熟地黄、山茱萸、山薬、沢瀉、牡丹皮、茯苓、桂枝、附子)、**還少丹(熟地黄、山薬、山茱萸、枸杞子、牛膝、杜仲、楮実子、巴戟天、肉蓯蓉、五味子、小茴香、茯苓、遠志、石菖蒲、枳実など)**を証に応じて用い、補虚扶正と清熱・除湿・滋陰・補腎を組み合わせることが痿証治療の要点であると述べている。(2019, 李娟)
本論文は、『三因極一病証方論』における痿証の学説を整理し、痿証は五臓気虚・精血不足を本とする内傷病であり、《内経》の「五臓熱」による痿証説を補完・発展させた点に意義があると述べている。病変は四肢・筋脈に現れるが根源は五臓にあり、肺・心・肝・脾・腎それぞれの失調が皮痿・脈痿・筋痿・肉痿・骨痿を生じる。治療は**「治痿独取陽明」を基本に「養陽明・養沖脈」**を重視し、陽明の気血を充実させ、宗筋・筋脈・骨肉を滋養し、虚実・逆順を調整することが痿証治療の要点であると論じている。本論文には具体的な方剤・構成生薬の記載はない。(2019, 杨蕊鸿)
本論文は、朱丹溪の「瀉南補北」法による痿証治療を考察し、陰虚火旺・水火不済を痿証の本態と捉え、「清心滋腎・滋陰降火」により間接的に「治痿独取陽明」を実現することが特徴であると述べている。朱丹溪は痿証を湿熱・湿痰・気虚・血虚・瘀血**の5証に分類し、健歩丸(蒼朮、黄柏、黄芩、牛膝など)、二陳湯加味(半夏、陳皮、茯苓、甘草+蒼朮、白朮、黄芩、黄柏、竹瀝、生姜汁)、四君子湯加味(人参、白朮、茯苓、甘草+黄芩、黄柏、蒼朮)、四物湯加味(当帰、熟地黄、白芍、川芎+黄柏、蒼朮)、補陰丸を証に応じて用い、滋陰降火と健脾益胃を両立させて気血津液を充実させることが治療の要点であると結論している。(2018, 孟超)
本論文は、痿証の病因・病機と歴代医家の治法を総説し、病機は本虚標実・虚実夾雑を基本とし、病位は筋骨・肌肉にあるが根源は五臓にあり、特に脾気虚・肝腎亏虚・瘀血阻絡を重視している。治療は健運脾胃・調補肝腎・養血活血を三本柱とし、黄芪人参五味子麦門冬湯(黄芪、人参、五味子、麦門冬)、補中益気湯(黄芪、人参、白朮、炙甘草、当帰、陳皮、升麻、柴胡)、虎潜丸(黄柏、知母、熟地黄、亀板、白芍、牛膝、鎖陽、陳皮、乾姜)、大補陰丸(熟地黄、亀板、黄柏、知母、猪脊髄)、鹿角膠丸(鹿角膠を主薬とする補肝腎方)、六味地黄丸(熟地黄、山茱萸、山薬、沢瀉、牡丹皮、茯苓)、補陽還五湯(黄芪、当帰尾、赤芍、川芎、桃仁、紅花、地竜)、**四物湯加味(当帰、熟地黄、白芍、川芎+桃仁、紅花、牡丹皮、牛膝、延胡索)**などを証に応じて用い、補腎健脾を基本に活血通絡を組み合わせることが痿証治療の要点であると結論している。 (2019, 李盼盼)
本論文は、運動ニューロン病(MND)の中医臨床における弁証論治を考察し、病機は脾胃を中心とする中焦の失調に始まり、心肺から肝腎へと病変が進み、湿困中焦・脾陽虚弱・腎虚痰阻の3証を基本として、瘀血・濁毒・内風を兼証とすることが特徴であると述べている。治療は健脾化湿・補中益気・補腎化痰・活血通絡・平肝熄風を基本とし、平胃散(蒼朮、厚朴、陳皮、甘草、生姜、大棗)、三仁湯(杏仁、白蔻仁、薏苡仁、半夏、厚朴、通草、滑石、竹葉)、温胆湯(半夏、竹茹、枳実、陳皮、茯苓、甘草、生姜、大棗)、補中益気湯(黄耆、人参、白朮、炙甘草、当帰、陳皮、升麻、柴胡)、参苓白朮散(人参、白朮、茯苓、山薬、扁豆、蓮子、薏苡仁、砂仁、桔梗、甘草)、地黄飲子(熟地黄、山茱萸、山薬、石斛、麦門冬、五味子、肉蓯蓉、巴戟天、附子、肉桂、石菖蒲、遠志、茯苓)を基本方とし、症状に応じて天麻、鉤藤、白蒺藜、牛蒡子、刀豆子、杏仁、桔梗、煅鵝管石、川芎、赤芍、紅花、丹参、三稜、莪朮などを加減することを提唱している。また、補益薬の過用や馬銭子の安易な使用は慎むべきであり、**「形神一体」**の考えに基づく養生・情志療法も重要であると結論している。(2017, 董兴鲁)
