子宮頸がんワクチン問題
昨年出版された子宮頸がんワクチン問題の内容の一部を抜粋します。
圧倒的多数のHPV感染症は無害であり、約90%は2年以内に自然消退します。
世界では常時2億9100万人の女性がHPVに感染しており、毎年52万8千人が子宮頸がんと診断されます。この数値から、全体としてHPV感染の約0.18%が子宮頸がんに進行することが示唆されます。他の多くの情報源でも同様に、HPV感染の0.15%が子宮頸がんに進行すると述べられています。
子宮頸がんと診断されても、がんはほぼ治療可能な病気といってよく、十分に早期に発見されれば5年生存率は90%を超えます。
一過性の感染ではなく持続的で長期のHPV感染が子宮頸がん発症の重大な危険因子と考えられており、子宮頸がんの100%ではなく約90%でHPVの持続感染が関連するとされます。つまり、HPVの持続感染だけでは子宮頸がんに至るには不十分です。子宮頸がんは多くの要因が関係する多因子性疾患であり、他の多くの環境および遺伝因子が発症に関与していると考えられています。
インドでは、国レベルの検診プログラムを行わずとも、栄養の向上、清浄な水の提供、公衆衛生施策により、過去数十年間にわたって子宮頸がんの発生率が大幅に減少しました。途上国でも、子宮頸がんに対する最善の防御策は、HPVワクチンを接種したかどうかにかかわらず、依然として子宮頸がん検診です。とくに途上国では、乏しい財源をHPVワクチンよりも性と生殖に関する健康管理や子宮頸がん検診に投じる方が賢明だと、多くの人が主張しています。
途上国におけるワクチンの現場での有効性は、とくに栄養不良、マラリアの流行、青年期の鉄欠乏を考慮して評価する必要がある。これらの因子は新たな免疫応答の発生に影響を及ぼし、HPV感染や子宮頸がんの有病率の高い多くの国で懸念されています。
HPVワクチンのガーダシルの臨床試験においてワクチン接種後の重篤な有害反応の割合は1万人当たり81.49人、死亡率は1万人当たり13.3人でした。これらの数字を別の視野から見てみると、世界で子宮頸がんの発生率および死亡率が最も高いのは東アフリカで、発生率は1万人当たり4.27人、死亡率は1万人当たり2.76人に過ぎません。報告された重篤な有害反応および死亡のうちガーダシルに起因するものと比較すると、そのワクチンの有害反応と関連死の方が問題です。この低い発生率と死亡率のデータは、すべての健康な女児にワクチンを接種することの有益性に関して赤信号を灯します。
臨床試験において、ワクチン接種時にすでにHPVウイルスに感染していると考えられる被験者がワクチンを接種するとワクチンによる発病予防効果が-30〜-50%になる「負の有効性」が報告されています。性行為だけでなく母親からの垂直感染によってもHPVウイルスは感染します。
臨床試験では、若い女性を対象としてバックグラウンドの流産率に比べて、ワクチン群では高い流産率が報告されています。
2007─2008年以降、HPVワクチン接種率が高い多くの国では、十代の妊娠が急激に減少しています。
ワクチンの臨床試験においては、対照群として生理食塩水が使われるべきところをアジュバンドが使われたために有害事象が両群で出た結果、両群の有意差が出なくなったのではないかと考えられています。
臨床試験中の死亡数が多く報告され、同年代の死亡率より高かったが、ワクチン群とアジュバンド入りの対照群と差がなかったため見過ごされています。2002年の米国疾病管理予防センター(CDC)データによると、一般人口の若年女性の平均死亡率は1万人あたり4.37人です。
ワクチン誘発性自己免疫疾患は、アルミニウム含有アジュバンドが原因となるアジュバンド誘発性自己免疫症候群(Autoimmune syndrome induced by adjuvants、ASIA)と呼ばれるものと、分子模倣と呼ばれるものの2つの説があります。分子模倣とは、ワクチンに含まれるアミノ酸配列とヒトの身体のアミノ酸配列が似ているために、免疫系が混乱して、侵入抗原に似た体内に存在するタンパク質を攻撃してしまい、自己免疫疾患に至るという考えです。
HPVワクチンの反対運動に対する巨大製薬会社の戦略には似ている点がいくつかあります。①義務を強調する──「集団免疫」(集団vs個人)、②恐怖心をあおる(感染症vs政府による自由の侵害)、③「ニセ科学者」「ごみジャーナリスト」「反ワクチン派」などのレッテルを貼り、④批判者を中傷し、口を封じる・安全性や業界実務規範に関する正当な懸念をはねつけるやり方です。