新型コロナとリン

まとめ:新型コロナでは低リン血症が見られます。血清リンの高値は、心血管リスクや死亡リスクと関係することから、カルシウムと同様に低リン血症は宿主保護的な役割を担うのではないかと考えます。リンの多い乳製品と食品添加物系の食品の摂取には注意が必要です。

低カルシウム血症および低リン血症は、中等度の COVID-19 患者よりも重症または重篤な COVID-19 患者でより一般的です。カルシウムとリンをリンパ球数と組み合わせると、重度の COVID-19 患者に対して転帰リスクを知ることができます。(2021, Yang)

米国で新型コロナ感染症で入院した11,635 人の中で、低リン血症が21.1%、高リン血症が16.4%で認められました。高リン血症は主に腎障害を持つ患者群でで見られました。(2021, Malieckal)

中国で新型コロナ感染症で入院した患者で、低リン血症とリンパ球数が重症度の指標になることが指摘されています。(2020, Xue)

スペインで2736人の新型コロナ感染症の入院患者で、低リン血症が12.1%に見られましたが、患者の転帰との関連はありませんでした。(2023, Diez)

新型コロナ感染症で血清リン濃度が低下していましたが、対照群と有意差はありませんでした。低リン血症になるメカニズムとしては、腸管でのリンの吸収低下、腎臓でのリンの排泄の増加、細胞外から細胞内へのリンの移動(trans-cellular shift)の3つが考えられます。(2021, Hussein)