本論文は、『黄帝内経』における痿証理論を整理し、痿証は五臓気熱・脾胃虚弱・肝腎不足・湿邪浸淫を基本病機とし、特に**「肺熱葉焦」を痿証発症の起点と位置付けている。また、病因として情志失調、過労、房労、湿邪、熱邪を挙げ、病位は四肢にあるが病の根本は五臓にあると論じている。治療は「治痿独取陽明」**を根本原則とし、陽明(脾胃)の気血を充実させることを基本に、奇経(督脈・衝脈・帯脈)の調整、虚実に応じた弁証論治、さらに季節・時間を考慮した因時制宜を重視している。本論文には具体的な処方の記載はないが、後世の代表例として湿熱型には四妙散(蒼朮、黄柏、牛膝、薏苡仁)による清熱利湿が紹介されている。(2014, 周岚)
本論文は、重症筋無力症(痿証)に気利(放屁時の便失禁)を合併した症例を報告し、病機を脾胃虚弱・中気下陥と弁証して、「治痿独取陽明」の考えに基づき脾胃を補うことで筋力低下と気利を同時に改善した症例である。治療は補中益気・健脾挙陥・固渋止瀉を基本とし、補中益気湯加味(黄耆、党参、白朮、升麻、柴胡、炒谷芽、炒麦芽、木香、陳皮、炙甘草)に訶黎勒散(煨訶子)を併用したところ、筋力、歩行能力、下痢・気利はいずれも著明に改善し、その後は補中益気丸で維持することで病状は安定した。著者は、**「脾主肌肉」**を重視し、重症筋無力症では脾胃を立て直すことが治療の要点であると結論している。(2015, 杨步流)
本論文は、痿証を4つの主要証型に分類し、証に応じた治療と症例を提示している。病機は温熱傷津、湿熱浸淫、脾胃虚弱、肝腎亏損を中心とし、「治痿独取陽明」を基本原則として脾胃を重視している。代表方剤は、清燥救肺湯(桑葉、石膏、甘草、人参、胡麻仁、阿膠、麦門冬、杏仁、枇杷葉)、麦冬清肺湯(麦門冬、天門冬、生地黄、貝母、知母、黄芩、梔子、甘草)、養胃湯(沙参、麦門冬、生地黄、玉竹、氷糖)、加味二妙散(蒼朮、黄柏、牛膝、薏苡仁など)、龍胆瀉肝湯(龍胆草、黄芩、梔子、沢瀉、木通、車前子、当帰、生地黄、柴胡、生甘草)、加味平胃散(蒼朮、厚朴、陳皮、甘草、生姜、大棗など)、附子薏苡仁湯(附子、薏苡仁を主薬とする加減方)、参苓白朮散(人参、白朮、茯苓、山薬、扁豆、蓮子、薏苡仁、砂仁、桔梗、甘草)、帰脾湯(黄耆、人参、白朮、茯苓、当帰、竜眼肉、酸棗仁、遠志、木香、炙甘草、生姜、大棗)、八珍湯(四君子湯+四物湯)、逍遥散(柴胡、当帰、白芍、白朮、茯苓、炙甘草、生姜、薄荷)、四君子湯(人参、白朮、茯苓、炙甘草)、左帰丸(熟地黄、山薬、山茱萸、枸杞子、菟絲子、鹿角膠、亀板膠、牛膝)、**鹿角膠丸(鹿角膠を主薬とする補腎填精方)**であり、病期・病機に応じて加減しながら用いることが重要と述べている。(2013, 谭锦培)
本論文は、1979~2011年の57報を解析し、筋萎縮(痿証)の中医弁証と用薬規則をまとめた文献研究である。最も多い証型は肝腎陰虚、脾気虚、脾腎陽虚、腎陽虚で、虚証が全体の約74%を占めた。治療は補虚・活血化瘀・清熱を基本とし、代表方剤は補中益気湯(黄耆、人参、白朮、炙甘草、当帰、陳皮、升麻、柴胡)、虎潜丸(黄柏、知母、熟地黄、亀板、白芍、鎖陽、虎骨〈現在は代用品〉、陳皮、乾姜)、清燥救肺湯(桑葉、石膏、甘草、人参、胡麻仁、阿膠、麦門冬、杏仁、枇杷葉)であった。頻用生薬は黄耆、当帰、熟地黄、甘草、白朮、茯苓、白芍、人参、牛膝、陳皮、党参、川芎、山薬、肉桂、全蝎、杜仲、山茱萸、附子、亀甲、鹿角、黄柏、菟絲子、馬銭子、紅花、鶏血藤、麦門冬、知母、赤芍、地竜、枸杞子、柴胡、升麻であり、補肝腎・健脾益気・活血化瘀・清熱養陰が筋萎縮治療の基本方針と結論している。(2012, 司富春)
