健忘の中医治療
ワクチン後遺症、新型コロナ後遺症では、ブレインフォグを起こすことが知られています。(ブレインフォグのメカニズム)
後遺症によるブレインフォグは、中医学では健忘と呼ばれます。
後遺症による健忘は、証候は「痰濁内阻」と「痰瘀痺阻」で、症状としては「物事をよく忘れ、言葉は緩慢で、考えは俊敏性を欠き、表情の呆鈍」が見られます。痰と瘀が互結すると舌に瘀点が見られます。
証候 | 舌診など | 治法 | 方剤 |
心脾両虚 | 納呆、気短、声が低い、顔に艶がない、乏力、精神疲労 | 帰脾湯化裁 | |
心腎不交 | 腰酸腿軟、頭暈耳鳴、手足心熱、心煩(しんぱん、モヤモヤ)、不眠 | 心腎両交湯化裁 | |
年老神衰 | 精神恍惚、気短、乏力、腰酸腿軟、納呆 | 人参養栄湯化裁 | |
痰濁内阻 | 舌苔白膩(苔が油のようにねっとり) | 滌痰化瘀 | 導痰湯 |
痰瘀痺阻、心血不足 | 瘀点、瘀班 | 滌痰化瘀 | 寿星丸 |
帰脾湯:酸棗仁3、茯苓3、人参3、黄耆3、当帰2、竜眼肉3、白朮3、大棗2、遠志、木香、甘草、生姜
心腎両交湯:熟地黄、山茱萸、人参、当帰、麦門冬、酸棗仁、白芥子、肉桂、黄連
人参養栄湯:人参、甘草、当帰、白芍、熟地黄、肉桂、大棗、黄耆、白朮、茯苓、五味子、遠志、橘皮(きっぴ、陳皮)、生姜
導痰湯:半夏7、天南星5、枳実5、茯苓7、橘紅5(きっこう、行気、化痰)、甘草3、生姜3
寿星丸:姜遠志、人参、黄耆、白朮、当帰、生地黄、白芍、陳皮、胆南星、桂皮、琥珀(安神、化瘀)、朱砂(安神)、五味子、茯苓、甘草
ナルコレプシー(多眠)を起こす「痰濁痺阻」では、精神が疲れ衰え、終日眠く、胸脘悶張、肥満が特徴です。
「痰濁痺阻」の治法は化痰醒神、方剤は温胆湯です。
半夏6、竹筎6、枳実6、陳皮9、茯苓4.5、甘草3、生姜3