ALSの中医論文
ALSの基本病機を**「脏腑亏虚(肝・脾・腎を中心とする虚)」を本、「痰瘀痹阻」を標**とし、「虚→痰→瘀→痹」という連鎖的病機に基づいて、**早期(健脾補腎・化痰通絡)→中期(化痰祛瘀・通絡)→晩期(益気温陽・固本開痹)の分期治療を提唱しています。さらに、52例の臨床観察では、中西医併用により3か月後の臨床安定率は75.0%**であったと報告しています。 ① 加味四君子湯(早期・脾胃気虚)党参、白朮、茯苓、甘草、黄耆、升麻、② 藿苓生肌方(早期・脾腎両虚・痰湿内蘊)藿香、茯苓、白朮(必要に応じて山薬、枸杞子などを加味) 、③ 涤痰通絡方(中期)黄耆、熟地黄、枸杞子、肉蓯蓉、白芍、地竜、鶏血藤、天麻、茯苓、④ 健脾益肺方合黄連解毒湯(晩期)生晒参、炙黄耆、炒白朮、茯苓、防風、熟附子、乾姜、黄連、黄芩、黄柏、葶藶子、⑤ 金匱腎気丸合補中益気湯(52例の治療)熟地黄、山茱萸、山薬、黄耆、升麻、党参、白朮、陳皮、肉桂、⑥ 涤痰通絡方(52例)、黄耆、白芍、葛根、枸杞子、熟地黄、肉蓯蓉、地竜、益智仁、鶏血藤、天麻、⑦ 健脾益肺方合黄連解毒湯(52例)生晒参、炙黄耆、炒白朮、茯苓、防風、熟附子、乾姜、黄連、黄芩、黄柏、葶藶子。(2026, 黄来多)
張喜奎教授が用いる中核方剤は、補気通絡方合三仙湯です。ALSを**「脾腎虧虚を本、痰瘀阻絡を標」**と捉え、補脾益腎を基本に、化痰・活血・通絡を組み合わせています。中核方剤(構成生薬)黄耆、葛根、鶏血藤、牡蛎、仙鶴草、淫羊藿、仙茅、三仙湯(仙鶴草、淫羊藿、仙茅)、六味地黄丸(三補として併用)生地黄、山薬、山茱萸。随証加減として不眠:炒酸棗仁、合歓皮、夜交藤、瓜子金。脾気虚:砂仁、炒扁豆、茯苓。食欲不振:山楂、麦芽、谷芽。気虚:白条参(+黄耆増量)。便秘:枳実、白朮、厚朴。腎陽虚:狗脊、杜仲、続断。腎陰虚:黄柏、知母、地骨皮。風痰上擾:僵蚕、遠志、法半夏、石菖蒲。血瘀:当帰、紅花、川芎。胃陰虚:玄参、石斛。湿盛:茯苓、陳皮。痰多:百合、瓜蔞。(2026, 林小妹)
ALSをロンドン病期に応じて、早期は健脾益胃・祛邪化濁、中期は健脾益気・温陽補腎、晩期は調和営衛・枢利気機を基本治法とする。早期は参苓白朮散(人参、白朮、茯苓、山薬、白扁豆、蓮子、薏苡仁、砂仁、桔梗、甘草)を中心に、黄耆、白朮、茯苓、党参、蒼朮、萆薢、茵陳蒿、黄連などで健脾・清利湿熱・化濁を図る。中期は地黄飲子(熟地黄、山茱萸、石斛、麦門冬、五味子、肉蓯蓉、巴戟天、附子、肉桂、石菖蒲、遠志、茯苓)を代表とし、黄耆、仙霊脾(淫羊藿)、杜仲、山薬、巴戟天、藿香、白朮、人参、肉蓯蓉、菟絲子、枸杞子などで脾腎同補を行う。晩期は黄耆、党参、白朮、杜仲、熟地黄、山茱萸、枸杞子、当帰、川芎、桃仁、紅花、桂枝、石菖蒲、茯苓、白朮、砂仁、佩蘭、大黄、黄連、黄柏などを用い、補益脾腎・調和営衛・活血通絡・芳香化濁・瀉濁解毒・理気を組み合わせて病勢進行の抑制を図る。(2026, 劉達)