本論文は、全国13名の名中医による痿証治療経験を総括したレビューである。治療の基本は「治痿独取陽明」**であり、健脾益気・養陰益胃・補益肝腎・活血通絡・温陽通絡・祛湿化濁を組み合わせ、病期や病機に応じて柔軟に運用することを強調している。代表方剤は、四神丸(補骨脂、肉豆蔻、呉茱萸、五味子、生姜、大棗)、黄耆桂枝五物湯(黄耆、桂枝、白芍、生姜、大棗)、小柴胡湯(柴胡、黄芩、半夏、生姜、人参、大棗、甘草)、金剛丸(萆薢、杜仲、肉蓯蓉、菟絲子など)、補中益気湯(黄耆、人参、白朮、炙甘草、当帰、陳皮、升麻、柴胡)、升陽益胃湯(黄耆、人参、白朮、茯苓、陳皮、半夏、羌活、独活、防風、白芍、黄連、沢瀉、柴胡、甘草)、益気聡明湯(黄耆、人参、葛根、升麻、白芍、黄柏、甘草)、棄杖湯(淫羊藿、薏苡仁、黄耆、紫菀、亀板、天門冬、蒼朮、黄柏)、右帰丸(熟地黄、山薬、山茱萸、枸杞子、菟絲子、鹿角膠、杜仲、肉桂、附子)、理中湯(人参、白朮、乾姜、炙甘草)、**二仙湯(仙茅、淫羊藿、巴戟天、知母、黄柏、当帰)**などであり、補益・通絡・温陽・祛湿を組み合わせ、機能訓練を併用することが重要とまとめている。(2011, 魏秋蓮)
本論文は、難治性痿証2症例を弁証論治で改善した症例報告である。①肺熱傷津型では、肺熱による津液損傷と気血両虚で筋脈が失養したと考え、清燥救肺湯加減(黄耆、当帰、阿膠、火麻仁、杏仁、沙参、麦門冬、天花粉、知母、生石膏、山薬、青皮、牛膝)を用い、回復に応じて玄参、石斛、赤芍、熟地黄などを加減し、歩行能力が回復した。②脾胃虚弱型では、脾胃虚弱による気血不足・筋脈失養と弁証し、十全大補湯(人参、白朮、茯苓、炙甘草、熟地黄、当帰、白芍、川芎、黄耆、肉桂)に木香、牛膝を加え、後に茯苓、神麹などを追加して改善した。著者は、痿証は「治痿独取陽明」のみに拘らず、肺熱・脾虚・肝腎など病因病機を弁別し、強筋骨・通経絡薬を併用することが治療効果を高めると結論している。(2011, 徐敏华)
本論文は、痿証治療における「調理脾胃」の重要性を論じた理論的考察である。痿証の病機は脾胃虚弱、肺熱傷津、湿熱浸淫、気血不足、肝腎虧損など多岐にわたるが、いずれも脾胃が後天の本・気血生化の源であることから、健脾益胃を治療の中心に据えるべきとする。その理由として、①脾胃は五臓六腑・気血精液を養う根本であること、②脾は肌肉・四肢を主り、運化機能により筋肉を滋養すること、③**「治痿独取陽明」**の理論から陽明経が宗筋を潤し諸経を調節すること、④脾は運化により湿を除き、湿熱による筋脈失養を改善すること、の4点を挙げている。本論文には具体的な方剤・構成生薬の記載はなく、健脾益胃・運脾化湿を痿証治療の基本原則として論じている。(2010, 马生奇)
痿証の中医学的弁証論治を概説した総説である。痿証は肺・脾(胃)・肝・腎が関与するが、肝腎虚損を本とし、津液・気血・精髄不足による筋脈失養が基本病機である。発病初期は湿・熱・痰・瘀による実証が多く、慢性化すると脾胃虚弱・肝腎虧虚を主体とする虚証へ移行しやすいため、虚実の主次を見極めることを重視する。治療は**「治痿独取陽明」を基本とし、実証では清熱潤燥・清熱利湿、虚証では健脾益気・滋養肝腎を行い、必要に応じて活血・化痰・通絡を併用する。代表処方として、①陽気虚弱:桂枝、党参、杜仲、淫羊藿、当帰、鹿角片、黄耆、続断、白朮、甘草(重症では附子、肉桂、鹿角膠、仙茅を加味)、②営血虚虧:熟地黄、黄精、何首烏、白芍、太子参、黄耆、枸杞子、牛膝、麦門冬、当帰、甘草(重症では亀板、阿膠を加味)、③筋脈不和:穿山甲、地竜、威霊仙、伸筋草、鶏血藤、狗脊、白芍、五加皮、乳香、没薬、烏梅、甘草を提示している。また、後期には亀板・阿膠・鹿角膠・紫河車など血肉有情之品による補精益髄**を重視すべきと述べている。(2008, 乔文化)
