甲状腺疾患とヨウ素

まとめ:甲状腺疾患(バセドウ病、橋本病)であってもヨウ素の過剰摂取がなければ、ヨウ素の摂取制限は不要です。

甲状腺機能亢進症(バセドウ病)ではヨウ素の過剰摂取によって、甲状腺機能が低下すること(Wolff-Chaikoff効果)がありますが、一時的な現象です。(エスケープ現象)また、ヨウ素欠乏地域ではヨウ素の摂取によって、甲状腺機能が亢進することがありますが、日本はヨウ素欠乏地域ではありませんので、心配は要りません。

甲状腺機能低下症(橋本病)では、ヨウ素の過剰摂取によって、さらに甲状腺機能が下がる可能性(Wolff-Chaikoff効果)がありますが、これも一時的な現象です。(エスケープ現象)

いずれにしても、ヨウ素の過剰摂取(根昆布療法やイソジンの過剰使用など)がなければ、問題ありません。(ヨード摂取と甲状腺)

動物実験では、1日で甲状腺機能は低下して(Wolff-Chaikoff効果)、6日でこの効果から脱出すること(エスケープ現象)が報告されています。(1999, Eng)

バセドウ病の抗甲状腺薬治療中の最適な食事性ヨウ素補給は、ヨウ素制限よりも再発率は低いことから、厳格なヨウ素制限による食事管理は、バセドウ病の治療に悪影響を与える可能性が指摘されています。(2018, Huang)