ALS(筋萎縮性側索硬化症)患者80例を対象に、不安・抑うつを伴う患者の中医証候分布を解析した横断研究である。ALS患者の93.8%が不安または抑うつを合併し、そのうち63.8%は両者を併存していた。不安・抑うつを伴うALSでは脾腎両虚証が最も多く、次いで脾胃虚弱証、湿熱浸淫証、脈絡瘀阻証、肝腎陰虚証、燥熱傷津証がみられた。焦慮は燥熱傷津証・湿熱浸淫証で強く、抑うつは脾胃虚弱証で最も強かった。またALS重症度(ALSFRS-R)は不安・抑うつと負の相関、睡眠障害は不安・抑うつと正の相関を示した。女性、低学歴、病程延長、睡眠障害、身体機能低下は精神症状の危険因子と考えられた。(2024, 白绿峰)
ALS患者600例を対象に中医証候の分布を解析し、ALS中医証候分類スケールを開発・検証した研究である。文献解析では病位は脾・腎、病性は気虚・風・痰湿が最多であった。600例の解析では筋束攣縮、筋萎縮、四肢痙攣が最も多い症状で、証候は内風(88.5%)、気虚(78.5%)、陰虚(69.0%)、痰濁(65.3%)、脾虚(65.3%)、内熱(64.0%)、陽亢(51.5%)、腎虚(48.8%)が主体であった。女性では気虚・陰虚が多く、加齢とともに内熱・痰濁・腎虚が増加し、病期の進行では内風が全経過を通じて存在し、脾腎両虚・気陰両虚から痰熱・陽亢へ進行し、最終的に極虚・痰盛へ至ることが示された。脾腎虚損、気陰両虚、痰熱内阻が運動機能低下や認知・行動障害の進行に最も重要な病機であり、これら10証(内風・内熱・陽亢・痰濁・瘀血・脾虚・腎虚・気虚・陰虚・陽虚)から50項目で構成されるALS中医証候分類スケールを作成した。スケールは診断一致率74.0~96.5%、再検査信頼性86.4~100%、評価者間一致率90.9~100%と良好な妥当性・信頼性を示し、ALSの臨床・研究に有用と考えられた。(2024, 滕羽鸥)
古典医籍303処方とALS539例を解析した研究で、痿証治療は益気健脾・補腎填精・清熱祛湿・養陰潤燥が基本であることを示した。代表方剤は、四君子湯(人参、白朮、茯苓、甘草)、地黄飲子(熟地黄、山茱萸、山薬、石斛、麦門冬、五味子、肉蓯蓉、巴戟天、附子、肉桂、石菖蒲、遠志、茯苓)、二妙丸(蒼朮、黄柏)、六味地黄丸(熟地黄、山茱萸、山薬、沢瀉、牡丹皮、茯苓)、四物湯(当帰、熟地黄、白芍、川芎)、独活寄生湯(独活、桑寄生、秦艽、防風、細辛、当帰、川芎、白芍、熟地黄、杜仲、牛膝、人参、茯苓、甘草、桂心)、生脈飲(人参、麦門冬、五味子)であった。ALSでは肺熱津傷証が最多かつ予後不良と最も強く関連し、脾胃虚弱・湿熱浸淫・肝腎虚損も病勢進行と関係した。頻用生薬は当帰、茯苓、牛膝、熟地黄、甘草、人参であり、益気健脾・補腎填精・養血活血を中心とした治療が重要と結論している。(2023, 曹天雨)
周紹華教授は、運動ニューロン病(ALS)の病機を脾腎亏虚・肝腎陰虚・気血津精不足を本、痰阻・血瘀・風動を標と捉え、温補脾腎・補益気血・補腎填精を中心に祛風通絡・活血化痰を組み合わせて治療する。