痿証の弁証論治について、従来の病機に加えて外傷や高齢化による病態を含めて考察した総説である。著者は痿証の基本病機として肺熱傷津・湿熱浸淫・脾胃虚弱・肝腎虧虚に加え、①瘀血阻絡による痿証、②腎陽虚衰による痿証を重視する。瘀血阻絡型では補陽還五湯または聖愈湯加減を用い、症例では黄耆、赤芍、川芎、当帰、地竜、丹参、鶏血藤、桂枝、桃仁、紅花で良好な改善を得た。腎陽虚型では自擬**強脊湯(熟地黄、鹿茸、山茱萸、枸杞子、杜仲、川続断、骨碎補、牛膝、当帰、茯苓、山薬、甘草)**を用いて温腎益精を図り、高齢者の歩行障害が改善した。著者は、痿証は必ずしも無痛・熱証だけではなく、外傷性の瘀血や高齢者の陽虚寒証も存在するため、虚実・寒熱・瘀血を十分に鑑別し、「辨証施治」を徹底することが重要であると述べている。(2007, 陈革)
産後に発症した痿躄証(下肢筋力低下・筋萎縮)の1症例を報告した症例報告である。著者は本症を肺胃陰虚・陰虚内熱・筋骨失養と弁証し、「治痿独取陽明」の考えに基づき、甘寒益胃・養陰清熱を治法とした。基本方は玉竹、北沙参、石斛、白芍、蘆根、黄柏、甘草で、症状改善後は黄柏を去り、菟絲子を加えて肝腎を補い筋骨を強化した。服薬3剤で下肢の筋力低下・しびれ・口渇・煩熱は著明に改善し、7剤で体力が回復、日常生活が可能となった。著者は、痿躄証の本態は肺胃陰虚による津液不足であり、胃陰を養えば肺陰も回復し、「治痿独取陽明」の原則により宗筋を滋養できること、能食善饑は胃陰虚・胃熱の重要な所見であり、甘寒養陰を主体として少量の苦寒薬で相火を抑える治療が有効であると述べている。(2007, 李炳)
『黄帝内経』から近現代までの文献を整理し、痿証の病因・病機の変遷を考察した総説である。古典では肺熱葉焦を発端とし、五臓気熱・湿熱・脾胃虚弱・肝腎不足が痿証の基本病機とされ、「治痿独取陽明」が治療の中心とされた。その後、歴代医家により瘀血・痰湿・気虚・血虚・陰虚・陽虚・外傷・情志・飲食不節・房労・久病など病因・病機の理解が拡充され、現代では本虚標実(脾腎肝肺の虚を本とし、痰・湿・瘀・熱を標とする)との認識が主流となっている。著者は、歴代文献の知見を整理することで、痿証治療では病期や病機に応じた健脾益気、補肝腎、養陰清熱、活血化瘀、化痰除湿などの治法を柔軟に組み合わせる必要があり、今後は現代医学との融合による病因・病機研究の深化が重要であると結論している。本論文には具体的な方剤・構成生薬の記載はない。(2005, 许凤全)
痿証2症例(高位脊髄神経損傷、下腿筋萎縮)の治療経験を報告した症例報告である。高位脊髄神経損傷は瘀血阻絡と弁証し、活血化瘀・舒筋通絡を目的に、黄耆、地竜、当帰、紅花、伸筋草、川牛膝、杜仲、茯苓、党参、白芍、防風、葛根、赤芍を用い、改善後は狗脊、鹿角片を追加し、針灸を併用して治癒した。下腿筋萎縮は肝腎不足・気血両虚・脾失健運と弁証し、益気養血・補肝腎・健脾を目的として、鹿角霜、白朮、茯苓、鶏血藤、当帰、杜仲、熟地黄、防風、川牛膝、鹿角片、党参、黄耆、薏苡仁、甘草を投与し、針灸を併用して筋萎縮と筋力低下が著明に改善した。著者は、痿証は原因により瘀血阻絡型と虚損型で治法が異なり、病因・病機を十分に鑑別して処方を選択し、針灸を併用することで気血経絡の流れを改善し、治療効果を高められると述べている。(2005, 陈根财)
痿証3症例(足痿、肉痿、筋痿)の治療経験を報告した症例報告である。足痿(胸椎結核後)は瘀血阻絡→湿熱内蘊→肝腎虧虚と病機の変化に応じ、五味消毒飲合桃紅四物湯(連翹、金銀花、紫花地丁、生地黄、天葵子、蒲公英、桃仁、紅花、当帰、川芎)、三妙散加減(蒼朮、黄柏、茯苓、薏苡仁、防已、木瓜、牛膝、甘草、茵陳)、知柏地黄湯加減(知母、黄柏、熟地黄、当帰、白芍、巴戟天、杜仲、続断、鎖陽、何首烏、鶏血藤、牛膝、補骨脂、桃仁、紅花、黄耆、亀板)、さらに虎潜丸加減(黄柏、牛膝、熟地黄、知母、白芍、当帰、桂枝、木通、地竜、黄耆、肉蓯蓉、補骨脂、骨碎補、枸杞子、阿膠、鹿角膠、亀板、甘草)へと変更して改善した。