アトピー性皮膚炎の最新中医論文
まとめ:病機の中心は「脾虚」であり、脾虚により湿が生じ、湿熱・風邪・血虚風燥が加わって病態が形成されるという考えが最も多く支持されていた。特に「脾虚は全経過を通じて存在する根本病機」とする報告が多く、肺・脾・腎を補いながら健脾を治療の軸とすることが共通している。一方で急性期は清熱・除湿・祛風、慢性期は健脾・養血・潤燥・補腎へ移行する治療戦略が主流であった。頻用方剤は当帰飲子(当帰、白芍、川芎、生地黄、何首烏、黄耆、荊芥、防風、白蒺藜、甘草)、消風散(荊芥、防風、牛蒡子、蟬退、知母、苦参、胡麻、蒼朮、木通、石膏、生地黄、当帰、甘草)、参苓白朮散(人参、白朮、茯苓、山薬、白扁豆、蓮子、薏苡仁、砂仁、桔梗、甘草)、玉屏風散(黄耆、白朮、防風)、**除湿胃苓湯(平胃散〔蒼朮、厚朴、陳皮、甘草〕+五苓散〔沢瀉、猪苓、茯苓、白朮、桂枝〕)**であり、黄耆、白朮、茯苓、薏苡仁、当帰、生地黄、白鮮皮、防風、荊芥、苦参、地膚子、黄芩、金銀花、連翹、土茯苓などが最も頻用されていた。
過去10年間に報告された中医薬による特応性皮膚炎(AD)治療25報を解析し、96味の生薬を抽出した。ADは脾虚を本、風・湿・熱邪を標とし、慢性化すると陰血を損傷して血虚風燥に至ると考えられ、治療は理気健脾・滋陰潤膚・清熱利湿を基本とする。急性期は清熱除湿・祛風、亜急性期は健脾除湿、慢性期は養血潤燥を主体とし、必要に応じて清心火・補腎・疏肝理気・潤肺・安神を組み合わせる。高頻度生薬は茯苓、白朮、生地黄、当帰、甘草、白鮮皮、防風、地膚子、連翹、丹参、陳皮、牡丹皮、刺蒺藜、黄耆、蒼朮、鶏血藤、白芍、党参、僵蚕で、薬性は寒性・温性が多く、薬味は甘・苦・辛を主体とし、帰経は肝・肺・胃・脾経に集中していた。代表方剤は参苓白朮散(人参、白朮、茯苓、山薬、白扁豆、蓮子、薏苡仁、砂仁、桔梗、甘草)、健脾祛風湯(※本論文では構成生薬の記載なし)、当帰飲子(当帰、白芍、川芎、生地黄、何首烏、黄耆、荊芥、防風、白蒺藜、甘草)であった。さらにデータマイニングでは、蒼朮、茯苓、甘草、僵蚕(健脾祛湿・息風止痒)、連翹、陳皮(清熱解毒・理気健脾)、党参、防風、牡丹皮、鶏血藤、当帰、刺蒺藜、白芍、白朮、地膚子、白鮮皮、黄耆、生地黄、丹参、連翹、陳皮(補気健脾・養血和営・祛風止痒)の配伍が核心組み合わせとして抽出され、AD治療では健脾扶正を基盤とし、清熱・祛湿・祛風止痒を組み合わせる治療戦略が重要であると結論された。(2026, 鄭玉婷)
小児は**「肺・脾・腎常不足」という生理的特徴を有し、肺脾腎三臓の陽虚を特応性皮膚炎(AD)の根本病機と位置づけている。肺脾腎の不足により気血生化が乏しく肌膚が失養し、水液代謝障害から三焦に水飲が停滞して肌表へ溢れ、さらに衛気不足により風寒外邪が侵襲して発症すると考える。したがって病機は「肺脾腎陽虚(本)+水飲内停・風寒外襲(標)」であり、治療は急則治標、緩則治本を原則として、急性期には益気解表・温陽化飲・祛風止痒**、慢性期には補肺健脾益腎・潤燥祛風止痒を基本とする。 論文で推奨される代表方剤は、玉屏風散(黄耆、白朮、防風)、四君子湯(人参、白朮、茯苓、甘草)、参苓白朮散(人参、白朮、茯苓、山薬、白扁豆、蓮子、薏苡仁、砂仁、桔梗、甘草)、六味地黄丸(熟地黄、山茱萸、山薬、沢瀉、牡丹皮、茯苓)、金匱腎気丸(熟地黄、山茱萸、山薬、沢瀉、牡丹皮、茯苓、桂枝、附子)である。温陽化飲には苓桂朮甘湯(茯苓、桂枝、白朮、甘草)を重視し、急性の表証には越婢加朮湯(麻黄、石膏、生姜、大棗、甘草、白朮)を用い、肺脾気虚には防己黄耆湯(防己、黄耆、白朮、甘草、生姜、大棗)に附子・桂枝を加え、脾腎陽虚には麻黄附子湯(麻黄、附子、甘草)に黄耆・白朮を加え、陽虚が著明な場合は麻黄を去り肉桂・鹿角膠を加えて扶正する。また止痒には防風、荊芥、当帰、地膚子、紫荊皮、蒺藜、北沙参、麦冬などを症状に応じて配伍することを推奨している。症例では、防己黄耆湯を基礎に防己、黄耆、甘草、炒白朮、茯苓、陳皮、山薬、大棗、細辛、辛夷、桂枝、地膚子を投与し、外感症状の改善後は黄耆、甘草、炒白朮、茯苓、陳皮、山薬、大棗、桂枝、地膚子、防風、紫荊皮、山茱萸へ変更、最終的に桂枝・地膚子を去り、北沙参、炒麦芽を加えて補肺・健脾・益腎を中心とした治療へ移行し、3か月間再発を認めなかった。(2026, 劉俊豪)
