多汗症の中医論文
まとめ:特に使用頻度が高いのは、黄耆、白朮、茯苓、党参(または人参)、甘草、浮小麦、牡蛎、五味子、麻黄根、煅竜骨などでした。まとめると、多汗症の中医治療は「汗を止める」こと自体を目的とするのではなく、脾胃を立て直して気血を充実させ、肺・心・腎を含めた五臓の機能を調整することで、腠理の開閉を正常化し発汗を改善することを重視する、という点が共通した結論でした。
牛鳳雲教授は、汗証の基本病機を気虚による衛外不固と営陰不守と捉え、補気固表と斂汗止汗を治療の基本とする。頻用生薬は黄耆、浮小麦、牡蛎、竜骨、白朮、防風、麻黄根で、黄耆+浮小麦、牡蛎+竜骨、白朮+防風を中心に、陰虚内熱には銀柴胡、地骨皮、牡丹皮、生地黄を加え、補気・固表・清熱・斂汗を組み合わせて標本同治を行う。特に、黄耆+浮小麦と牡蛎+竜骨は最も重要な組み合わせであり、気虚・衛外不固による自汗から陰虚内熱による盗汗まで幅広く対応できる配伍となっている。(2025, 孙家庆)
張福利教授は、原発性多汗症の基本病機を営衛不和、陰陽失調、腠理不固と捉え、中焦(脾胃)を枢軸として臓腑を調和し、営衛・陰陽を整えることを治療の基本とする。病態は気虚・陰虚を主体とする虚証が多いが、湿熱・肝火・痰湿・瘀血などの実証を兼ねることも多く、慢性化すると虚実夾雑・陰陽錯雑となる。頻用生薬は白朮、桑寄生、茯神、生姜、麦門冬、生地黄、半夏、甘草で、補虚・清熱・解表・利湿を組み合わせた標本同治を重視している。(王儒怀)
本研究では、盗汗の最多証は陰虚火旺証で、次いで気陰両虚証、営衛不和証、脾腎陽虚証などが多かった。頻用生薬は牡蛎、黄耆、甘草、当帰、浮小麦で、補益薬を中心に、清熱・収斂・解表・安神薬を組み合わせる傾向がみられた。処方は当帰六黄湯(当帰、熟地黄、生地黄、黄芩、黄柏、黄連、黄耆)を基本として加減するものが最も多く、竜骨・牡蛎による斂汗止汗を重視していた。データ解析からは、盗汗は陰虚火旺、営衛不和、陽気虚、湿熱、瘀血、脾肺気虚、肝気鬱結の7つの主要病機に分類され、それぞれに応じた弁証論治が行われていた。(劳咏琳)
多汗症は五臓機能の失調に加え、脾胃失調が中心病機であると考え、「調五臓・安脾胃(五臓を調え、脾胃を安んずる)」を基本治療としている。自家処方「安脾胃経験方」(石菖蒲12g、鬱金9g、百合12g、烏薬9g、麩炒枳実12g、陳皮9g、当帰9g、白芍12g、炙甘草6g)で健脾和胃・止汗を図り、心・肺・腎・肝の失調に応じて弁証加減を行う。すなわち、心は養心清熱、肺は益気清肺、腎は補腎滋陰、肝は清肝斂汗を基本とし、五臓の調和と陰陽平衡により腠理を固め、発汗を改善することを治療目標としている。本方は健脾和胃・理気解鬱・養血斂陰・止汗を目的とした基礎方である。石菖蒲・鬱金・百合・烏薬が醒脾和胃・行気解鬱、枳実・陳皮が健脾理気・燥湿、当帰・白芍が養血斂陰止汗、炙甘草が補脾益気・調和諸薬を担い、脾胃を調えて気血・陰陽を整え、止汗へ導くことを基本としている。(2023, 张乃霖)
陸鴻元教授は、多汗症の病機を衛弱表疏不固と気陰両虚兼内熱の2型に大別し、「益気固表・調和営衛」を基本に、「養陰清熱」を組み合わせることを治療原則としている。頻用生薬は黄耆、炙甘草、牡蛎、茯苓、蒼朮、防風、桂枝、猪苓、沢瀉、太子参、竜骨で、核心処方は桂甘竜骨牡蛎湯(桂枝、甘草、竜骨、牡蛎)・玉屏風散(黄耆、白朮、防風)・五苓散(沢瀉、猪苓、茯苓、白朮、桂枝)を基礎とした構成である。補気固表、調和営衛、養陰清熱に加え、利湿・化痰・活血を随証で組み合わせ、陰陽・気血・津液の調和を重視している。(2022, 孟凯)