証に応じて右帰丸合四物湯加止痙散(附子、桂枝、鹿角膠、熟地黄、山薬、茯神、杜仲、牛膝、続断、淫羊藿、当帰、白芍、阿膠、全蝎、蜈蚣、僵蚕、炙甘草、紫河車、紅参)**、十全大補湯加止痙散(人参、白朮、茯苓、甘草、熟地黄、当帰、白芍、川芎、黄耆、肉桂、天麻、地竜、全蝎、蜈蚣、僵蚕)、温胆湯合四物湯加止痙散(半夏、陳皮、茯苓、胆南星、竹茹、白朮、川貝母、石菖蒲、黄耆、党参、薏苡仁、当帰、熟地黄、川芎、白芍、丹参、地竜、天麻、全蝎、蜈蚣、僵蚕、甘草)、**虎潜丸加止痙散(亀板、牛膝、陳皮、熟地黄、鎖陽、当帰、知母、黄柏、白芍、黄精、石斛、牡丹皮、茯神、阿膠、紫河車、天麻、全蝎、蜈蚣、僵蚕、酸棗仁、合歓皮、甘草)**を用い、「本虚問題多、滋補不為過(ALSは本虚が主体であり、補益を重視すべき)」と強調している。(2021, 郭春麗)
古籍303方をデータマイニング解析した結果、ALS関連痿証の治療は補益肝脾腎を基本とし、清熱化湿・養血祛風を組み合わせることが特徴であった。頻用生薬は当帰、茯苓、牛膝、熟地黄、甘草、黄耆で、代表的な薬対は四君子湯類(人参、茯苓、白朮、甘草、黄耆)**、陰陽双補(肉蓯蓉、枸杞子、杜仲、石斛、熟地黄、牛膝)、二妙丸類(蒼朮、黄柏、沢瀉、陳皮)、四物湯類(当帰、熟地黄、川芎、白芍)、**生脈飲類(人参、麦門冬、五味子)**が抽出され、補気・補肝腎・清熱利湿・養血祛風を病態に応じて組み合わせることがALS治療の基本戦略と結論づけている。 (2020, 曹天宇)
本論文は、運動ニューロン病(MND)の中医学的治療を総説し、病機は脾腎亏虚を主体に、肝腎亏虚、脾虚湿困を伴い、風・痰・湿・瘀が絡脈を阻滞して発症するとしている。治療は補脾腎**を基本とし、桃紅四物湯合右帰丸(桃仁、紅花、当帰、川芎、白芍、熟地黄、熟地黄、山薬、山茱萸、枸杞子、杜仲、菟絲子、附子、肉桂)、清燥救肺湯(桑葉、石膏、甘草、人参、胡麻仁、阿膠、麦門冬、杏仁、枇杷葉)、加味二妙丸(蒼朮、黄柏に証に応じ加味)、虎潜丸合地黄飲子(虎潜丸:黄柏、知母、熟地黄、亀板、白芍、鎖陽、陳皮、乾姜/地黄飲子:熟地黄、山茱萸、山薬、石斛、麦門冬、五味子、肉蓯蓉、巴戟天、附子、肉桂、石菖蒲、遠志、茯苓)、**補中益気湯(黄耆、人参、白朮、炙甘草、当帰、陳皮、升麻、柴胡)**を証に応じて用い、針灸や中成薬との併用により病勢進行の抑制とQOL向上を目指すことが重要であると述べている。(2019, 樊晓萌)
本論文は、ALS(筋萎縮性側索硬化症)の中医学的研究を総説し、病機は本虚標実で、脾虚を中心に肝・腎・肺へ及び、風・痰・瘀・湿・熱・毒が標実として加わると考えている。治療は補脾益気・補腎填精を基本とし、痰・瘀を兼治して病勢の進行を抑えることを重視する。代表方剤として補中益気湯(黄耆、人参、白朮、炙甘草、当帰、陳皮、升麻、柴胡)、升陽益胃湯(黄耆、人参、白朮、炙甘草、陳皮、半夏、茯苓、沢瀉、羌活、独活、防風、白芍、黄連、柴胡)、柴胡疏肝散(柴胡、香附、川芎、枳殻、陳皮、白芍、甘草)、麻黄附子細辛湯(麻黄、附子、細辛)、益気健脾補元湯(黄耆、党参、白朮、茯苓など)、温腎健脾双補方(附子、肉桂、熟地黄、山薬、山茱萸、黄耆、党参、白朮など)、滋補肝腎益気湯(熟地黄、山茱萸、山薬、枸杞子、黄耆、党参、当帰など)、人参蛤蚧湯(人参、蛤蚧など)、健脾益肺方(黄耆、党参、白朮、茯苓など)、益気強肌湯(黄耆、党参、白朮、当帰など)、藿苓生肌方(藿香、茯苓を中心とした健脾化湿方)、**加味四君子湯(人参、白朮、茯苓、甘草+加味)などが紹介され、さらに針灸では「治痿独取陽明」**を基本として陽明経・督脈・奇経を重視することが述べられている。(2018, 李娜)