多モーダルAI(皮膚画像、皮膚鏡画像、電子カルテ、患者報告アウトカム(PRO)、経皮水分蒸散量(TEWL)、皮脂量、腸内細菌叢、トランスクリプトーム、舌象、脈象など)を統合解析する中医学では皮疹画像、舌象、脈象、問診情報を統合して「風・湿・熱・燥」「湿熱内蘊」「脾虚湿蘊」「血虚風燥」などの証候を標準化して判定する。さらにAIは証候に応じて消風散(荊芥、防風、牛蒡子、蟬退、知母、苦参、胡麻、蒼朮、木通、石膏、生地黄、当帰、甘草)、当帰飲子(当帰、白芍、川芎、生地黄、何首烏、黄耆、荊芥、防風、白蒺藜、甘草)、**竜胆瀉肝湯(竜胆草、黄芩、梔子、沢瀉、木通、車前子、生地黄、当帰、柴胡、甘草)**などの代表方剤を推奨し、症状や体質に応じた加減、針灸、外治法まで含めた個別化治療を提案できる可能性を示している。一方で、中医弁証の標準化不足、多施設データの不足、AIの説明可能性や汎化性能などが今後の課題とされ、中西医統合型AI診療システムの構築が今後の方向性として期待されると結論している。(2026, 胡炜圣)
特応性皮膚炎(AD)は中医学で**「四弯風」「浸淫瘡」「奶癬」に相当し、先天禀賦不足、胎毒遺熱、外感風邪、飲食失調による脾虚、心火亢盛を主な病因とする。現代医学では遺伝素因、Th1/Th2/Th17/Treg免疫異常、皮膚バリア障害、皮膚常在菌叢異常、環境因子**が発症に関与する。中医治療は、慢性期脾虚湿蘊証には玉屏風散(防風、黄耆、白朮)、固本化湿方(防風、莪朮、金銀花、生地黄、槐花、白朮、薏苡仁、蒼朮)、参苓白朮顆粒(人参、山薬、甘草、白朮、白扁豆、蓮子、薏苡仁、砂仁、桔梗)、急性期湿熱浸淫証には消風止痒顆粒(防風、蟬蛻、蒼朮、地黄、地骨皮、当帰、荊芥、亜麻子、石膏、甘草、木通)、潤燥止痒膠嚢(何首烏、制何首烏、生地黄、桑葉、苦参、紅活麻)、清熱祛湿方(蒲公英、白花蛇舌草、蒼耳草、苦参)、慢性期脾虚血燥証には健脾潤膚湯(党参、丹参、蒼朮、白朮、生地黄、当帰、陳皮、茯苓、赤芍、白芍、鶏血藤)、地黄飲(生地黄、熟地黄、玄参、当帰、蒺藜、牡丹皮、紅花、僵蚕、制何首烏、甘草)、当帰飲子(当帰、白芍、川芎、生地黄、白蒺藜、防風、荊芥穂、何首烏、黄耆、甘草)を用いる。これらの方剤はTh1/Th2/Th17免疫バランスの調節、JAK/STAT、TLR4/MyD88/NF-κB、IL-33/ST2、YAP/NF-κB、IL-17/TNF経路の抑制、皮膚バリア修復(FLG、LOR、IVL、OCLN発現増加)、炎症性サイトカイン・IgE低下、皮膚微生物叢の改善など、多成分・多標的作用を介してADを改善することが示された。今後は、オミクス解析やAIを活用し、中医証候と分子病態を統合した精密医療への発展が期待される。(2026, 王林儀)
特応性皮膚炎(AD)は先天禀賦不足を本、胎毒遺熱を標とし、肺脾気虚、心火亢盛、肝鬱腎虚、気血失調、飲食失養による脾虚胃熱、外感風・湿・熱邪が発症に関与すると考えている。乳児期は心火偏盛、児童期は脾虚湿盛、成人期は肝腎不足と風湿熱、老年期は肝腎不足・血虚風燥が主体であり、さらに脏腑辨証、皮損辨証、気血津液辨証、衛気営血辨証、六経辨証、三焦辨証など多面的な辨証体系を用いて病期・病態に応じて治療する。代表的な経方として麻杏石甘湯(麻黄、杏仁、石膏、甘草)、越婢湯(麻黄、石膏、生姜、大棗、甘草)、五苓散(沢瀉、猪苓、茯苓、白朮、桂枝)、真武湯(附子、茯苓、白朮、生姜、白芍)、苓甘五味姜辛夏杏湯(茯苓、甘草、五味子、生姜、細辛、半夏、杏仁)などを病期に応じて運用すると紹介している。また、人工知能(AI)は舌象・脈象・顔色・音声・皮膚画像など多モーダル情報を解析し、中医辨証の客観化・標準化・定量化を可能とし、SCORAD自動評価、重症度予測、画像診断、個別化治療支援などへの応用が進んでいる。しかし、現時点では統一データベースの不足、説明可能性や中医辨証ロジックの反映不足などの課題が残されており、今後は中医理論を組み込んだAI診断モデルを構築し、多モーダルデータを統合した中医辨証に基づく特応性皮膚炎の精密医療の実現が期待されると結論している。(2024, 周瑩潔)
