ルポ 食が壊れる

ゲップと共に温室効果ガスを排出し、生産に穀物と水を大量に消費する畜産牛は、国連が警告し、環境活動家の間でも長年激しい批判の的であった。

国際連合食糧農業機関が2006年11月に発表した「畜産業の環境負荷報告書」には、畜産がローカル及び世界的レベルの両方における、環境破壊の最大の原因であり、温室効果ガスの18%(その後14・5%に修正)を排出していると指摘されている。

2020年6月年に一回開かれる世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)では、世界中から招待された、億万長者と有力者たちが、今後世界を引っ張ってゆく方向性と戦略が決められた。

その結果として、感染症の脅威を高める、不衛生で、危険で、大量の温室効果ガスを出し、土壌を劣化させ、水を枯渇させ、人間をウィルスとの危険な接触に晒す農業や畜産は、できるだけ早く、最新テクノロジーに置きかえることが決められた。

オランダ政府が家畜の30%処分を提案し、同国のハーレム市が、世界で初めて肉の広告を全面禁止したのも、家畜由来の温室効果ガス14・5%のうち、牛の排出量が最も多いという理由からだ。北アイルランドでは「気候変動対策法」が議会を通過。羊や鶏と共に50万頭の牛を減らす方針が決定した。ニュージーランド政府が発表したのは、牛のゲップや尿によって温室効果ガスを排出した農家に直接課税する計画だ。このように、環境を破壊する犯人として牛を排除する空気は、近年急激に高まっている。

日本でも菅義偉元総理・岸田文雄総理共にグレートリセットへの協力を宣言しており、農水省がロボットやAIなどのテクノロジーとバイオ技術を軸にした「みどりの食料システム戦略」を打ち出している。

本当の原因は、そもそも何十万頭もの牛を閉じ込めて、穀物やトウモロコシで飼う「管理型畜産業」であり、草を食べ運動も可能な放牧牛で畜産業を行えば、土壌を改善し、炭素を地中に閉じ込める機能を取り戻させ、温室効果ガスを減らしてくれます。

健康な土の上で育った牛は、感染症にも強くなります。多様な微生物が生きている土の上では、動物の免疫は強くなるからです。