本論文は、運動ニューロン病(MND)の中医治療経験をまとめた総説で、病機は肺熱津傷、肝腎陰虚、脾胃虚弱、腎虚痰瘀の4型を基本とし、病期に応じた弁証論治を重視している。治療は清熱養陰・滋補肝腎・健脾益気・補腎化痰を基本とし、清燥湯合保元湯加減(蒼朮、黄耆、白朮、陳皮、沢瀉、人参、茯苓、升麻、当帰、生地黄、麦門冬、神麹、黄柏、猪苓、黄連、五味子、肉桂、甘草、紫河車、馬銭子粉)、虎潜丸加減(黄柏、亀板、知母、熟地黄、陳皮、白芍、乾姜、紫河車、馬銭子粉)、加味金剛丸(萆薢、杜仲、肉蓯蓉、巴戟天、天麻、僵蚕、全蝎、木瓜、烏賊骨、菟絲子、馬銭子、蜈蚣)、補中益気湯(黄耆、白朮、党参、炙甘草、柴胡、升麻、当帰、陳皮)、十全大補湯(人参、白朮、茯苓、炙甘草、熟地黄、当帰、白芍、川芎、黄耆、肉桂)、**地黄飲子(熟地黄、山茱萸、石斛、巴戟天、附子、肉桂、肉蓯蓉、遠志、茯苓、五味子、石菖蒲、麦門冬、薄荷、黄耆、亀板膠)**などを証に応じて用い、中薬・針灸・薬浴などを組み合わせることで病勢進行を遅らせ、生活の質の改善が期待できると述べている。(2016, 劉磊)
本論文は、運動ニューロン病(ALS)を痿証として捉え、発症・進展には肺熱葉焦と脾胃虚弱が中心的役割を果たすと論じている。初期から肺陰を損傷して気陰両虚となり、その後脾胃虚弱による気血不足が加わって筋肉・筋脈が失養すると考え、治療は養陰清熱・補肺益気と健脾益気を基本とし、長期的には重補元気・健脾益肺・扶正固本を重視する。代表方剤は、清燥救肺湯(桑葉、石膏、甘草、人参、胡麻仁、阿膠、麦門冬、杏仁、枇杷葉)、**補中益気湯(黄耆、人参、白朮、炙甘草、当帰、陳皮、升麻、柴胡)**であり、肺脾同治によって免疫機能の改善、病勢進行の抑制、QOL向上が期待できるとしている。(2012, 赵晶)
本論文は、ALS(筋萎縮性側索硬化症)の中医学的病因病機と治療を総説したレビューである。病機は脾腎虧虚を本、虚風内動・痰瘀阻絡を標とし、肝・脾・腎・肺、さらに奇経・督脈の障害も重視する。治療は益気補血、活血化瘀、健脾益腎、柔肝養血、化痰祛熱、滋水涵木、補腎填精を基本とし、代表方剤は虎潜丸(黄柏、知母、熟地黄、亀板、白芍、鎖陽、虎骨〈代用品〉、陳皮、乾姜)、地黄飲子(熟地黄、山茱萸、山薬、肉蓯蓉、巴戟天、石斛、五味子、麦門冬、附子、肉桂、菖蒲、遠志、茯苓、薄荷、生姜、大棗)、八珍湯(人参、白朮、茯苓、炙甘草、熟地黄、当帰、白芍、川芎)、六味地黄丸(熟地黄、山茱萸、山薬、沢瀉、牡丹皮、茯苓)、左帰丸(熟地黄、山薬、山茱萸、枸杞子、菟絲子、牛膝、鹿角膠、亀板膠)、右帰丸(熟地黄、山薬、山茱萸、枸杞子、菟絲子、鹿角膠、杜仲、肉桂、附子)、大補陰丸(熟地黄、亀板、黄柏、知母、猪脊髄、蜂蜜)、通竅活血湯(赤芍、川芎、桃仁、紅花、老葱、生姜、麝香、黄酒)などが挙げられる。臨床では強肌霊、健脾補腎熄風方、強筋丸、益髄湯、愈痿湯、補元湯など補脾腎・補気薬を主体とした処方が多く、針灸・機能訓練・西洋医学との併用が単独療法より有効とまとめている。(2011, 赵勇)