特応性皮膚炎(AD)は**「奶癬」「浸淫瘡」「四弯風」に相当し、脾土不足を本、心火偏盛を機、風・湿・熱を標、胎毒・遺熱を伏邪とする病機を基本としている。禤国維は肺脾腎虚・心火旺盛・肝鬱気滞・外感風湿熱邪を核心病機とし、趙炳南は先天不足・脾失健運・風湿熱邪を重視し、白彦萍は乳児期は胎毒遺熱・火鬱肌膚**、小児期は脾虚湿熱・心火亢盛、成人期は脾虚気血不足・血虚風燥へと病機が変化すると述べている。また汪受伝は伏風内潜を重要病機と位置づけ、小児では母体遺熱・脾胃虚弱・先天不足を重視している。治療は心・脾を中心に五臓を総合的に調整することを基本とし、心火亢盛には龍牡湯(生竜骨、煅牡蛎、石決明、珍珠母を中心に加減)、脾虚には馬歯莧湯、四君子湯(人参、白朮、茯苓、甘草)、参苓白朮散(人参、白朮、茯苓、山薬、白扁豆、蓮子、薏苡仁、砂仁、桔梗、甘草)を用い、多臓治療では連苓湯により清心健脾、帰苓湯により養血潤燥・健脾除湿を行う。また肺脾同治として健脾固肺類方剤を用い、成人女性では疏肝健脾を基本に祛湿薬・養血薬を配伍する。外邪論では急性期に消風散(荊芥、防風、牛蒡子、蟬退、知母、苦参、胡麻、蒼朮、木通、石膏、生地黄、当帰、甘草)、慢性・遷延期には当帰飲子(当帰、白芍、川芎、生地黄、何首烏、黄耆、荊芥、防風、白蒺藜、甘草)、四物消風飲を用い、さらに小児化湿湯、升陽散火湯、升陽益胃湯による調脾胃・透伏邪を行う。気血津液辨証では急性期は涼血祛湿止痒、慢性期は養血生津潤燥を基本とし、涼血祛湿止痒湯や当帰飲子を用いる。六経辨証では麻杏石甘湯(麻黄、杏仁、石膏、甘草)、越婢湯(麻黄、石膏、生姜、大棗、甘草)、五苓散(沢瀉、猪苓、茯苓、白朮、桂枝)、真武湯(附子、茯苓、白朮、生姜、白芍)、苓甘五味姜辛夏杏湯(茯苓、甘草、五味子、生姜、細辛、半夏、杏仁)を活用し、さらに三焦辨証、衛気営血辨証を組み合わせて病期・病位に応じて治療することが重要であるとまとめている。総じて、中医内治法は心・脾を中心に肺・肝・腎を含めた五臓を調整し、標本緩急に応じて風・湿・熱・血虚・風燥を治療することがAD治療の基本であり、今後は辨証の標準化と作用機序の解明が課題であるとしている。(2024, 邬寧馨)
特応性皮膚炎(AD)の病機は風・湿・熱邪を主体とし、胎毒遺熱・先天禀賦不足を背景に、心火亢盛、肺胃熱盛、脾虚湿蘊、脾虚血燥、肝腎陰虚などの証が病期によって変化するとしている。特に鉱物類生薬は質重沈降・寒涼清熱という薬性を活かし、清瀉臓腑火熱、清利湿熱、寧心安神止痒、燥湿斂瘡生肌、攻毒殺虫止痒を目的に使用される。代表的な生薬は石膏、滑石、龍骨、牡蛎、磁石、龍歯、珍珠母、石決明、白礬、炉甘石、赤石脂、硫黄、雄黄などであり、急性期の熱毒・湿熱から慢性期の血虚風燥まで病態に応じて配伍される。急性期の熱毒炽盛には白虎湯(石膏、知母、甘草、粳米)や消風散(荊芥、防風、牛蒡子、蟬退、知母、苦参、胡麻、蒼朮、木通、石膏、生地黄、当帰、甘草)、清熱除湿湯、湿熱証には除湿胃苓湯(平胃散+五苓散加減)を用い、滑石により清熱利湿を図る。瘙痒や睡眠障害には当帰飲子(当帰、白芍、川芎、生地黄、何首烏、黄耆、荊芥、防風、白蒺藜、甘草)へ龍歯、珍珠末、龍骨、牡蛎などを加え、重鎮安神・止痒作用を強化する。外治では煅石膏、炉甘石、滑石、白礬、赤石脂などを軟膏・洗剤・湿布として用い、さらに硫黄、雄黄などを配伍して抗菌・止痒作用を高める。(2023, 汪津禾)