肉痿(ギラン・バレー症候群)は湿熱内停→肝腎不足→気血両虚と弁証し、三妙散合人参白虎湯(人参、知母、黄柏、蒼朮、牛膝、五加皮、木瓜、石膏、車前子、甘草、大黄、芒硝)、左帰丸加減(生地黄、山薬、山茱萸、枸杞子、菟絲子、鹿角膠、亀板膠、牛膝、人参、黄柏、知母、当帰、甘草)、八珍湯合知柏地黄湯加減(桂枝、白芍、黄耆、白朮、熟地黄、人参、当帰、甘草、肉蓯蓉、骨碎補、枸杞子、牛膝、知母、黄柏、鹿角膠、阿膠、木通、地竜、亀板)、**虎潜丸加減(黄柏、亀板、牛膝、熟地黄、知母、白芍、当帰、鎖陽、陳皮、杜仲、桑寄生、続断、甘草)を用いて回復した。筋痿(寒湿内阻)は薏苡仁湯加減(薏苡仁、蒼朮、麻黄、桂枝、羌活、独活、防風、川烏、当帰、川芎、桑枝、蘆根、五加皮、牛膝、黄柏、木瓜、甘草、生姜)**で寒湿を除いた後、**大補元煎加減(人参、山薬、熟地黄、枸杞子、当帰、杜仲、山茱萸、甘草、桂枝、牛膝、黄耆、何首烏)**で補気養血・補肝腎を行い治癒した。著者は、痿証は病因・病期に応じて邪実(熱・湿・瘀・寒湿)を先に除き、その後に補肝腎・益気養血・強筋健骨へ移行する「扶正祛邪」の治療が重要であると述べている。(2002, 许蔚荣)
家伝方「布精起痿湯」を用いて痿証(急性多発性神経炎など)2症例を治療した症例報告である。両症例とも温熱邪が肺胃に内蘊し、肺熱葉焦・筋脈失養を基本病機と弁証し、布精起痿湯(玉竹、山薬、天門冬、麦門冬、枸杞子、亀板、懐牛膝、鎖陽、木瓜、知母、黄柏、甘草)を基本方として、熱盛には石膏・玄参を加え、熱退後は石膏・黄柏・玄参を去り、亀板・熟地黄・枸杞子を加えるなど病期に応じて加減し、いずれも歩行障害・筋力低下が著明に改善した。著者は、本方は**「治痿独取陽明」**に基づき、滋陰益精・清熱化湿を治療の柱とする処方であり、玉竹・山薬・天門冬・麦門冬で養陰生津、枸杞子・亀板・懐牛膝・鎖陽で補肝腎・益精強筋、知母・黄柏で滋陰清熱、木瓜で舒筋通絡・化湿を図ることが痿証治療の要点であると述べている。さらに、湿熱が強ければ石膏・薏苡仁・茯苓を加え、陰精虚が強ければ黄柏・知母を去り、黄耆・五味子を加えるなどの加減法を提示している。(1996, 林出版)
痿証3症例(急性脊髄炎、ウイルス性髄膜脳炎、進行性筋ジストロフィー)の治療経験を報告した症例報告である。急性脊髄炎は湿熱困阻陽明・陽明腑実と弁証し、まず大黄、芒硝、蒼朮、黄柏、生薏苡仁で通腑祛湿を行い、その後茵陳、木通、板藍根、連翹、布渣葉、淡竹葉、生薏苡仁、冬瓜子で清利湿熱し治癒した。ウイルス性髄膜脳炎は痰湿内蘊と弁証し、陳皮、独活、胆南星、法半夏、石菖蒲、僵蚕、茯苓、川木瓜、生薏苡仁、甘草で健脾化痰利湿を行い、その後桂枝、防風、独活、僵蚕、川牛膝、秦艽、桑寄生、黄耆、甘草、青黛へ変更して回復した。進行性筋ジストロフィーは気陰不足・虚中夾湿と弁証し、初期は黄耆、防風、連翹、続断、防已、茵陳、薏苡仁、淫羊藿、佩蘭、沢瀉で攻補兼施し、その後は黄耆、茵陳、千斤抜、何首烏、生地黄、党参、沢瀉、女貞子、続断、五味子、青黛に変更して益気・補肝腎を図り、筋力が著明に改善した。著者は、痿証では病機に応じて「通腑祛湿」「化痰通絡」「滋陰益精」を使い分け、邪実を除いた後に補益へ移行することが重要であると述べている。(1997, 黄永强)
陳亦人教授の痿証治療経験をまとめた総説である。陳教授は、痿証は本虚標実であり、病機の変化に応じて振痿起痿・活血化瘀・通経透絡・化痰除湿・調補陰陽を組み合わせることを重視した。まず病初は湿熱・痰濁・瘀血などの邪実を除き、その後に扶正へ移行し、虚実・寒熱を慎重に判断して治療すべきとする。活血化瘀では軽症に桃仁・莪朮、重症・難治例には水蛭・地蟄虫を用い、通経透絡には蜈蚣・全蝎・木瓜・葛根などを多用する。さらに、化痰除湿では痰湿・湿熱・瘀血による経脈閉塞を重視し、蒼朮・黄柏・茯苓・瓜子金などを用いて脾胃機能を回復させることを強調している。また、陽気不足を重視し、「陽気一虚すれば肌肉を養えず痿証となる」として、黄耆を中心に仙霊脾(淫羊藿)・桂枝・鹿角膠などで温陽益気・補腎を図る治法を提唱した。症例では、ALS患者に仙霊脾、鹿角膠、黄耆、枸杞子、冬蟲夏草、木瓜、葛根、茯苓、白朮、炙甘草などを基本とし、湿熱が強い時期には黄柏・薏苡仁・瓜子金を加え、また別症例では生黄耆、仙霊脾、鹿角膠、熟地黄、全当帰、杭白芍、地鼈虫、桑寄生、木防己、瓜子金、葛根、忍冬藤、炙甘草を用いて改善を得ている。(1997, 张喜奎)