本論文は、運動ニューロン病(MND)の中医学的病因病機を考察した理論論文である。病機は奇経(衝脈・督脈・帯脈)虧虚と五臓虚損(肝・脾・腎)が発病の本であり、陰虚火旺・毒邪内盛が病勢進行を促し、終末期には元気衰敗・宗気下陥・痰瘀互結が呼吸不全など重症化の鍵になるとする。治療は早中期は奇経・五臓を補いながら清火・解毒などの祛邪を行い、後期は補益元気・調整気機昇降を主とし、祛痰・活血化瘀を併用することを提唱している。本論文には具体的な方剤・構成生薬の記載はなく、病期に応じた治療原則を中心に論じている。(2011, 王典華)
運動ニューロン病(MND)の病因病機と弁証論治、症例経験をまとめた臨床報告である。病機は脾・肝・腎三臓虚損を本とし、湿濁・湿熱、毒邪、痰瘀、絡病、虚風内動が病勢の進展に関与すると考える。弁証は①血虚肝熱、②肝腎陰虚、③脾胃気虚・精血不足、④陰虚内熱・精虧、⑤脾腎両虚、⑥気虚血瘀、⑦廉泉受邪・失語の7型に分類し、それぞれ大定風珠、地黄飲子、補中益気湯、大補陰丸合左帰丸、右帰丸、人参帰脾湯合虎潜丸、地黄飲子を基本方として加減する。症例では**右帰丸加減(熟地黄、山薬、山茱萸、菟絲子、鹿角膠、当帰、枸杞子、何首烏、栝楼、薏苡仁、亀板膠、丹参、蒼朮、白朮、半夏、沢瀉、延胡索、淫羊藿、仙茅、炙甘草)**に鍼灸を併用し、6か月で筋力・症状が改善し病勢が安定した。著者は、MNDの基本病機を「腎精虧損・気血不足・痰瘀阻絡」と総括し、病期に応じて早期は調脾胃・通経絡・化痰祛瘀、中後期は填精補髄・補肝腎・化痰熄風を中心とし、鍼灸との併用が重要であると述べている。(2010, 張平)
李如奎教授の運動ニューロン病(MND)治療経験をまとめた報告である。李教授はMNDを痿証と痙証が併存する病態と捉え、「痙痿同治」を提唱する。治療は健脾益気と滋陰填精を並行し、補益脾腎と理気化湿を組み合わせ、補法と攻法を併用することを特徴とする。また、弁病と弁証を組み合わせ、「乙癸同源(肝腎同治)」と「肝脾調和」を重視し、病初期から病後まで病期に応じて虚実・寒熱・痰湿・気滞などを総合的に判断して加減することを強調している。本論文には具体的な方剤・構成生薬の記載はなく、MNDに対する治療理念と弁証の考え方を中心に論じている。(2009, 刘毅)
周仲瑛教授による進行性筋萎縮症(運動ニューロン病)の症例を通じて、その弁証論治の特徴をまとめた報告である。周教授は本症を痿証として捉え、脾腎両虚を本、湿熱・瘀血を標と弁証し、脾・腎・肝を同時に調え、健脾補気・補腎養陰・清熱化湿・活血化瘀・化痰通絡を組み合わせる復合法を重視する。初診方は黄耆、党参、白朮、蒼朮、薏苡仁、防已、当帰、鶏血藤、黄柏、牛膝、全蝎、蜈蚣、僵蚕、烏梢蛇、石斛、川続断、胆南星、淫羊藿、山薬、竜骨、牡蛎を基本とし、経過に応じて葛根、赤芍・白芍、巴戟天、地竜、山茱萸、知母、腫節風、白残花などを加減した。治療により筋力・歩行・筋攣縮は徐々に改善し、周教授は四妙散と防己黄耆湯の考え方を応用して健脾益気と清熱化湿を両立し、虫類薬(全蝎・蜈蚣・僵蚕・地竜・烏梢蛇)による搜風通絡を積極的に用いること、必要に応じて馬銭子など有毒生薬も適切に活用することが難治例治療の要点であると述べている。(2009, 刘志宇)