小児特応性皮膚炎(AD)は**「四弯風」「奶癬」「胎瘡」に相当し、小児の生理的特徴である「肝常有余、脾常不足、心常有余、肺常不足、腎常虚」**を背景として、肺・脾・心・肝・腎の失調が病態形成に関与するとしている。肺気虚では衛外不固により風邪が侵入し、皮膚・毛竅の滋養不足から瘙痒、鱗屑、紅斑を生じるため、**玉屏風散(黄耆、白朮、防風)を用いて補肺益気・固表祛邪を行い、さらに葛根芩連湯(葛根、黄芩、黄連、甘草)**は皮膚バリア機能を改善し炎症を抑制するとされる。脾虚湿蘊では健脾祛湿を基本とし、健脾消導湯(白朮、茯苓、薏苡仁、萊菔子、大腹皮、鶏血藤、首烏藤、全蝎、白鮮皮、甘草)、参苓白朮散(人参、白朮、茯苓、山薬、白扁豆、蓮子、薏苡仁、砂仁、桔梗、甘草)、**健脾除湿食療方(太子参、茯苓、白扁豆、薏苡仁、甘草、山薬、芡実、茅根)**を用い、IgE、IL-4、IL-31、好酸球を低下させ皮膚バリア機能を改善する。心火亢盛では「諸痛痒瘡皆属于心」の理論に基づき、培土清心方(白朮、連翹、白茅根、太子参、薏苡仁、珍珠粉、白鮮皮、甘草)や四君子湯合導赤散(人参、白朮、茯苓、甘草+生地黄、木通、竹葉、甘草)を用いて清心瀉火・健脾を図る。肝腎不足では六味地黄丸(熟地黄、山茱萸、山薬、沢瀉、牡丹皮、茯苓)、養腎補血煎(山薬、何首烏、白朮、茯苓、白鮮皮、薏苡仁、当帰、地黄、防風、蟬蛻、甘草)、**補腎養血煎(生地黄、玄参、女貞子、墨旱蓮、当帰、金銀花、蒲公英、土茯苓、菝葜、茯苓、白朮、車前子、甘草)を用いて滋補肝腎・養血潤膚を行う。さらに外治法として養陰解毒外洗方(金銀花、大黄、苦参、青蒿、葛根、玄明粉、寒水石)**による薬浴・外洗、清心培土方(薏苡仁、灯心草、連翹、淡竹葉、生地黄、太子参、山薬、白朮、鉤藤、防風、牡蛎、甘草)の臍貼、督灸、耳穴圧豆、神闕穴火罐、穴位埋線、捏脊療法、推拿などを組み合わせることで、瘙痒軽減、皮膚バリア改善、IgE・好酸球・Th1/Th2バランスの改善、再発率低下が期待できるとしている。総じて、小児ADでは肺・脾・心・肝・腎を総合的に調整する弁証論治と、多様な内治・外治を組み合わせた治療が有効であると結論している。(2024, 冯令娇)
特応性皮膚炎(AD)は**「四弯風」「奶癬」「胎瘡」に相当し、病機は先天禀賦不足を基盤として、脾虚湿熱内生に外感風・湿・熱邪が加わり発症し、病程が長くなると血虚風燥へ移行すると考えている。古代医家は風湿熱邪、脾肺虚弱を中心病機とし、現代では脾虚湿滞を本、風湿熱邪を標と捉える考えが主流である。治療は急性期には清熱・除湿・祛風**、亜急性期には健脾利湿、慢性期には養血・滋陰・潤燥を基本とし、病期と証候に応じた弁証論治を行う。急性期には**健脾祛風湯(黄耆、制何首烏、刺蒺藜、防風、白朮、当帰、蜈蚣)を用い、総有効率の向上と再発率の低下が報告されている。脾虚湿蘊型には加減除湿胃苓湯(蒼朮、厚朴、陳皮、炒枳殻、沢瀉、甘草、滑石、炒白朮、猪苓、炒黄柏、赤茯苓)を投与し、皮疹や生活の質の改善が認められた。慢性の血虚風燥証には当帰子飲(※論文では構成生薬の記載なし)に滋陰潤燥薬の薬浴を併用することで皮疹面積、重症度、瘙痒および再発率が改善した。また、経験方として皮敏消膠嚢(苦参、蒼朮、防風、蒼耳子、蜈蚣、黄柏、蒲公英など21味)**が紹介され、清熱解毒・除湿祛風・止痒涼血作用を有し、高い有効率と良好な安全性が示されている。外治法では除湿止痒軟膏(黄連解毒湯、蛇床子湯、苦参湯を基礎方とする)が皮膚バリア機能を改善し、中薬熏洗では馬歯莧、地膚子、苦参、金銀花、黄柏、防風を用いた薬浴によりSCORADおよび有効率が改善した。さらに健脾祛風湯(黄耆、制何首烏、刺蒺藜、防風、白朮、当帰、蜈蚣)と関元、照海、血海、曲池などへの針刺併用、曲池・足三里への刺絡放血、抜罐療法なども有効性が報告されている。総じて、中医治療は四診合参と弁証論治を基本に、内服・外用・薬浴・針灸・刺絡・抜罐を組み合わせた標本兼治が特徴であるが、現時点では弁証分類の統一基準がなく、今後は理法方薬体系のさらなる標準化が望まれると結論している。(2023, 陳焱華)
特応性皮膚炎(AD)は**「奶癬」「胎瘡」「四弯風」に相当し、病機は胎毒遺熱、心火亢盛、後天の飲食失節、脾胃虚弱を背景に、風・湿・熱邪が肌膚に鬱滞して発症し、脾失健運による湿邪内生と衛気不固を本とする「本虚標実・虚実夾雑」であると考えている。現代中医学では脾虚湿盛、湿熱蘊結、血虚風燥、気滞血瘀の4証を基本とし、さらに心脾積熱証、心火脾虚証、脾虚蘊湿証、風湿熱蘊証、脾虚血燥証、脾腎陽虚証などの弁証分類も提唱されている。治療は病機に応じて健脾除湿、清熱利湿、滋陰潤燥、養血祛風、活血化瘀**を基本とし、個々の病態に応じた弁証論治を重視する。