脾胃虚寒型痿証の1症例を報告した症例報告である。患者は四肢無力・歩行不能・気短・自汗・納差・泥状便・畏寒肢冷・痰多などを呈し、脾胃虚寒を本、気虚・陽虚・湿盛・肝腎不足を兼ねると弁証した。治療は益気健脾・温陽祛湿を主とし、補肝腎を兼ねて、黄耆、党参、蒼朮、白朮、炒薏苡仁、茯苓、炮附子、桂枝、鶏血藤、当帰、炒酸棗仁、桑寄生、炙甘草を投与した。症状の改善に伴い黄耆を30g→90g→120gへ増量し、約2か月で歩行・筋力ともにほぼ正常化、その後も継続投与して完全寛解し、1年間再発を認めなかった。著者は、脾は後天の本であり、脾気虚による気血生化不足が肝腎精血の不足を招いて筋脈失養を生じるため、痿証では益気健脾を治療の中心とし、温陽祛湿・補肝腎・養血活絡を併用すべきであると述べ、とくに黄耆は「補中益気・温養脾胃・壮筋骨・長肌肉」の要薬として重用している。(1994, 王儒飞)
痿証3症例(肺熱葉焦型、脾胃虚弱型、肝腎虧損型)の治療経験を報告した症例報告である。肺熱葉焦型では白虎加人参湯合生脈散加減(石膏、知母、沙参、白芍、甘草、麦門冬、五味子)を用い、甘寒清上・益胃生津により改善した。脾胃虚弱型では異功散加味(党参、白朮、茯苓、陳皮、附子、金銭草、旱蓮草)を投与し、健脾益胃・滲湿通絡により歩行能力が回復した。肝腎虧損型では地黄飲子合芍薬甘草湯加味(熟地黄、山茱萸、石斛、五味子、附子、肉桂、白芍、巴戟天、蟻条〔オオクロアリ〕、甘草)を基本とし、回陽後は附子・肉桂を去り、麦門冬・補骨脂を加えて滋陰と温補の均衡を図り、歩行能力が著明に改善した。著者は、痿証は熱証・虚証が多く、「治痿独取陽明」を基本としつつ、肺熱葉焦では清熱養陰、脾胃虚弱では健脾益胃、肝腎虧損では滋養肝腎・温経通絡を行うことが重要であると述べている。(1994, 曹承)
痿証52例を3証型に分類して自家処方で治療した臨床報告である。痿証を①脾肺両虚・津失輸布、②湿熱淫筋・肝腎不足、③精髄空虚・筋骨不堅の3型に分類し、それぞれ**「黄耆愈痿湯(黄耆、玉竹、生石膏、鶏血藤、知母)」、「三妙起痿方(蒼朮、黄柏、牛膝、木瓜、橘絡、亀板)」、「療痿有情散(黄耆、塩附子、塩杜仲、淫羊藿、鶏血藤、懐牛膝、天麻、制南星、全蝎、蜈蚣、僵蚕、紫河車、地竜)」**を用いて治療した。52例中、**治癒39例(75.0%)、著効5例、好転6例、無効2例で総有効率96.1%**と報告している。著者は、痿証は「肺熱葉焦」のみでは説明できず、五臓六腑・奇恒の腑・営衛気血・津液精髄が広く関与する疾患であり、「治痿独取陽明」に固執せず、病機に応じた弁証論治を行うことが重要であると結論している。(1995, 原国柱)
痿証では「寒湿困脾」が見逃されやすい重要な証型であることを論じた短報である。著者は、従来の肺熱葉焦・湿熱浸淫・脾胃虚弱・肝腎虧損に加え、寒湿困脾も重要な病機であると指摘する。寒湿が脾陽を損傷すると、脾の運化・四肢肌肉を養う機能が低下し、気血生化不足によって筋脈失養を来し痿証を生じると考察している。症例では、身体が冷えた後に四肢弛緩・歩行不能となり、舌淡・苔白厚膩・脈緩を呈した患者に対し、健脾温陽・散寒除湿を治法として、党参、茯苓、蒼朮、木瓜、桑寄生、牛膝、白芍、薏苡仁、陳皮、炙甘草、法半夏、桂枝を投与したところ、1剤で食欲と四肢機能が改善し、以後も継続して回復した。著者は、痿証を「治痿独取陽明」のみに偏らず、寒湿困脾の存在を念頭に置き、健脾温陽・散寒除湿を行うことが重要であると述べている。(1990, 汪济)