劉友章教授による筋萎縮性側索硬化症(ALS)の治療経験をまとめた報告である。劉教授はALSを痿証と捉え、脾・腎・肝の虚損を本、虚風内動・痰湿・瘀血阻絡を標と弁証する。基本治法は健脾補腎・熄風化痰・活血通絡で、自擬健脾補腎熄風方(黄耆、五爪龍、白朮、茯苓、杜仲、巴戟天、熟地黄、山薬、菟絲子、全蝎、僵蚕、蜈蚣、甘草)を基本とし、症状に応じて筋束攣縮には竜骨・牡蛎・亀板、嚥下障害や構音障害には半夏・石菖蒲・遠志、頸部や腰の無力には牛大力・千斤抜・狗脊、湿濁には茵陳・薏苡仁・砂仁・白豆蔲・川萆薢を加減する。また、虫類薬(全蝎・蜈蚣・僵蚕)を必ず用いて熄風通絡を図ること、五爪龍・牛大力・千斤抜など嶺南薬を積極的に活用することを特徴とする。症例では、健脾補腎に加え化痰開竅・熄風通絡を強化したことで構音障害、嚥下障害、筋力低下、筋束攣縮が著明に改善し、ALS治療では健脾補腎だけでなく、熄風・除痰・開竅・通絡を併用することが重要であると述べている。(2009, 胡任飞)
重症の痿証(脳萎縮を伴う全身筋萎縮)の1症例に対し、中医学的総合療法で改善した症例報告である。患者を気血両虚・五臓不足と弁証し、心理療法、食事療法(猪脳髄)、推拿療法に加え、症状に応じて増液承気湯加味(玄参、麦門冬、生地黄、杏仁、桔梗、熟大黄、芒硝、黄耆)、黄耆建中湯加味(黄耆、桂枝、大棗、乾姜、附子、当帰、白芍、人参、鶏血藤、炙甘草)、補陽還五湯加味(黄耆、当帰、桃仁、地竜、紅花、川芎、枸杞子、亀板、牛膝、酸棗仁、炙甘草)を使い分けた。治療2か月で歩行可能となり、6か月後には家事が行えるまで回復した。著者は、「治痿独取陽明」の考えに基づき、脾胃を整えて気血の生化を回復させることを治療の根本とし、活血通絡・心理療法・推拿・栄養療法を組み合わせた総合治療が慢性痿証に有効であると述べている。(2007, 毛龙书)
運動ニューロン病(ALSなど)の中医学的診断・治療を総括した総説である。運動ニューロン病は中医学では主として痿証に属し、基本病機は肺熱葉焦、脾胃虚弱、肝腎不足を本とし、湿・痰・瘀血を伴う本虚標実であるとする。文献的検討では、脾気虚弱、脾腎陽虚、肝腎陰虚、痰熱瘀結が主要証型であり、特に脾腎陽虚と脾気虚弱が最も多いと総括している。治療は**「治痿独取陽明」**を基本としつつ、養肺津液も重視すべきと述べ、針灸・埋線・電針・推拿・穴位注射などとの併用療法も紹介している。代表的な処方として、脾気虚弱(黄耆、党参、白朮、当帰、陳皮、柴胡、甘草、升麻、山薬)、肝腎陰虚(白芍、阿膠、亀板、生地黄、牡蛎、麦門冬、鼈甲、全蝎、蜈蚣、女貞子、菟絲子、牛膝)、脾腎陽虚(人参、附子、肉桂、熟地黄、山薬、杜仲、山茱萸、白朮、乾姜、巴戟天、菟絲子、鹿角霜)、痰熱瘀結(胆南星、黄芩、竹茹、枳実、川芎、牡丹皮、鬱金、丹参、地竜、全蝎、䗪虫)、寒湿内侵(黄耆、丹参、白芍、川芎、当帰、鶏血藤、羌活、独活、桂