内治では、**涼血祛湿止痒湯(※論文では構成生薬の記載なし)**が湿熱蘊結型に有効であり、**健脾潤膚湯(白芍、当帰、丹参、生地黄)は脾虚湿盛型に用いられ、養血、活血化瘀、滋陰、止痒により炎症反応を軽減し皮膚バリア機能を改善するとしている。また、西洋医学との併用では玉屏風顆粒(黄耆、白朮、防風)**を西替利嗪と併用することで単独治療より高い有効率が得られ、血清IgEや炎症反応の改善にも寄与すると報告されている。
外治では、復方榴蓮皮軟膏(榴蓮皮、馬歯莧など)、健脾潤膚膏(※論文では構成生薬の記載なし)が皮膚バリア修復や保湿に有効であり、針灸では培土清心方軟膏(※論文では構成生薬の記載なし)と曲池、血海、足三里、三陰交などへの針刺を併用することで皮膚炎症とバリア機能を改善する。また、隔物灸では白鮮皮、黄柏、防風、蒼朮を粉末として薬餅を作製し施灸する方法、中薬熏洗・薬浴では潤膚消炎外洗剤(※構成生薬記載なし)や大黄、苦参、生薏苡仁、羌活、丁香、藿香を用いた薬浴が有効であり、さらに刺絡・抜罐療法を組み合わせることで皮疹や炎症反応の改善が期待できるとしている。総じて、中医治療は弁証論治を基盤として内服・外用・針灸・灸法・薬浴・刺絡・抜罐を組み合わせた多面的治療により、炎症抑制、皮膚バリア修復、再発予防を図ることが重要であり、今後は中西医統合による個別化治療の発展が期待されると結論している。(2022, 崔鴻)
特応性皮膚炎(AD)は遺伝・免疫・皮膚バリア障害を背景とする全身性アレルギー疾患であり、中医学では体質偏頗が発症・再発・予後に深く関与するとしている。体質は先天禀賦と後天環境により形成され可変性を有するため、辨体と辨証を組み合わせた個別化治療が重要である。AD患者では特禀質、気虚質、陰虚質が多く、小児では肺脾質、脾腎質が主体とされるが、地域差や評価法の違いから一定した結論には至っていない。体質と証候の関連では、湿熱質・痰湿質は湿熱浸淫証・脾虚湿蘊証、気鬱質・陰虚質は血虚風燥証、陽虚質は脾虚湿蘊証と関連することが示され、発症時には急性期の湿熱蘊膚証、亜急性期の脾虚湿蘊証、慢性期の血虚風燥証へ移行すると考えられている。
体質調整では、特禀質に蝉衣、無柄霊芝、烏梅、制何首烏、気虚質に補中益気丸(黄耆、人参、白朮、炙甘草、当帰、陳皮、升麻、柴胡)、陰虚質に六味地黄丸(熟地黄、山茱萸、山薬、沢瀉、牡丹皮、茯苓)と大補陰丸(熟地黄、亀板、黄柏、知母、猪脊髄)、主薬として亀板、熟地黄、血瘀質に血府逐瘀湯(桃仁、紅花、当帰、生地黄、川芎、赤芍、牛膝、柴胡、枳殻、桔梗、甘草)、主薬として桃仁、紅花、延胡索、鶏血藤を用いることが推奨されている。辨証論治では、急性期には涼血祛湿止痒湯(犀角地黄湯を基礎とする自擬方、※論文では構成生薬の記載なし)を用いてIL-4低下、IL-2上昇、LTB4低下により炎症を抑制し、脾虚湿蘊証には加減除湿胃苓湯(※論文では構成生薬の記載なし)、軽中等度脾虚型には健脾益腸方(※論文では構成生薬の記載なし)、慢性の血虚風燥証には健脾養血祛風湯(※論文では構成生薬の記載なし)を用いてEASI、SCORAD、VAS、DLQI、IgE、ECP、EOS、LTB4、LTC4を改善し、Th1/Th2バランスと皮膚バリア機能を正常化するとしている。また、精神的ストレスに対しては柴胡、川芎、鬱金、香附など疏肝理気薬を加えることを推奨している。さらに、非薬物療法として、特禀質では燕麦、蘿蔔、大棗、桂円、固表粥、小麦山薬湯、黄耆霊芝燉瘦肉、気虚質では人参粥、黄耆蒸乳鳩、当帰山薬猪腰湯、血虚風燥証では鶏卵、粳米、枸杞、山薬などを用いた薬膳を勧め、体質に応じて太極拳、八段錦、羽毛球など運動強度を調整し、音楽療法など情志療法も組み合わせることで、偏頗体質を改善し再発予防につなげることが重要であると結論している。(2021, 高俊生)
