妊娠と生薬

■妊婦に禁忌とされている生薬は、主に峻下(しゅんげ)逐水薬、強力な活血化瘀薬、強力な散寒薬、強力な温化寒痰薬です。

巴豆(はず)瀉下剤峻下(しゅんげ)逐水薬激しい下痢を起こす。毒性が強い。
牽牛子(けんごし)瀉下剤峻下(しゅんげ)逐水薬激しい下痢を起こす。
大戟(だいげき)瀉下剤峻下(しゅんげ)逐水薬激しい下痢を起こす。毒性が強い。
甘遂(かんつい)瀉下剤峻下(しゅんげ)逐水薬激しい下痢を起こす。毒性が強い。
芫花(げんか)瀉下剤峻下(しゅんげ)逐水薬激しい下痢を起こす。
続随子(ぞくずいし)瀉下剤峻下(しゅんげ)逐水薬激しい下痢を起こす。弱い毒性あり。
商陸(しょうりく)瀉下剤峻下(しゅんげ)逐水薬激しい下痢を起こす。毒性が強い。
枳実(きじつ)行気薬激しい下痢を起こす可能性があるため。
斑蝥(はんみょう)外用薬頑癬に使う毒性が強い。煎剤(せんざい)に入れない。
莪朮(がじゅつ)理血薬活血化瘀
午膝(ごしつ)理血薬活血化瘀
水蛭理血薬活血化瘀
三棱(さんりょう)理血薬活血化瘀
蘇木(そぼく)理血薬活血化瘀
王不留行(おうふるぎょう)理血薬活血化瘀
月季花(がじゅつ)理血薬活血化瘀
桃仁(とうにん)理血薬活血化瘀
紅花(こうか)理血薬活血化瘀
五霊脂理血薬活血化瘀
凌霄花(りょうしょうか)理血薬活血化瘀
乳香(にゅうこう)理血薬活血化瘀
没薬(もつやく)理血薬活血化瘀
穿山甲(せんざんこう)理血薬活血化瘀
䗪虫(しゃちゅう)理血薬活血化瘀ゴキブリ
虻虫(ぼうちゅう)理血薬活血化瘀アブ。激しい下痢を起こすことがある。
虎杖(こじょう)祛風湿薬祛風湿、活血化瘀
附子散寒薬陰虚内熱にも禁忌。
肉桂散寒薬陰虚内熱には慎重投与。
乾姜散寒薬陰虚内熱にも禁忌。
硝石(しょうせき)散寒薬陰虚内熱にも禁忌。
天南星(てんなんしょう)温化寒痰薬燥烈有傷で傷陰堕胎しやすいため。
白附子(びゃくぶし)温化寒痰薬
皀角(そうかく)温化寒痰薬
皀角刺(そうかくし)温化寒痰薬
滑石(かっせき)利水滲湿薬破血に働くため。
通草(つうそう)利水滲湿薬
木通(もくつう)利水滲湿薬
車前子(しゃぜんし)利水滲湿薬
瞿麦(くばく)利水滲湿薬

瀉下剤の峻下(しゅんげ)逐水薬の中で烏桕根皮(うきゅうこんぴ)だけが、下痢を起こさせる作用が緩やかで妊婦にも使用可能です。

■妊婦に慎重投与の生薬は、瀉下薬(大黄)、活血化瘀薬、散寒薬、温化寒痰薬(半夏)、利水滲湿薬です。

活血化瘀薬は、活血通経の効能を持ち、堕胎催胎(流産、早産の誘発)に働くため、慎重投与または禁忌です。

散寒薬と温化寒痰薬は、燥烈有傷で傷陰堕胎しやすいため、慎重投与または禁忌です。

傷陰:陰液を傷つけること。