痿証の病因・病機・弁証論治について考察した総説である。著者は、痿証の病因として①肺熱葉焦、②湿熱侵淫、③肝腎虧虚、④血虚失栄、⑤気虚失運の5つを挙げ、これらが単独ではなく相互に関連しながら筋脈失養を生じると述べている。治療では**虚実をまず弁別し、「虚を補いながら実を瀉し、実を除きつつ正気を扶ける」ことを基本とし、「治痿独取陽明」は脾胃機能を重視する原則であるが、肺熱葉焦には清肺潤燥、湿熱には清熱利湿、脾虚には健脾益気、肝腎虚には補益肝腎、血瘀には活血化瘀など、病機に応じて治法を柔軟に組み合わせるべきと強調している。また、「一見何公『神経変』と思われる疾患も、実際には弁証により治療すべきであり、医者は病名ではなく証を診るべきである」**と述べ、中医学的弁証論治の重要性を強調している。本論文には具体的な方剤・構成生薬の記載はない。(1990, 张反修)
多発性神経炎による痿証の1症例を報告した症例報告である。患者は四肢麻木・進行性筋力低下・筋萎縮・嚥下障害・発語障害を呈し、西洋医学的治療で改善せず危篤とされた。中医学では気虚血瘀と弁証し、補気活血・祛瘀通絡を治法として、**補陽還五湯加味(黄耆、全当帰、赤芍、白芍、地竜、桃仁、紅花、丹参、桂枝、威霊仙、淫羊藿、鶏血藤、蜈蚣、板藍根、牛膝、炙甘草)**を投与した。治療により握力・筋力・知覚障害・歩行能力が段階的に改善し、約1か月で日常生活が自立可能となり、6年後の追跡でも再発なく通常の労働に復帰していた。著者は、痿証では気虚による経脈失養と瘀血阻絡が重要な病機であり、補陽還五湯を基本に活血通絡薬・補肝腎薬を併用することで、重症例でも良好な回復が得られると述べている。(1991, 聂世杰)
痿証3症例(ギラン・バレー症候群、重症筋無力症、筋萎縮性側索硬化症)の治療経験を報告した症例報告である。著者は自ら考案した痿証湯を基本方とし、当帰、鶏血藤、黄耆、党参、桂枝、川牛膝、制馬銭子を主薬として病機に応じて加減した。ギラン・バレー症候群では活血化瘀・補気養血を目的に紅花、鉤藤、川木瓜、陳皮などを加え、重症筋無力症では益気養血・滋肝補腎として白芍、枸杞子、杜仲、川続断、菟絲子、活絡薬などを配合し、さらに馬銭子末を併用した。ALSでは補益気血・温腎助陽・強筋健骨を目的に、附子、白芍、木瓜、当帰、枸杞子、菟絲子、生姜、大棗などを加え、当帰・鶏血藤・川牛膝・制馬銭子を配合した薬酒を長期併用した結果、日常生活が自立し歩行能力も改善した。著者は、痿証は必ずしも「肺熱葉焦」のみではなく、気血不足・肝腎不足によるものも多く、基本は補気養血とし、病機に応じて活血化瘀・滋肝補腎・温腎助陽を加え、制馬銭子で強筋健骨を図ることが有効であると述べている。(1991, 郭炎林)
痿証の病因・病機・弁証論治を体系的に解説し、8症例を通じて治療経験をまとめた総説である。著者は、痿証は肺・脾・肝・腎の失調を本とし、病因により虚実・寒熱・湿・瘀が錯綜する本虚標実と捉え、補腎を治療の中心に据えながら、補脾益気、補肝養血、養陰清熱、活血化瘀、平肝熄風、祛風除湿を病機に応じて組み合わせることを提唱している。特に補腎益精を最重要とし、脊髄外傷・脳外傷・筋ジストロフィー・筋炎・ALS・ギラン・バレー症候群など多様な痿証に応用している。代表的な処方は、補腎益精方(熟地黄、山茱萸、山薬、枸杞子、菟絲子、亀板、鹿角膠、杜仲、牛膝、当帰、白芍、黄耆、党参、茯苓、白朮、炙甘草など)を基本に、病態に応じて附子・肉桂・淫羊藿・仙茅(陽虚)、知母・黄柏・麦門冬・生地黄(陰虚)、丹参・赤芍・紅花・桃仁・地竜(瘀血)、天麻・鉤藤・僵蚕・全蝎・蜈蚣(風動)、蒼朮・薏苡仁・茯苓・半夏(湿痰)などを加減している。8症例はいずれも筋力・歩行能力・日常生活動作が改善し、著者は補腎を根幹としつつ、病機に応じて柔軟に加減する弁証論治が痿証治療の要点であると結論している。(1991, 谢海洲)