特応性皮膚炎(AD)は**「四弯風」に相当し、病因病機は禀賦不耐、胎毒遺熱、外感風・湿・熱邪、飲食失調による心火亢盛・脾虚失運を基本とし、乳児期は心火**、小児期は心火・脾虚、青年・成人期は血虚風燥が主体となる。さらに、風・湿・熱邪が主要病因であり、熱は発症・増悪の重要な誘因で、小児では脾虚証が最も多く、成人では特禀質、気虚質、陰虚質が主体とされる。治療は病期と証候に応じた弁証論治を基本とし、湿熱蘊結証には竜胆瀉肝湯(竜胆草、黄芩、梔子、沢瀉、木通、車前子、生地黄、当帰、柴胡、甘草)、脾胃虚弱証には除湿胃苓湯(平胃散〔蒼朮、厚朴、陳皮、甘草〕+五苓散〔沢瀉、猪苓、茯苓、白朮、桂枝〕加減)、血虚風燥証には当帰飲子(当帰、白芍、川芎、生地黄、何首烏、黄耆、荊芥、防風、白蒺藜、甘草)、気滞血瘀証には桃紅四物湯(桃仁、紅花、当帰、川芎、白芍、熟地黄)を用いる。また、風熱夾湿型には荊防湯(※論文では構成生薬の記載なし)、湿熱蘊盛型には消風導赤散(※論文では構成生薬の記載なし)、脾虚湿蘊型には健脾除湿湯(※論文では構成生薬の記載なし)、血虚風燥型には熟地黄、生地黄、麦冬、当帰、赤芍、白芍、鶏血藤、防風、荊芥、蝉衣、胡麻仁、首烏藤、白蒺藜、大棗を用いる。さらに健脾安神法では加味馬歯莧湯(馬歯莧、南沙参、白朮、茯苓、炒梔子、牡丹皮、竜骨、生牡蛎、合歓皮、山薬、甘草)、健脾養血祛風法では黄耆、白芍、刺蒺藜、炒白朮、当帰、防風、蜈蚣、清心培土法では清心培土方(生地黄、水牛角、連翹、灯心草、太子参、山薬、薏苡仁、鉤藤、牡蛎、防風、甘草)、経験方として黄耆、炒白朮、茯苓、二藤、白鮮皮、炒薏苡仁、萊菔子、全蝎、炙甘草、健脾潤膚湯(党参、茯苓、蒼朮、白朮、当帰、生地黄、丹参、鶏血藤、赤芍、陳皮)、玉屏風顆粒(黄耆、白朮、防風)などが紹介されている。中西医結合では当帰飲子や加味当帰飲子の併用によりIgEやIL-4・IL-10・IL-12などの免疫指標が改善し、急性皮疹には荊防湯顆粒、涼血防風湯顆粒、慢性の脾胃寒湿には加減胃苓湯顆粒を用いる。外治では大黄、馬歯莧、藿香、丁香による薬浴、復方榴蓮皮軟膏(榴蓮皮、馬歯莧など)、健脾潤膚膏、金黄膏(大黄、黄柏、姜黄、白芷、天南星、陳皮、蒼朮、厚朴、甘草、天花粉)、中薬外洗方(馬歯莧、苦参、茯苓、金銀花、赤芍、薏苡仁、黄柏)などが有効とされ、さらに梅花針・刺絡抜罐や、小児化湿湯に曲池、尺沢、血海、足三里、陰陵泉への針治療、当帰飲子と曲池、陰陵泉、三陰交、関元、照海、安眠への針灸を組み合わせることで、瘙痒、皮疹、睡眠障害、生活の質がさらに改善すると報告している。総じて、中医治療は弁証論治を基本に、健脾・清熱・養血・祛風を中心とした内服、外治、薬浴、針灸を組み合わせることで高い有効性と再発予防効果を示し、中西医結合によりさらに治療成績が向上すると結論している。(2020, 賈金靖)
特応性皮膚炎(AD)は**「奶癬」「血風瘡」「四弯風」に相当し、先天禀賦不足、胎毒遺熱、後天の飲食失調を背景として脾肺気虚、心火亢盛となり、さらに外感風・湿・熱邪が加わることで発症する本虚標実の疾患と考えている。古典では肺は皮毛を主り、脾は肌肉を主ることから、肺脾気虚により腠理が疎となり風湿熱邪が侵入し、脾虚生湿・湿熱鬱肌を形成するとされる。証型は脾虚湿盛型、湿熱蘊結型、血虚風燥型、気滞血瘀型の4型を基本とし、それぞれ健脾除湿、清熱化湿、滋陰養血・潤燥熄風、理気活血化瘀**を治則とする。
内治では、脾虚湿盛型に運脾化湿清肺湯(陳皮、枳殻、桑葉、菊花、金銀花、黄芩、土茯苓、白鮮皮、白朮、甘草)、健脾潤膚湯(党参、茯苓、蒼朮、白朮、当帰、生地黄、丹参、鶏血藤、赤芍、白芍、陳皮)を用いる。湿熱蘊結型には解毒潤膚湯(土茯苓、生地黄、赤芍、牡丹皮、金銀花、連翹、車前子、石膏、知母、白鮮皮、地膚子、白扁豆、茯苓、白朮、甘草、鶏血藤)を用い、血虚風燥型には皮炎消浄飲Ⅱ号(蒼朮、当帰、漢防己、黄芩、柴胡など)、健脾養血祛風湯(茯苓、炒白朮、白扁豆、薏苡仁、当帰、黄耆、大血藤、荊芥、防風、僵蚕、白鮮皮、蒼朮、萆薢、黄芩、甘草)を用いてTh1/Th2バランスを調整し皮膚バリア機能を改善する。気滞血瘀型には膈下逐瘀湯加減(柴胡、赤芍、青皮、陳皮、帰尾、桃仁、紅花、川楝子、牛膝、烏蛇肉、刺蒺藜、甘草)を使用する。また、経験方として増液湯合犀角地黄湯(玄参、麦門冬、生地黄+犀角〔現代では水牛角代用〕、生地黄、芍薬、牡丹皮)、二妙散合当帰飲子(二妙散〔蒼朮、黄柏〕+当帰、白芍、川芎、生地黄、何首烏、黄耆、荊芥、防風、白蒺藜、甘草)、さらに龍牡湯(竜骨、煅牡蛎、骨砕補、湿熱蘊結型では茯苓、薏苡仁、白鮮皮を加え、血虚風燥型では当帰、生地黄を加味)が紹介されている。年齢別では、乳児期は清心火・解胎毒、小児期は**荊防止痒湯(※論文では構成生薬の記載なし)による祛風止痒・健脾利湿、成人期は消風散(荊芥、防風、牛蒡子、蟬退、知母、苦参、胡麻、蒼朮、木通、石膏、生地黄、当帰、甘草)**加減を用いて養血潤燥・安神・利湿・疏肝を図る。
