コルヒチン

まとめ:コルヒチンは新型コロナウイルスの感染予防効果は乏しいですが、抗炎症、抗サイトカインストーム効果が期待できます。

コルヒチンは、細胞内の細胞骨格要素である微小管(microtube)の主要タンパク質であるチューブリンと結合して、微小管の伸長を阻害することによって、様々な炎症経路を遮断します。

コルヒチン(colchicine)は、強力な抗炎症作用を持つ3000年の歴史のある植物毒から作られた最も古い医薬品の 1 つです。リウマチ性疾患では、痛風、ピロリン酸カルシウム沈着症、家族性地中海熱の治療に広く使用されています。また、心房細動、心膜炎、および心筋梗塞を治療するために、心臓病学において適応外で使用されています。自然免疫および適応免疫系の全身性および制御不能な炎症は、重度の新型コロナ感染症の特徴であることから、治療薬としてコルヒチンが期待されています。(2022, Drosos)

コルヒチン(colchicine)の抗ウイルス作用、抗炎症効果は多様です。コルヒチンは、好中球の接着と動員、スーパーオキシド産生、インフラマソーム活性化、TNF-α 放出など、いくつかの炎症経路を妨害します(2020, Schlesinger)

コルヒチンは、新型コロナ感染症で中等度から重度の COVID-19 で入院した人々には無効、無症候性感染症または軽症患者の全死因死亡率に対するコルヒチンの僅かな効果が報告されています。(2021, Mikolajewska)

新型コロナ感染症の入院患者がコルヒチンの投薬で、重症化(早期退院、死亡率の低下)が低下したことから、サイトカインストームに保護的に作用したと報告されています。(2020, Burunetti)

コルヒチンは COVID-19 患者には有益ではないという意見もあります。(2020, Cumhur Cure)これは、サイトゾルの pH を上昇させ、サイトカインストームを防止する効果が非常に弱いためです。コルヒチンは、COVID-19 で ARDS と多臓器不全を増悪させる可能性があるからです。

一方でこれに対してコルヒチンを新型コロナ感染症の時の過剰炎症であるサイトカインストームに使うべきであるという反論もされています。(2020, Kobak)(2020, Piantoni)