枝、防已、杜仲、牛膝、豨薟草、海桐皮)、湿熱内蘊(佩蘭、石菖蒲、茵陳、白蔻仁、薏苡仁、滑石、連翹、黄芩)、寒痰瘀結(蒼朮、陳皮、白芥子、貝母、半夏、枳実、桂枝、附子、牛膝、川芎、丹参、胆南星、乳香、没薬)、気虚血瘀(黄耆、白朮、当帰、川芎、赤芍、桃仁、紅花、地竜、石菖蒲、天麻、桂枝)、腎虚血瘀(附子、肉桂、熟地黄、白芍、枸杞子、菟絲子、蟻、紅花、当帰、黄耆、桃仁、烏梢蛇)、肝脾両虚(熟地黄、山薬、牡丹皮、山茱萸、茯苓、枸杞子、菊花、党参、黄耆、白朮、当帰、柴胡、桑白皮、鶏血藤、陳皮)、肝腎虧虚(馬銭子、紫河車、黄柏、知母、陳皮、白芍、鎖陽、虎骨、乾姜)、肺熱津傷(麦門冬、五味子、沙参、石斛、党参、枸杞子、白芍、陳皮、黄耆、当帰、釣藤、伸筋草、仏手、僵蚕、石菖蒲)、**肺虚血瘀(人参、黄耆、当帰、桃仁、赤芍、熟地黄、穿山甲、川芎、三七粉、馬銭子、胎盤)**が挙げられている。(2002, 陆小青)
運動ニューロン病(MND)の中医薬治療に関する研究を総括し、今後の研究課題を考察した総説である。MNDは中医学では痿証に属し、脾・肝・腎三臓の機能失調を基本病機とする。既報では脾胃虚衰、肝腎虧虚、邪傷肺金の3証型が代表的で、馬銭子・紫河車を主薬とした治療、補陽還五湯による益気活血、補中益気湯・杞菊地黄丸・健歩丸・金剛丸などの証別治療に加え、針灸・埋線療法や中西医結合療法が良好な成績を示している。また、著者は今後の課題として、①MNDの中医証候分布の解明、②病証結合理論の確立、③中医証候の標準化、④方剤の作用機序の解明、⑤病証結合動物モデルの開発を提唱し、基礎研究と臨床研究を統合する必要性を強調している。代表的な方剤として、補中益気湯(黄耆、人参、白朮、炙甘草、当帰、陳皮、升麻、柴胡)、補陽還五湯(黄耆、当帰尾、赤芍、川芎、桃仁、紅花、地竜)、杞菊地黄丸(熟地黄、山茱萸、山薬、沢瀉、牡丹皮、茯苓、枸杞子、菊花)、健歩丸(熟地黄、鹿角膠、亀板膠、牛膝、鎖陽、菟絲子など)、**金剛丸(萆薢、杜仲、蓯蓉、菟絲子)**が紹介されている。(2001)
運動ニューロン病(MND)の中医治療における基本的な考え方を論じた総説である。著者は、MNDは痿証に属し、病勢は緩徐で長期に及ぶため、「緩図調治(焦らず長期的に治療する)」を基本方針とすべきと述べる。治療では脾胃の保護を最重要とし、脾胃機能を損なう過度の補益や滋膩薬を避け、温而不燥・補而不滞を原則として健脾益気を基盤に補腎を行うことを推奨している。また、長期療養に伴う抑うつ・情志不舒は肝気鬱結を招き、肺・脾胃・肝腎へ波及して症状を悪化させるため、調肝疏肝を重視すべきとする。さらに、「天人相応」の観点から、四時に応じた生活、寒冷刺激の回避、適度な運動と休養、精神安定、肺感染予防などの養生が病勢の進行抑制に重要であると述べている。本論文には具体的な方剤・構成生薬の記載はない。(2000, 陈金亮)