外治では、復方榴蓮皮軟膏(榴蓮皮、馬歯莧など)、健脾潤膚膏(山薬、麦芽糖)、金黄膏(大黄、黄柏、姜黄、白芷、天南星、陳皮、蒼朮、厚朴、甘草、天花粉)が皮膚バリア修復、保湿、止痒に有効である。また針灸では曲池、血海、足三里、三陰交を主穴とし、滲出型では合谷、風門、風池、委中、乾燥型では肝俞、太衝、膈俞を加え、血虚風燥型では当帰飲子と曲池、陰陵泉、足三里、血海、内関、関元、照海への針刺を併用することで高い有効率が得られる。さらに小児化湿湯と曲池、尺沢、血海、足三里、陰陵泉への針灸併用、中薬熏洗では潤膚消炎洗剤、大黄、苦参、生薏苡仁、羌活、丁香、藿香、馬歯莧による薬浴、梅花針刺絡・抜罐なども有効であり、総じて中医治療は弁証論治を基本として内服、外用、薬浴、針灸、刺絡・抜罐を組み合わせることで、皮膚バリア修復、免疫調節、再発予防に優れた効果を示すと結論している。(2019, 林歓児)
特応性皮膚炎(AD)は**「淫瘡」「胎瘡」「四弯風」に相当し、その発症には「肺主皮毛」の理論が深く関与するとしている。肺は宣発・粛降により衛気を肌表へ布散し、皮毛を温養して腠理を固密に保ち、外邪の侵入を防ぐが、肺脾気虚、肺衛不固となると皮毛の開闔が失調し、風・湿・熱邪が侵入して皮膚の代謝障害、滲出、糜爛、乾燥、脱屑、苔癬化などADの皮疹を形成する。また、肺の宣発不足では皮膚乾燥・皸裂・苔癬化を生じ、粛降失調では滲出・浸軟など急性病変を生じることから、肺機能異常がADの病態形成に重要な役割を担うと考察している。さらに、小児では肺常不足、脾常不足、衛表不固であるため風邪が侵入しやすく、肺病変は過敏性鼻炎や喘息などアレルギー疾患とも密接に関連し、「肺と皮毛は相互に影響し合う」という古典理論を裏付けている。治療面では宣肺・粛肺・補肺・清肺を基本とし、皮毛からの治療を重視して未病先防・既病防変を実践することが重要であるとしている。本文ではADに対する具体的な処方は示されていないが、関連研究として鼻炎方(辛夷、蒼耳子、枇杷葉、桑葉、麦冬、北沙参)が紹介され、北沙参には細胞性・液性免疫調節作用、麦冬には抗アレルギー作用があること、さらに風池、膈俞、曲池への針刺と大椎、至陽、委中への刺絡・抜罐を併用する針薬併用療法が有効であることが紹介されている。総じて、本論文は「肺主皮毛」理論がADの病態を説明する重要な中医理論であり、肺と皮毛を一体として捉え、肺から皮膚を治療することがAD治療の理論的基盤となる**と結論している。(2017, 柳文紅)
特応性皮膚炎(AD)は皮膚バリア機能障害を基盤とする慢性再発性炎症性皮膚疾患であり、皮膚バリアの破綻によって経皮水分蒸散量(TEWL)の増加、神経セラミド(セラミド)の減少、角質層菲薄化が生じ、アレルゲンや刺激物の侵入、炎症反応、瘙痒を悪化させると述べている。治療の目的は炎症の制御と皮膚バリア機能の修復であり、西洋医学では神経セラミド主体の保湿剤を基本とし、急性期には外用ステロイドを用い、寛解後も十分量の保湿剤を継続することで再発予防とステロイド使用量の減少を図ることが重要としている。一方、中医学ではADは**「奶癬」「四弯風」「浸淫瘡」**に相当し、脾虚証、脾虚兼証、湿熱蘊結証、血虚風燥証が主要証候であり、脾虚は皮膚バリア機能障害の根本病機と考える。脾虚では水穀精微を肺へ上輸できず、肺の宣発作用が低下して肌膚・皮毛を十分に滋養できないため、腠理不密・衛外不固となって皮膚バリア機能が低下することから、健脾固表が皮膚バリア修復の重要な治療法になるとしている。