痿証32例を4証型に分類して弁証論治した臨床報告である。**対象は重症筋無力症、末梢神経炎、進行性筋萎縮症、骨軟化症、急性脊髄炎、ギラン・バレー症候群などで、①熱灼肺陰型、②気虚瘀滞型、③肝腎虧虚型、④命門火衰型に分類した。各証に対し、清燥救肺湯加減(知母、沙参、花粉、麦門冬、黄精、牡丹皮、木瓜、川牛膝、甘草〔湿熱には蒼朮・黄柏・薏苡仁を加味〕)、益気振痿湯〔自擬方〕(黄耆、党参、焦白朮、山薬、当帰、赤芍、全蝎、制馬銭子〔心悸には五味子・夜交藤、口渇には知母・玄参・桔梗を加味〕)、虎潜丸加減(熟地黄、亀板、知母、地骨皮、牡丹皮、牛膝、白芍、当帰、甘草〔麻木には鶏血藤・天麻・丹参、五心煩熱には鼈甲・青蒿を加味〕)、**右帰飲加減(紅参、附子、肉桂、黄耆、党参、山薬、乾姜、杜仲、菟絲子、鼈甲、阿膠、熟地黄、竜眼肉、焦白朮、甘草〔悪心には木香・砂仁を加味〕)**を用いた。32例中、治癒24例、著効5例、無効3例で、多くは30~50日以内に改善した。著者は、痿証は「肺熱葉焦」のみでなく、虚実寒熱を弁別し、肺・脾・肝・腎の病機に応じた弁証論治を行うことが高い有効率につながると結論している。(1992, 和贵章)
李鯉教授の痿証治療経験をまとめた修士論文である。李教授は、現代の痿証は「脾腎両虚を本、痰瘀阻絡を標」とする本虚標実が最も多く、その背景には過食・情志不遂・中焦失調があると考える。治療では**「健運脾胃、補後天以養先天」を第一とし、滋陰補腎・化痰祛湿・活血通絡を組み合わせることを重視する。とくに保和丸(山楂、神曲、半夏、茯苓、陳皮、連翹、莱菔子)を全治療の基盤とし、「寓補於消(消導の中に補法を含ませる)」という独自の学術思想を提唱している。痿証は①脾胃虚弱・気血虧虚、②中焦不運・痰湿阻絡、③肝腎虧虚・陰血不足などに分類し、保和丸合生脈散(陳皮、半夏、茯苓、炒莱菔子、焦山楂、焦神曲、連翹、太子参、麦門冬、五味子、当帰、白芍、生姜、大棗、甘草)、保和丸加減〔痰湿阻絡〕(陳皮、半夏、茯苓、炒莱菔子、焦山楂、焦神曲、連翹、竹茹、白芍、川芎、遠志、石菖蒲、青皮、鬱金、木香、甘草)、保和丸加減〔肝腎虧虚〕(陳皮、半夏、茯苓、炒莱菔子、焦山楂、焦神曲、連翹、枸杞子、山茱萸、杜仲、桑寄生、鶏血藤、山薬、当帰、甘草)を用いる。また、専病専方として保和滋腎湯(保和丸+亀鹿二仙膠〔亀板膠、鹿角膠、人参、枸杞子〕)、保和滋肌湯、保和増力湯、起痿散を創製し、運動ニューロン病などに応用している。著者は、「脾胃を立て直し、後天で先天を養う」ことが痿証治療の核心であり、保和丸を軸に補脾・補腎・化痰・活血を組み合わせることが李鯉教授の最大の特色**であると結論している。(吴秋影)
近年の痿証に対する中医薬治療を総括したレビューである。痿証には重症筋無力症、運動ニューロン病、多発性神経炎、筋ジストロフィーなどが含まれ、治療の中心は健脾益気・補腎填精であり、病機に応じて滋陰・温陽・活血化瘀・化痰通絡を組み合わせることが重要とまとめている。代表方剤として、補中益気湯(黄耆、人参〔党参〕、白朮、炙甘草、当帰、陳皮、升麻、柴胡)、左帰丸(熟地黄、山薬、山茱萸、枸杞子、菟絲子、鹿角膠、亀板膠、牛膝)、右帰丸(熟地黄、山薬、山茱萸、枸杞子、杜仲、菟絲子、当帰、附子、肉桂、鹿角膠)、補陽還五湯(黄耆、当帰、赤芍、川芎、桃仁、紅花、地竜)、六味地黄丸(熟地黄、山茱萸、山薬、沢瀉、牡丹皮、茯苓)、生脈散(人参、麦門冬、五味子)、五味異功散(人参、白朮、茯苓、炙甘草、陳皮)、六君子湯(人参、白朮、茯苓、炙甘草、陳皮、半夏、生姜、大棗)、八珍湯(人参、白朮、茯苓、炙甘草、当帰、川芎、白芍、熟地黄)、**強肌健力飲(黄耆、五爪龍、党参、白朮、当帰、升麻、柴胡、陳皮、甘草)**などを病機に応じて用い、特に黄耆を60~120gと大量に使用する報告が多いことが特徴である。また、馬銭子は適切な炮製と漸増投与により重症筋無力症などに有効であり、周仲瑛教授や邓鉄涛教授らの治療経験も紹介されている。(2010, 王允娜)