陳亦人教授の痿証治療経験をまとめた総説である。陳教授は、痿証は本虚標実であり、病機の変化に応じて振痿起痿・活血化瘀・通経透絡・化痰除湿・調補陰陽を組み合わせることを重視した。まず病初は湿熱・痰濁・瘀血などの邪実を除き、その後に扶正へ移行し、虚実・寒熱を慎重に判断して治療すべきとする。活血化瘀では軽症に桃仁・莪朮、重症・難治例には水蛭・地蟄虫を用い、通経透絡には蜈蚣・全蝎・木瓜・葛根などを多用する。さらに、化痰除湿では痰湿・湿熱・瘀血による経脈閉塞を重視し、蒼朮・黄柏・茯苓・瓜子金などを用いて脾胃機能を回復させることを強調している。また、陽気不足を重視し、「陽気一虚すれば肌肉を養えず痿証となる」として、黄耆を中心に仙霊脾(淫羊藿)・桂枝・鹿角膠などで温陽益気・補腎を図る治法を提唱した。症例では、ALS患者に仙霊脾、鹿角膠、黄耆、枸杞子、冬蟲夏草、木瓜、葛根、茯苓、白朮、炙甘草などを基本とし、湿熱が強い時期には黄柏・薏苡仁・瓜子金を加え、また別症例では生黄耆、仙霊脾、鹿角膠、熟地黄、全当帰、杭白芍、地鼈虫、桑寄生、木防己、瓜子金、葛根、忍冬藤、炙甘草を用いて改善を得ている。(1997, 张喜奎)
王健教授の運動ニューロン病(MND)治療経験をまとめた修士論文である。王教授は、MNDを痿証に属するとし、「五臓虚損・精津不足・気血虧虚」を本病の本態とするが、その中心病機は脾胃虚損であると考える。治療では**「治痿独取陽明」の思想を重視し、補脾胃を根本として心・肺・肝・腎を調補し、針灸を併用することを特徴とする。臨床では脾胃虧損、脾肺虚損、心脾両虚、脾腎陽虚、肝腎陰虚の5証に分類し、それぞれに応じた治療を行う。特徴として、四君子湯(人参、白朮、茯苓、炙甘草)を基礎とし、黄耆を多用しながら、巴戟天・黄精で「補後天以養先天」を図り、さらに熟地黄・当帰・白芍・川芎で補血養陰し、少量の行気・活血薬を配合して「補而不滞(補うが滞らせない)」**ことを重視している。代表処方は、脾胃虧損(黄耆、人参、白朮、茯苓、当帰、熟地黄、川芎、芍薬、巴戟天、黄精、炙甘草)、脾肺虚損(人参、白朮、茯苓、山薬、砂仁、桔梗、蓮子肉、薏苡仁、炙甘草)、心脾両虚(人参、茯苓、白朮、黄耆、当帰、竜眼肉、炒酸棗仁、麦門冬、五味子、木香、遠志、炙甘草)、脾腎陽虚(人参、黄耆、肉桂、熟地黄、山薬、山茱萸、菟絲子、枸杞子、鹿角膠、杜仲、制附子、当帰、白朮、茯苓、炙甘草)、**肝腎陰虚(牛膝、当帰、黄柏、亀板、知母、熟地黄、白朮、茯苓、黄精、陳皮、芍薬、鎖陽、乾姜)**である。(秦悦)
董征教授の運動ニューロン病(MND)治療経験を、文献研究と病案解析からまとめた修士論文である。董教授は、MNDを中医学の痿証に属するとし、四綱弁証と臓腑弁証を組み合わせることを最大の特徴としている。病機は本虚標実であり、脾腎不足を本、痰・瘀・熱・風を標と捉え、病期・病勢に応じて扶正と祛邪を使い分ける。治療では健脾益気・補腎填精を根本としつつ、化痰・活血・清熱・熄風・通絡を組み合わせ、「補而不滞、攻而不傷正」を重視する。また、病案解析では黄耆・党参・白朮・茯苓・当帰・熟地黄・山薬・枸杞子・杜仲・牛膝・白芍・甘草などの補益薬を中心に、半夏・陳皮・竹茹などの化痰薬、丹参・川芎・鶏血藤などの活血薬を随証加減している。さらに、董教授は単一処方に固執せず、症状の変化ごとに細かく加減することが長期予後の改善につながると述べている。(车筱媛)