臨床・基礎研究では、**健脾養血祛風法(※論文では構成生薬の記載なし)**は経皮水分蒸散量を改善し、皮脂・角質層水分量を増加させ、**参苓白朮散(人参、白朮、茯苓、山薬、白扁豆、蓮子、薏苡仁、砂仁、桔梗、甘草)**は表皮セラミド含量を増加させて皮膚バリア機能を改善し、**十皮湯(※論文では構成生薬の記載なし)**は血虚風燥型ADの皮膚バリア修復に有効であり、加減逍遙散(柴胡、当帰、白芍、白朮、茯苓、甘草、牡丹皮、梔子、生姜、薄荷)はIL-4を調節して皮膚バリア機能を改善し、さらに清熱解毒養陰法(※論文では構成生薬の記載なし)も皮膚障害の修復に有効であると紹介している。総じて、AD治療では炎症抑制だけでなく皮膚バリア機能の回復が再発予防の鍵であり、中医学では健脾を中心とした治療が皮膚バリア修復を通じて重要な役割を果たすと結論している。(2015, 康潤芳)
特応性皮膚炎(AD)は**「四弯風」「胎瘡」に相当し、本虚標実・虚実夾雑を特徴とする疾患であり、主要な病機は脾虚、湿熱、血虚風燥であると述べている。病因は先天禀賦不足、脾失健運、湿熱内生、外感風湿熱邪を基本とし、病程が長くなると陰血を損傷して血虚風燥となり、さらに久病では腎にも及ぶと考える。多くの研究で脾虚が全経過を通じて存在する基本病機**とされ、湿熱や血虚風燥はこれに重なって出現するため、健脾を治療の根幹とすることが強調されている。
治療では、清熱利湿法として清瘟敗毒飲合黄連解毒湯(黄連、黄柏、黄芩、梔子、牡丹皮、生地黄、金銀花、連翹、生石膏、知母、蒲公英、紫花地丁、玄参、枳殻、生甘草)、麦冬地三黄湯合消炎解毒湯(麦門冬、黄連、玄参、黄柏、金銀花、生地黄、天花粉、木通、当帰、赤芍、淡竹葉、青皮、蒲公英、紫花地丁、甘草)を用いる。健脾滲湿法では四君子湯(人参、白朮、茯苓、甘草)、平胃散(蒼朮、厚朴、陳皮、甘草)に山薬、黄精、蒼耳草を加え、さらに健脾滲湿沖剤(党参、白朮、茯苓、薏苡仁、沢瀉、陳皮、甘草)を用いて皮疹、瘙痒、IgE、再発率を改善する。健脾消導法では白朮、枳殻、薏苡仁、檳榔、萊菔子、黄芩、大青葉、馬歯莧、白鮮皮、冬瓜皮を基本とし、脾虚型には白朮、枳殻、薏苡仁、萊菔子、厚朴、白鮮皮、首烏藤、当帰、苦参、赤芍、白芍、生地黄を加えて健脾消導・養血潤膚・止痒を図る。清心培土法では**四君子湯(人参、白朮、茯苓、甘草)と導赤散(生地黄、木通、淡竹葉、甘草)を理論的基礎とした清心培土方(※論文では構成生薬の全文記載なし)を用い、補腎養血法では補腎養血煎(山薬、何首烏、白朮、茯苓、当帰、生地黄、苦参、薏苡仁、白鮮皮、蝉蛻、防風)を使用し、活血祛風法では活血祛風湯(当帰、白鮮皮、知母、桃仁、川芎、黄耆、荊芥、白芍、牡丹皮、甘草)**を用いる。
専方治療では、奇妙飲(黄耆、白朮、防風、甘草、牡丹皮、梔子、地膚子、紅花)、四虫止痒湯(白僵蚕、蝉蛻、烏蛇、全蝎、益母草、何首烏、当帰、赤芍、防風、白蒺藜、烏梅、甘草、木通)、地黄煎(生地黄、茯苓、炒薏苡仁、秦艽、苦参、鶏血藤、丹参、霊脂、首烏藤)、消風導赤湯(生地黄、牡丹皮、白鮮皮、防風、茯苓、蝉蛻、牛蒡子、木通、甘草、白朮、薏苡仁)、当帰生地黄方(当帰、生地黄、赤芍、白芷、首烏藤、地膚子、白鮮皮、苦参、白朮、枳殻、萆薢、生薏苡仁、黄芩)、蒼苡湯(蒼朮、薏苡仁、赤芍、黄芩、蒺藜、苦参、白鮮皮、地膚子、忍冬藤、白茅根、紫草、甘草)などが紹介されている。外治では金蝉散、掃箒散、潤膚消炎洗剤、鉍宝消炎癬湿薬膏(昇薬、樟脳、蛇床子、氷片など)、冰黄膚楽軟膏(大黄、姜黄、硫黄、黄芩、甘草、氷片、薄荷脳)などが用いられる。さらに薬理学的研究では、紫草、釣藤、羊蹄、三白草、野菊花などがIgE低下、Th1/Th2バランス調節、NF-κB抑制、皮膚バリア改善などを介してADを改善し、近年は植物乳酸菌発酵中薬による免疫調節作用も注目されている。総じて、中医治療は健脾を中心とした弁証論治を基盤に、清熱・除湿・養血・活血・補腎を組み合わせ、内服・外治・免疫調節を統合することで症状改善と再発予防を目指すが、今後は標準化された診療体系と高品質な臨床研究の蓄積が必要であると結論している。(2013, 劉俊峰)
