知的障害の中医論文
まとめ:知的障害の中医治療では、先天不足・肝腎虧虚・腎精不足による髄海失充、脳竅失養を主要病機として、補腎益精・益髄健脳・開竅益智を中心に治療する。亀鹿聡脳顆粒(亀板膠、鹿角膠、熟地黄、炒山薬、山茱萸、牡丹皮、沢瀉、茯神、枸杞子、黄精、遠志、石菖蒲)では、亀板膠・鹿角膠を中心に陰陽を補い益精填髄し、石菖蒲・遠志で開竅醒神・益智を図る。また益気聡明湯加減では黄耆・紅参による益気健脾、熟地黄・鹿茸による補腎益精・強筋骨などを組み合わせ、知的発達、言語、社会適応、日常生活能力などの改善が報告されている。さらに興奮・不眠・便通異常などに応じた随証加減も行われており、補腎益髄を軸に、益気健脾・開竅益智を組み合わせることが中薬治療の中心と考えられる。
暫定的知的発達障害(PIDD)の肝腎不足証の小児60例を対象に、通督啓語鍼刺法+亀鹿聡脳顆粒+言語・知的リハビリを3か月施行した。亀鹿聡脳顆粒は左帰丸を基礎として加減した院内製剤で、亀板膠・鹿角膠を中心に滋陰補腎・益精填髄し、石菖蒲・遠志などで開竅醒神・益智を図る。治療群では対照群と比較して中医症候、言語機能、適応能力、微細運動、言語能力、総発達指数(DQ)が有意に改善し、言語機能の総有効率は89.66%(対照群72.41%)、中医症候の総有効率は93.10%(対照群75.86%)であった。通督啓語鍼刺法と補腎益精・醒神益智薬の併用がPIDD児の知的発達および言語機能改善に有用である可能性が示された(2025, 趙亮)。
肝腎不足型知的発達障害の小児100例を、治療群50例と対照群50例に無作為に分け、治療群には鍼治療+亀鹿聡脳顆粒(亀板膠、鹿角膠、熟地黄、炒山薬、山茱萸、牡丹皮、沢瀉、茯神、枸杞子、黄精、遠志、石菖蒲)+リハビリを3か月施行し、対照群にはリハビリのみを行った。治療群では適応能力、言語、個人・社会性、粗大運動、微細運動のGesell発達指数および社会生活能力が対照群より有意に改善し、総有効率は92%(対照群74%)であった。病機を先天不足、肝腎虧虚、髄海失充、脳竅失養と捉え、亀板膠・鹿角膠を君薬として益精填髄し、さらに症状に応じて、興奮・衝動には竜骨・梔子・黄連・白芍、不眠には蓮子心・竜骨・酸棗仁、便秘には大黄・火麻仁、下痢には炒山薬・薏苡仁・白扁豆、易感染には玉屏風散を加える分期論治を行った(2024, 張寧勃)。
知的障害児158例(3~6歳、IQ 50~69)を79例ずつに分け、対照群には鍼治療、観察群には鍼治療+益気聡明湯(黄耆20g、紅参15g、三七15g、〔PDF解析上1生薬名欠落〕15g、熟地黄12g、陳皮12g、葛根12g、白芍12g、升麻9g、炙甘草6g、鹿茸3g)を12週間施行した。観察群では総有効率94.94%(対照群84.81%)で、知的発達、日常生活能力、上下肢運動機能が対照群より有意に改善した。またDA、NE、5-HTが上昇し、NSEが低下した。中医学的には先天不足・後天失養による腎精不足、脳髄失養を基本病機とし、益気升陽・健脾補腎・益髄開竅を治法としている。特に鹿茸を補気血・益精髄・強筋骨の目的で配合している(2024, 李剛)。

