中医の化痰薬の使い分け

化痰薬は、咳嗽、肺化膿症、腫塊、易驚、痺証、麻木、痿証に使います。

寒痰薬半夏
天南星祛風解痙風痰による顔面神経麻痺、四肢の麻木、半身不随
◯白附子大温平肝熄風、半身不随、発語障害
※白芥子消腫リンパ節腫、肢体関節疼痛に使う
行気薬陳皮燥湿化痰痰湿壅肺の咳嗽に使う
安神薬遠志散鬱化痰寒痰の咳嗽に使う
熱痰薬貝母微寒
竹筎微寒定驚、開鬱胆虚の易驚、不安、鬱
冬瓜子排膿肺化膿症に使う
栝楼仁消腫通便肺化膿症に使う
△栝楼実通便
◎青蒙石鎮驚痰積による癲(てん)狂
◎天竺黄定驚小児の痰熱の意識障害、心経に作用
△胆南星定驚痰熱の意識障害、肺・脾・肝に作用
△海蛤殻消腫甲状腺腫、リンパ節腫に使う
△海藻消痰散結、利水消腫甲状腺腫、リンパ節腫、水腫に使う
△昆布消痰散結、利水消腫甲状腺腫、リンパ節腫、水腫に使う
△白僵蚕平肝熄風消腫リンパ節腫に使う
枳実微寒行気胸脇の痰飲に使う
天門冬大寒滋陰化痰肺熱傷陰の咳嗽に使う
安神薬◎△牡蠣微寒鎮驚散結リンパ節腫に使う
◎琥珀鎮驚
◎紫石英鎮驚
痺証羌活辛温解表祛風湿風寒による関節痛、筋肉痛
※萆薢利水滲湿祛濁痺証の疼痛
蒼朮祛風湿除湿痺証の関節痛
◯威霊仙祛風湿消痰痺証の関節痛、半身不随
木瓜(もっか)祛風湿痺証の関節痛、下肢の無力
※秦艽(じんぎょう)祛風湿除湿、退虚熱痺証の関節痛
◯蚕砂(さんしゃ)祛風湿化濁痺証の関節痛、半身不随
その他牛膝活血化瘀舒筋利痺下肢の関節痛・麻木
鶏血藤活血化瘀舒筋通絡運動麻痺
□天麻平肝熄風通絡止痛痺証の関節痛、肢体無力、麻木
□白僵蚕平肝熄風化痰顔面神経麻痺
□全蠍平肝熄風通絡顔面神経麻痺、風湿痺の関節痛
達原飲草果大温散寒除痰瘧疾(ぎゃくしつ)に使う
乾姜散寒化痰・化飲肺の寒飲による咳嗽・痰に使う
厚朴行気化痰痰湿壅肺の咳嗽に使う
檳榔子行気行痰下水、通便気を下降させ痰を行かせて水を消す

瘧疾(ぎゃくしつ):往来寒熱(寒気と熱感が交互)の反復発作を特徴とする、現代医学のマラリアなどに相当する病気です。邪気が半表半裏に潜伏して、邪正が争う中で発症する疾患です。

痿証の湿熱侵淫に加味二妙散※(防已、萆薢、蒼朮黄柏、午膝、秦艽)を使います。